宇野澤組鐵工所(6396)2027年3月期 第1四半期決算分析――次の3か月を薄く置く理由が気になる

宇野澤組鐵工所(6396)第1四半期決算分析――売上は減ったのに、売上原価が200百万円落ちて利益が2.5倍になった 決算を読む

宇野澤組鐵工所は、真空ポンプと送風機・圧縮機を作っている会社です。真空ポンプは、容器や配管の中から空気を抜いて、真空に近い状態を作る装置です。私の知る範囲では、化学や食品の乾燥工程、材料の真空処理といった、空気があると困る場面で使われます。送風機は工場やトンネルに風を送る装置で、換気や排水処理の設備に組み込まれます。

買うのは、工場やプラントの設備を管理している人たちです。据え付けたら長く使う機械なので、あとから部品の交換や修理の注文が続きます。この会社の売上は、新しい機械を売る分と、据え付け済みの機械を直す分の二本立てです。

それとは別に、不動産の賃貸をしています。こちらは製造とは無関係に、毎年ほぼ同じ利益を出す事業です。今回は2026年8月7日に出た、2027年3月期の第1四半期決算短信を読みます。

この決算で何が起きたか

売上はわずかに減り、利益は2倍から2.5倍になっています。

項目今回前年同期増減率
売上高12億7,000万円12億9,000万円−1.5%
営業利益3億1,400万円1億2,400万円+152.2%
経常利益3億2,200万円1億5,300万円+110.1%
純利益3億3,400万円1億6,300万円+104.6%

1ページ目の業績表はここまでです。減った売上で利益が2.5倍になる理由は、この表には載っていません。

減った売上で、製造事業の利益が1億9,100万円に

セグメントの注記に、答えの半分があります。製造事業のセグメント利益は、前年同期の460万円から1億9,100万円になりました。売上は11億3,000万円から11億500万円に減っているのにです。不動産事業は1億2,000万円から1億2,400万円で、ほぼ横ばいです。利益が跳ねたのは、製造の側です。

損益計算書に戻ると、売上原価が10億800万円から8億800万円になっています。減り幅は2億円です。売上の減り幅は2,000万円です。その結果、売上総利益は2億8,100万円から4億6,100万円になりました。原価がなぜ2億円減ったのかは、決算短信には書かれていません。

会社が書いているのは、製品別の売上です。

製品今回前年同期比
真空ポンプ2億8,400万円3割強の減
送風機・圧縮機4億8,700万円+15.7%
部品1億7,600万円2割増
修理1億5,600万円+8.6%
輸出関係2,700万円7割近い減

真空ポンプが減って、部品と修理が増えています。ここまでは短信の数字です。新品の機械より部品と修理のほうが利益の幅が大きいのは、製造業ではよくあることです。売った中身が入れ替わって原価率が下がった、と私は読みました。ただ、それだけで2億円分が埋まるのかは分かりません。……いや、真空ポンプの落ち方のほうが気になる。3割減はちょっとした落ち方ではありません。

純利益が経常利益より大きい

経常利益3億2,200万円に対して、純利益は3億3,400万円です。ふつうは税金を払うので、純利益のほうが小さくなります。損益計算書の下のほうに、投資有価証券売却益1億5,100万円があります。前年同期にも9,300万円ありました。

貸借対照表では、投資有価証券が5億6,500万円から4億500万円になっています。減り幅は1億6,000万円です。純資産の中のその他有価証券評価差額金も、9,600万円減っています。含み益を持っていた株を売った、ということです。純利益3億3,400万円のうち、1億5,100万円は本業とは別のところから来ています。

営業外収益では、前年に助成金収入が2,000万円あって、今年はありません。営業外の合計は3,500万円から1,500万円に減りました。それでも経常利益が2倍になっているのは、本業の利益が大きく出たからです。

建設仮勘定が、3か月で4億4,400万円増えている

引っかかったのはここです。建設仮勘定が3億7,300万円から8億1,700万円へ増えています。建設仮勘定は、建物や設備を作っている途中で、まだ完成していない分を入れておく科目です。総資産83億5,100万円の会社にとって、3か月で4億4,400万円は小さい額ではありません。

同じ3か月で、現金は27億1,100万円から25億6,000万円になっています。減り幅は1億5,100万円です。長期借入金は、1年内返済分と合わせて2億円減っています。借金を減らしながら、何かを建てている形です。何を建てているのかは、決算短信の説明文にも注記にも出てきません。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作っていないと注記にあるので、投資の中身を数字の側から追う手立てもありません。これは何だろう。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明文で会社が書いているのは、製品別の売上の増減です。真空ポンプは減ったが、送風機・圧縮機と部品、修理が増えた、という内容です。利益が2.5倍になった理由には、決算短信のこの説明文は触れていません。予想については「2026年5月14日発表の業績予想に変更はありません」の一文です。

表紙には、決算補足説明資料の作成も決算説明会の開催も「無」とあります。説明は短信で全部、ということになります。製品別の数字はそのまま受け取ります。利益の跳ね方は、決算短信に理由が書かれていない以上、続くものとして受け取るのは保留しています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期の営業利益予想5億6,000万円に対し、第1四半期で3億1,400万円です。半分を超えました。私の割り算で56%です。売上の進み方は27%で、この時期の目安どおりです。

ここで、上期の予想に目を移します。表紙にある第2四半期累計の営業利益は3億2,000万円です。3億2,000万円から、第1四半期の3億1,400万円を引きます。すると7月から9月の3か月は600万円ほど、という計算になります。

前年と並べると、この薄さがはっきりします。表紙には上期予想の増減率が+10.4%と載っています。3億2,000万円を1.104で割り戻すと、前年の上期累計はおよそ2億9,000万円です。前年の第1四半期は1億2,400万円でしたから、前年の7月から9月はおよそ1億6,600万円の黒字だったことになります。

営業利益4月〜6月7月〜9月上期累計
前年 実績1億2,400万円約1億6,600万円約2億9,000万円
今年 会社予想3億1,400万円約600万円3億2,000万円

約の付いた数字は、表紙の上期増減率+10.4%から私が割り戻したものです。今年の4月から6月は実績です。

前年に1億6,600万円稼いだ3か月を、今年は600万円と見込んでいるわけです。売上も同じです。上期予想22億5,000万円から、第1四半期の12億7,000万円を引きます。7月から9月は9億8,000万円になります。前年の同じ3か月は、表紙の増減率から同じように割り戻すと12億7,000万円ほどなので、2割強減る見込みです。

下期はまた別で、通期5億6,000万円から上期3億2,000万円を引きます。残る2億4,000万円を、10月からの半年で稼ぐ形です。凸凹です。

私はどう読んだか

予想が5月のまま古いのか、7月からの仕事が本当に薄いのか。この2つのどちらかだと思います。

私は後者だと考えています。理由は、真空ポンプが3割減、輸出が7割減という数字が、同じ短信の中に並んでいるからです。上期の予想は5月14日に出ていて、その時点で4月から6月の受注はある程度つかんでいたはずです。第1四半期が終わって利益が2.5倍と分かったあとも、上期3億2,000万円を動かしていません。何か悪い材料を見込んでいるはずですが、それが何かは私には分かりません。

第1四半期の営業利益率は2割を超えていますが、原価が2億円減った理由が決算短信に書かれていない以上、これが続く数字だとは思えません。上がるかは知りません。7月から9月の3か月が終わったときに、600万円という見込みがどうなったかを確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807514328.pdf

売上原価が2億円減った中身と、建設仮勘定8億1,700万円で何を建てているのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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