不二家(2211)2026年12月期 第3四半期決算分析――大袋菓子の売れ行きが気になりました

不二家(2211)2026年12月期 第3四半期決算分析――大袋菓子の売れ行きが気になりました 日本株

スーパーの菓子棚と、街のケーキ屋の会社

不二家は、スーパーやコンビニの菓子棚と、街のケーキ屋の両方にいる会社です。棚に並ぶのは「ミルキー」「カントリーマアム」「ホームパイ」。家族で分けて食べる大袋が主力で、週末のかごに何となく入れておくような商品です。

街のほうは不二家洋菓子店で、誕生日やクリスマスのケーキを選びに行く店です。ファミリー向けのレストランもあります。飲み物ではネクターが知られていて、最近は静岡の工場で詰めた天然水も販売を始めました。

事業は、お菓子と飲み物の「製菓事業」と、ケーキと食事の「洋菓子事業」の2本です。売上の大半は製菓事業で、洋菓子事業は前年も今年も赤字です。

売上は増えて、営業損益は赤字に

10月26日に出た、2026年1月から9月までの9か月分の決算です。

今回前年同期増減率
売上高876億5,900万円839億6,800万円+4.4%
営業利益△1億1,300万円10億6,900万円—
経常利益7億5,000万円18億9,800万円△60.5%
純利益5,600万円9億700万円△93.7%

売上は増えたのに、利益は4行とも減りました。営業損益は赤字に転じています。

売上の増えた額より、原価の増えた額のほうが大きい

前年同期今回
売上高839億6,800万円876億5,900万円
売上原価566億3,700万円612億3,900万円
売上総利益273億3,100万円264億2,000万円
販売費及び一般管理費262億6,200万円265億3,300万円

損益計算書を開いて、最初に引っかかったのはここです。売上は、今回の876億5,900万円から前年同期の839億6,800万円を引きます。増えた額は36億9,100万円です。原価も同じように、612億3,900万円から566億3,700万円を引きます。こちらは46億200万円増えています。

増えた売上を、原価の増え方が上回りました。その差が売上総利益の減少、9億1,100万円です。販管費はほとんど増えていないので、営業損益の赤字はこの粗利の減り方でほぼ説明が付きます。

伸びている製菓事業で、利益が2割以上減った

売上 前年同期売上 今回損益 前年同期損益 今回
洋菓子事業222億300万円212億3,000万円△14億7,700万円△12億9,900万円
製菓事業590億4,600万円637億1,500万円57億2,100万円44億2,300万円

売上は外部顧客への売上高、損益はセグメント損益です。

製菓事業は、売上が1割近く伸びました。それなのに利益は12億9,800万円減っています。会社全体の売上総利益の減り方より大きい額です。

反対に洋菓子事業は、売上が減ったのに赤字が縮んでいます。工場で効率のよいラインに生産を集め、人の配置を見直した成果だ、と会社は説明しています。

比べるうえで一つ断りがあります。2025年7月に一部の子会社が洋菓子から菓子へ業態を変えました。そのため、この子会社の1〜6月分は、前年は洋菓子事業に、今年は製菓事業に入っています。製菓事業の伸びの一部はこの移し替えですが、その額は短信には書かれていません。

天然水の工場が、売上にも費用にも出ている

飲料の売上は30億5,800万円から44億2,600万円へ、4割以上伸びました。富士裾野工場で作る天然水の販売を始めたことが理由です。静岡の出身なので、裾野という地名には少し反応してしまいます。

同じ工場は、費用の側にも出てきます。製菓事業の減益の理由として、会社はカカオ豆や油脂の価格上昇と並べて、グミと天然水の新しい設備の減価償却費を挙げています。

その減価償却費は、添付資料の10ページにありました。前年同期の40億5,200万円が、今年は49億2,500万円です。引くと8億7,300万円の増加になります。ただし会社全体の数字で、事業ごとの内訳は短信に載っていません。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書は無かった

その10ページは、本来ならキャッシュ・フロー計算書が載る場所です。あったのは、第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していないという注記と、さっきの減価償却費だけでした。……ここで行き止まりか。

しかたがないので、貸借対照表の昨年12月末と今年9月末を並べました。

2025年12月末2026年9月末
現金及び預金123億1,800万円104億6,800万円
売掛金195億8,000万円126億8,700万円
商品及び製品46億3,000万円61億8,500万円
原材料及び貯蔵品46億7,600万円62億4,200万円

現金は18億5,000万円減りました。売掛金の大きな減少は、12月末が年末の売上を回収する前の時点だからだと考えています。

気になるのは在庫で、製品も原材料も15億円あまりずつ増えています。冬のチョコレートやクリスマスに向けて積む分もあるはずです。ただ、前年の9月末の在庫はこの短信に載っていないので、例年より多いのかどうかは比べられません。

経常利益の半分以上は、補助金収入でした

前年同期今回
補助金収入―4億5,500万円
持分法による投資利益7億5,800万円4億7,800万円
支払利息7,000万円2億1,400万円

営業損益が赤字なのに経常利益が残ったのは、営業外収益のおかげです。中でも補助金収入4億5,500万円は、前年同期には無かった科目です。経常利益7億5,000万円からこれを引くと、2億9,500万円になります。何の補助金なのかは、決算短信には書かれていません。

支払利息は3倍になりました。借入金の合計は12月末とほぼ同じ額なので、借りた額ではなく金利のほうが動いたのだと受け取りました。

7月から9月に、計画を大きく下回った

会社は、7月から9月の売上が計画を大きく下回ったと説明しています。理由に挙げているのは、記録的な長雨と豪雨、熊本の震災、値上げを背景にした消費者の節約です。カントリーマアムやホームパイの大袋も、値上げの影響で売上計画を大きく下回ったとしています。

この3か月だけを取り出すと、話がはっきりします。

1〜6月7〜9月1〜9月
売上高594億1,000万円約282億4,900万円876億5,900万円
営業利益2億9,700万円約△4億1,000万円△1億1,300万円
経常利益4億5,800万円約2億9,200万円7億5,000万円

約の付いた数字は、9か月の数字から、7月28日に出た上期の数字を私が引いたものです。

6月までは黒字だった営業利益が、この3か月で4億円あまりの赤字になっています。天候と震災の説明は、そのまま受け取ります。雨の日に洋菓子店へ来る人が減るのは分かりやすい話です。

大袋の菓子は事情が違います。会社自身が、天気ではなく値上げの影響だと書いています。対策として主力10品のパッケージの色数を減らすなど、原価を下げる手を続けるとしています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想9か月の実績進捗率残り3か月に必要な額
売上高1,230億円876億5,900万円71.3%353億4,100万円
営業利益16億円△1億1,300万円△7.1%17億1,300万円
経常利益22億円7億5,000万円34.1%14億5,000万円
純利益8億5,000万円5,600万円6.6%7億9,400万円

進捗率と必要な額は、表紙に載っている予想から私が割り算と引き算をしたものです。

会社はこの決算と同じ日に、通期予想を修正しています。修正前の数字は短信には載っておらず、別に出た修正のお知らせを私はまだ開いていません。表紙には、決算補足説明資料は「無」とあります。

売上は、10〜12月に前年の10〜12月とほぼ同じ額を見込んでいる計算です。重いのは営業利益で、この3か月に17億1,300万円が必要です。前年は9か月かけて10億6,900万円でした。それを上回る額を、3か月で稼ぐ計算になります。

配当は年30円のままです。予想1株利益が32円98銭なので、利益の9割ほどを配当に回す計画になります。

私はどう読んだか

減益の中心は新しい設備の減価償却で、天然水やグミが売れていけば吸収できる。これが一つの見方です。もう一つは、主力の大袋菓子が値上げを受け入れてもらえていない、という見方です。

私は後者だと考えています。理由は、減価償却費は年の初めから毎月ほぼ同じように乗る費用なのに、営業利益が崩れたのは7〜9月の3か月だからです。費用が急に増えたのではなく、売れる量のほうが変わったのだと思います。

在庫の増え方も、この考えと食い違いません。ただ前年の9月末と比べられない以上、裏付けにはなりません。

上がるかは知りません。10〜12月で17億円を稼ぐ前提に、冬の菓子とクリスマスケーキの季節がどれだけ入っているのか。2月の通期決算で確かめるつもりです。

出典:決算短信(会社発表)

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補助金収入4億5,500万円が何の補助金で、来期以降も入るものなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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