エスケー化研(4628)決算分析――営業利益84%増で、通期予想は据え置きのまま

8月7日に決算を発表したエスケー化研(4628)――営業利益84%増で、通期予想は据え置きのまま 決算を読む

はじめに。エスケー化研は、建物の外壁に塗る仕上げ材を作っている会社です。マンションや商業ビルの外壁の、あの模様や質感のついた塗り材。新築の現場でも使われますし、十数年ごとの改修工事でも使われます。買うのは私たちではなく、塗装工事の業者や建設会社です。もう一つ、鉄骨を火から守る耐火断熱材の事業があって、こちらはビルや物流施設、データセンターの建設現場で使われます。地味ですが、建物がある限り仕事がなくならない種類の商売です。

私がこの短信で引っかかったのは、利益が8割増えたのに、会社が通期予想を1円も動かしていないことでした。普通なら上方修正を考える数字です。理由は短信の中に、会社自身の言葉で書いてありました。

この決算で何が起きたか

数字だけ見れば文句のない四半期です。

項目今回前年同期増減率
売上高31,75326,208+21.2%
営業利益5,1982,820+84.4%
経常利益6,3452,361+168.7%
純利益4,3632,038+114.0%

(単位:百万円)

売上が2割増え、営業利益は8割増。営業利益率は10.8%から16.4%へ上がりました。セグメントを見ても、建築仕上塗材、耐火断熱材、その他の3つとも増収増益です。1ページ目だけなら、完璧な決算に見えます。

引っかかった点

経常168.7%増の中身は、半分くらい為替の往復です

損益計算書の営業外のところで手が止まりました。今回、為替差益が594百万円入っています。そして前年同期は、為替差損が907百万円出ていました。

つまり前年は営業外で大きく削られ、今年は逆に上乗せされている。経常利益の伸び率が営業利益の伸び率の倍になっているのは、この往復のせいです。168.7%増という見出しの数字は、営業の実力より為替の振れをたくさん含んでいます。……営業の84.4%増だけで十分立派なのに、経常の数字が派手すぎて、かえって割り引いて読む必要が出てくる。変な構図だ。

キャッシュ・フロー計算書がありません

私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで読みに行くのですが、この短信には無い。注記に「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とはっきり書いてあります。第1四半期では作成しない会社は珍しくないので、責める話ではありません。ただ、現金の出入りが追えないのは事実です。

代わりに貸借対照表を見ると、売上が2割増えた四半期に、電子記録債権が前期末から5割近く増え、受取手形及び売掛金も増えています。一方で現金及び預金は901百万円減っている。売上は立ったが、現金はまだ入ってきていない段階、と読めます。期末に売上が寄ったのなら自然な形ですが、CFが無い以上、確かめようがありません。

会社はどう説明しているか

この決算でいちばん大きい話は、ここです。短信の4ページ目で、会社はこう書いています。溶剤系塗料に不可欠なシンナー関連製品が著しく品薄になり、価格が急騰した。その品薄と今後の値上げを心配した取引先から、駆け込み需要と見られる受注の急増があった。だから「今後はその反動による需要の減少が予想され、先行きは予断を許さない」――。

増収の理由を、会社が自分で「駆け込み」だと言っているわけです。好決算の説明文としては、かなり正直な部類だと思います。売上の2割増のうちいくらが前倒し分なのかは短信に書かれていませんが、通期予想を据え置いた理由は、これで説明がつきます。Q1で稼いだ分は、後の四半期から借りてきた分だと会社自身が見ている。

さらに、中東情勢による原材料の調達難や価格高騰は「影響額を合理的に算定することが困難」なので予想に織り込んでいない、とも書いてあります。据え置きの予想ですら、悪い方の材料を全部は含んでいません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目進捗率この時期の目安
売上高28.4%25.0%
営業利益45.6%25.0%
経常利益47.7%25.0%
純利益45.9%25.0%

利益は3ヶ月で半分近くまで来ています。それでも据え置き。この予想を裏返すと、残り9ヶ月の営業利益は6,202百万円、前年の同じ9ヶ月より3割以上減る置き方になります。経常と純利益にいたっては半分近く減る置き方です。会社は反動減を、言葉だけでなく数字の配分でも見込んでいる、ということです。

なお配当予想は180円で、前期の230円から減っています。ただ内訳を見ると、前期は普通配当に記念配当50円が乗っていただけで、普通配当そのものは据え置きです。

私はどう読んだか

私は会社の説明に寄せて、つまり「Q1の良さは持続しない」ほうに寄せて読んでいます。理由は、駆け込みと反動減を会社自身が書いていること、経常の伸びの相当部分が為替の裏返しであること、そして現金の動きを確かめる手段が今回は無いことです。

ただ、留保も書いておきます。耐火断熱材は再開発や物流施設、データセンターの需要が堅調と書かれていて、こちらは駆け込みとは別の話です。3セグメントすべてが増収増益だったのも事実です。反動減が会社の見込みより浅ければ、この据え置き予想は保守的すぎたことになる。私の読み違いかもしれません。答えはQ2に出ます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.sk-kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/20260807-1.pdf

駆け込み需要が売上をいくら押し上げたのか、その金額は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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