家を建てる前に、木を刻んでおく会社
家の柱や梁は、昔は大工さんが現場で寸法を測り、継ぎ手を刻んでいました。いまはその大半を工場で済ませてから現場に運びます。これをプレカットと呼びます。
シー・エス・ランバーは、首都圏でその加工を請け負う会社です。柱と梁で組む在来の工法と、ツーバイフォー工法の両方を扱います。買うのは工務店やハウスメーカーです。注文住宅の基礎ができたころ、番号を振った木材がトラックで届きます。
加工だけでなく、自分で建物を建てる建築請負もしています。大きな木造の施設も手がけます。もう一つの事業が賃貸です。短信によると、保育所を23か所、ほかの施設を44か所貸しています。木を刻む会社が、保育所の大家でもあります。
営業利益は2割増、純利益はほぼ横ばい
2026年10月15日に出た、6月から8月までの第1四半期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 51億6,800万円 | 47億7,700万円 | +8.2% |
| 営業利益 | 3億2,300万円 | 2億6,200万円 | +23.4% |
| 経常利益 | 2億9,900万円 | 2億3,700万円 | +26.1% |
| 純利益 | 2億300万円 | 2億100万円 | +1.3% |
営業利益と経常利益は2割以上伸びたのに、純利益は前年とほとんど変わりませんでした。
純利益が止まったのは、前年の税金が軽かったから
損益計算書を下まで追うと、税金等調整前の利益は2億3,779万円から3億28万円へ増えています。一方で、法人税等の合計は3,642万円から9,638万円へ増えました。
法人税等の合計を税引前の利益で割ると、前年は約15%、今年は約32%です。これは私の割り算です。前年の第1四半期は税の負担が軽く、今年はふつうの水準に戻ったことになります。前年がなぜ軽かったのかは、決算短信には書かれていません。
純利益の伸びが小さいのは本業が弱ったからではない、と私は受け取りました。
プレカットは赤字から黒字へ
| 売上高 前年同期 | 売上高 今回 | セグメント利益 前年同期 | セグメント利益 今回 | |
|---|---|---|---|---|
| プレカット | 34億998万円 | 38億1,074万円 | △2,118万円 | 1億558万円 |
| 建築請負 | 13億1,858万円 | 11億8,208万円 | 1億708万円 | 2,048万円 |
| 不動産賃貸 | 2億9,676万円 | 3億6,205万円 | 1億5,626万円 | 1億6,021万円 |
売上高は事業どうしの取引を含んだ額です。
主力のプレカットは、前年の赤字から1億558万円の黒字になりました。短信の説明文によると、台風と8月の記録的な集中豪雨で、出荷先の現場では基礎工事の延期が相次ぎました。そのため出荷の調整を迫られたそうです。それでも出荷棟数は1割増えました。
気になったのは、棟数と坪数の開きです。棟数は11.0%増えたのに、坪数は2.6%増にとどまっています。ツーバイフォー部門は坪数が6.9%減りました。1棟あたりの面積が小さくなっているということです。家が小ぶりになったのか、小さな案件を多く取ったのか、短信からはどちらとも言えません。
売上が1割減った建築請負で、受注は倍を超えた
建築請負は、売上が1割減り、利益は1億708万円から2,048万円へ8割減りました。数字だけなら、いちばん悪い事業です。
ところが、短信の最後にある受注の表を開くと、話が逆になります。
| 受注高 前年同期 | 受注高 今回 | 受注残高 前年同期 | 受注残高 今回 | |
|---|---|---|---|---|
| プレカット | 34億7,226万円 | 39億1,219万円 | 34億4,338万円 | 42億107万円 |
| 建築請負 | 7億9,360万円 | 18億6,648万円 | 15億8,971万円 | 19億3,596万円 |
建築請負の受注高は、7億9,360万円から18億6,648万円へ増えました。2倍を超えています。……いや、売上が減った事業の数字には見えない。
ここで引っかかって、4ページ目の説明文に戻りました。この3か月の着工は63棟で、うち大型の木造施設が9棟です。完工は前期からの持ち越しを含めて36棟、大型は3棟でした。建て始めた数が、建て終えた数の倍近くあります。
取った仕事はある。まだ建物が仕上がっていないので、売上と利益に出てくるのはこれからだ、と私は考えました。
現金が10億円減り、利息が倍近くに
現金及び預金は、50億5,446万円から40億6,155万円になりました。減った額は9億9,200万円です。その間に、棚卸資産は4億8,200万円増えています。賃貸不動産は2億4,100万円、投資その他の資産は4億9,800万円の増加です。
この第1四半期は、キャッシュ・フロー計算書を作っていないと注記にあります。お金の流れを項目ごとには追えません。棚卸資産も貸借対照表では1行にまとまっていて、何が増えたのかは分かりません。着工が増えた請負の仕掛かりなら筋は通りますが、それは私の推測です。
借入金は、1年以内に返す長期借入金が3億200万円、長期借入金が2億1,800万円増えました。支払利息は2,727万円から4,944万円へ、ほぼ倍です。借入金の増え方に比べて、利息の増え方が大きい。賃貸は借りたお金で建物を持つ商売なので、金利の上昇がそのまま響きます。
前年に1,277万円あった支払手数料は、104万円に減りました。そのため、営業外費用の合計は1,094万円の増加で収まっています。
会社はどう説明しているか
会社は、プレカットで受注競争が激しかったこと、8月の豪雨で出荷と引き渡しが遅れたことを挙げています。そのうえで、業績は「おおむね計画どおり」と書き、7月16日に出した通期予想を変えていません。
豪雨の話は、私はそのまま受け取っています。理由は、出荷を調整したという説明と、請負の着工と完工の開きが、同じことを示しているからです。
留保を付けたいのは受注競争のほうです。それが利益をどれだけ削ったのかは、決算短信では金額が示されていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 通期予想 | 第1四半期 | 進捗率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 210億円 | 51億6,800万円 | 24.6% |
| 営業利益 | 14億9,000万円 | 3億2,300万円 | 21.7% |
| 経常利益 | 12億7,000万円 | 2億9,900万円 | 23.5% |
| 純利益 | 9億1,000万円 | 2億300万円 | 22.3% |
進捗率は、表紙の通期予想で私が割ったものです。
3か月で4分の1という目安には、どれもわずかに届いていません。営業利益は、残りの9月から5月までに11億6,700万円が要ります。前年同期より3割余り多い額です。
もう少し近い山も見ておきます。上期の営業利益の予想は7億4,500万円です。ここから第1四半期の3億2,300万円を引くと、9月から11月の3か月で4億2,200万円です。いま終わった3か月の、約1.3倍を稼ぐ計画になります。
私はどう読んだか
この遅れは一時的なもので、売上はあとから付いてくる、と私は考えています。理由は、請負でもプレカットでも、受注残が前年より積み上がっているからです。
ただ、心配性なので、下振れの側も書いておきます。現金が減り、利息が倍近くになりました。請負が仕上がるまでの間、借入金でつなぐ形が続くなら、営業利益の伸びの一部は利息に取られます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
投資その他の資産が3か月で4億9,800万円増えた中身は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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