TENTIAL(325A)2026年8月期 通期決算分析――増えた在庫は先回りの仕入れと読みました

TENTIAL(325A)2026年8月期 通期決算分析――増えた在庫は先回りの仕入れと読みました 日本株

はじめに

TENTIALは、寝るときに着る服を売っている会社です。ただのパジャマとは違い、着て眠ると疲れが抜けやすくなる、とうたった「リカバリーウェア」です。「BAKUNE」という名前で出しています。ほかには掛け布団、日中に着る楽な服、サンダルも扱っています。

買っているのは、仕事の疲れが翌朝まで残る人や、眠りの質を気にしはじめた人です。短信にはクリスマス、母の日、父の日に向けた販促の話が出てきます。自分用だけでなく、贈り物としても売れているようです。売り場の中心は自社の通販サイトで、店舗も持っています。

私は首と肩が凝るので、この手の広告はよく目に入ります。まだ買ったことはありません。

決算期を変えたので、前の期とは比べられない

2026年10月15日に出た、2026年8月期の決算です。この会社は決算日を1月末から8月末に移しました。そのため前の期は2025年2月から8月までの7か月しかなく、短信も増減率を載せていません。

今期(12か月)前期(7か月)増減率
売上高332億1,800万円111億3,400万円記載なし
営業利益38億1,800万円11億6,700万円記載なし
経常利益38億1,900万円11億5,700万円記載なし
当期純利益24億200万円8億1,700万円記載なし

並べると3倍に見えます。ただ、期間の長さが違うので、このまま比べられる数字ではありません。比べられるのは率のほうです。売上高営業利益率は、前期の10.5%から今期は11.5%に上がっています。

利益の大半が、商品の在庫に変わっていた

短信の12ページ目、キャッシュ・フロー計算書まで行くと、景色が変わります。純利益24億200万円に対して、営業活動によるキャッシュ・フローは3億1,500万円でした。

差を作ったのは棚卸資産で、1年で41億4,898万円増えています。仕入れの代金のうち17億3,181万円はまだ払っていないので、そのぶん現金の減りは小さくなります。それでも足りず、現金及び預金は43億2,920万円から17億6,272万円へ減りました。

在庫がどれくらい重いのかを、売上原価と比べて確かめました。8月末の商品の残高を、1か月あたりの売上原価で割ります。前期末も今期末も8月末の残高なので、季節のずれはありません。

前期末(2025年8月31日)今期末(2026年8月31日)
商品の残高17億9,548万円57億8,507万円
1か月あたりの売上原価約4億3,603万円約7億5,355万円
売上原価の何か月分か約4.1か月約7.7か月

約の付いた数字は、損益計算書の売上原価を期の月数(前期7か月、今期12か月)で割り、商品の残高をそれで割った私の計算です。

売れる速さは上がっています。それ以上の速さで品物が積み上がり、手元の在庫は4か月分あまりから8か月近くまで増えました。……いや、これは多い。

期中に取得した株を、期末には全額損失にしていた

特別損失には2つの科目があります。解約損失3億2,830万円と、投資有価証券評価損6,041万円です。

評価損のほうは、貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書を並べると勘定が合います。期首の投資有価証券は921万円で、期中に5,120万円を取得しています。足すと6,041万円になり、評価損と同じ額です。期末の残高は0円なので、この1年で買い足した分も含めて、すべてを損失として処理したことになります。

何に投資していたのか、解約したのが何の契約なのかは、決算短信には書かれていません。同じ期に、関係会社株式5,239万円と、関係会社への長期貸付金5,000万円が新しく計上されています。これらとのつながりも、短信の中では説明されていません。

現金が細った年に、自己株式と店舗に払っている

減った現金の行き先は、投資と財務の欄に出ています。

主な支出金額
自己株式の取得12億2,401万円
敷金の差入7億2,968万円
有形固定資産の取得6億6,622万円

敷金の残高は前の期末の4倍ほどになり、資産除去債務も増えています。店舗を増やした年なのは、貸借対照表から分かります。配当は今期も来期の予想も0円です。

借入金の残高は小さく、自己資本比率は52.7%あります。手元の現金が細ったことと、財務が傷んだことは別の話です。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目で、会社は好調の理由を次のように書いています。最上位モデルの「BAKUNE Dry Pro」などの販売が堅調だったこと、季節ごとの掛け布団を出したこと、贈り物の時期の販促を強めたこと、の3つです。

一方で在庫については、資産の説明で「商品の増加」を挙げているだけです。なぜ増やしたのかには、短信の中では触れていません。キャッシュ・フローの説明でも、棚卸資産の増加を減少要因として挙げるにとどまっています。

売上が伸びた理由は、そのまま受け取ります。商品の種類が増え、季節ものの布団が加われば、持っておく品物が増えるのは自然だからです。ただ、在庫が売上原価の何か月分まで膨らんだのかには、短信の説明文は触れていません。

来期の予想は、幅を持たせて出してきた

これは通期の決算なので、進捗率の話はありません。今期の初めにどんな予想を出していたかは今回の短信に載っておらず、達成したかどうかもここでは書けません。代わりに、2027年8月期の予想を並べます。

今期 実績来期予想 下限来期予想 上限
売上高332億1,800万円410億円450億円
営業利益38億1,800万円41億円53億円
当期純利益24億200万円27億8,300万円35億9,900万円
売上高営業利益率11.5%10.0%11.8%

数字はすべて短信の5ページ目に載っているものです。

下限で比べると、売上は2割あまり増えるのに、営業利益は1割に届かない増え方です。会社は来期の施策として、直営店の出店、大がかりな広告、新規事業への投資、海外展開の開始を挙げています。その費用を先に見込んだ組み立てだと受け取りました。

私はどう読んだか

在庫の積み上がりについて、私は売れ残りではなく、先に仕入れた分だという見方をしています。

理由は2つあります。1つ目は買掛金で、2億1,784万円から19億4,966万円へ増えました。増えた在庫のかなりの部分が、まだ代金を払っていない、期末近くに入ってきた品物だと考えられるからです。

2つ目は、最後の3か月の売れ行きが落ちていないからです。今期の売上高は332億1,800万円で、7月15日に出た第3四半期までの累計は245億6,600万円です。前者から後者を引くと、6月から8月の売上高は86億5,200万円になります。9か月の累計を3で割ると、1四半期あたりの平均は約81億8,900万円です。最後の3か月のほうが多く売れていた、というのが私の引き算です。

それでも、8か月近い在庫は軽くありません。売上が予想の下限に近いところで進めば、この在庫は重く残ります。心配性なので、次の決算では真っ先に商品の残高を確かめます。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|株式会社TENTIAL

積み上がった在庫が季節ものなのか、定番品なのか、新しく出した商品なのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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