MTG(7806)2026年9月期 第3四半期決算分析――増えた在庫は、売るための仕込みと読みました

MTG(7806)2026年9月期 第3四半期決算分析――増えた在庫は、売るための仕込みと読みました 決算を読む

ドライヤーと、お腹に巻くベルトの会社

MTGは、美容と健康の道具を企画して販売する会社です。工場は自社で持たず、製造はよそに任せています。よく知られているのは「リファ」のドライヤーやヘアアイロン、ブラシです。もう一つの柱は「シックスパッド」で、お腹や足に巻いたり貼ったりして、電気の刺激で筋肉を動かす器具です。

商品は、自社の通販、楽天のようなモール、百貨店、家電量販店、ドラッグストアと、広い場所で売られています。美容室やホテルにも入っています。泊まった部屋のドライヤーで、初めてリファに触れる人もいます。サロンで仕事に使う人と、家で自分の髪のために使う人。その両方を相手にしている会社です。

売上が5割近く増えた9か月

8月4日に出た、2026年9月期の第3四半期決算です。2025年10月から2026年6月までの9か月分になります。

今回前年同期増減率
売上高1,024億8,600万円700億5,700万円+46.3%
営業利益126億6,700万円93億2,800万円+35.8%
経常利益125億7,700万円93億8,600万円+34.0%
純利益97億3,900万円58億700万円+67.7%

売上は5割近く、営業利益は3割半ば増えました。純利益だけが営業利益よりずっと大きく伸びています。これは、あとの税金のところで触れます。

在庫が9か月で142億円増えた

貸借対照表で最初に引っかかったのは、商品及び製品です。前の期末には191億4,100万円でしたが、6月末には333億7,000万円になっています。9か月で142億2,800万円増えており、1.7倍ほどです(倍率は私の割り算です)。

同じ9か月で、ほかの科目も動いています。

2025年9月末2026年6月末
現金及び預金112億9,700万円98億3,000万円
商品及び製品191億4,100万円333億7,000万円
建設仮勘定62億5,600万円100億9,300万円
短期借入金なし87億7,900万円
長期借入金37億1,400万円99億6,000万円

この9か月で出した純利益は97億円です。それでも、現金は112億円台から98億円台へ減りました。借入金は、短期が87億7,900万円、長期が62億4,600万円増えています。

稼いだ利益と借りたお金が、在庫と建設中の設備に回った形です。ここまでは貸借対照表の数字です。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

いつもなら、ここで営業キャッシュ・フローを確かめます。在庫が増えれば、そのぶん営業で入ってくる現金は細るからです。2023年に、1ページ目は完璧なのに営業キャッシュ・フローがマイナスの会社を見てから、ここは必ず開くようにしています。

ところが、この第3四半期の短信には、キャッシュ・フロー計算書が付いていません。13ページ目の注記に「作成しておりません」とあり、代わりに減価償却費が載っているだけです。第3四半期の短信では珍しくない扱いで、手を抜いているわけではありません。

ただ、今回はいちばん見たい場所でした。……在庫が142億円増えた9か月に限って、現金の出入りが見えない。

減価償却費は、前年同期の15億5,900万円から30億6,500万円へ、ほぼ倍になっています。設備と店にかけたお金が、費用の側にも出始めています。

税金が軽くなり、純利益だけが大きく伸びた

利益の中身にも、もう一つ引っかかりがあります。純利益の大きな伸びは、本業だけでなく、税金の軽さからも来ています。

前年同期今回
税金等調整前四半期純利益92億4,700万円129億5,300万円
法人税等35億900万円32億1,400万円
税負担の割合約38%約25%

約の付いた割合は、法人税等を税金等調整前四半期純利益で割った私の計算です。

税引前の利益が37億円ほど増えたのに、税金は3億円ほど減っています。短信の注記によると、年間の実効税率を先に見積もり、それを掛けて税金を出しています。見積もった税率がなぜ前年より軽いのかは、決算短信には書かれていません。

特別利益には、投資有価証券売却益の3億9,900万円も入っています。ただ、こちらは規模が小さいものです。純利益の7割近い伸びは、割り引いて受け取ることにします。

会社は「在庫不足」と書いている

会社の説明文は長く、新商品と出店の話でほぼ埋まっています。在庫が増えた理由を正面から説明した段落は、決算短信にはありません。

それでも、説明文を並べてみると筋は見えてきます。4月に出した「ReFa TREATMENT IRON」は想定を大きく上回って売れました。4ページ目には「一時的な在庫不足への対応として一部チャネルへの販売を限定」したと書いてあります。楽天スーパーSALEなどの大型イベントでは、「十分な在庫の確保」で販売機会を逃さなかったとも書かれています。

142億円積んで、それでも足りない商品があった。……それなら、在庫が膨らんでいるのとは話が合う。

店も増えています。第3四半期だけで、リファは百貨店・ショッピングセンター・アウトレットに9店を出し、新しい形の店を4店始めました。シックスパッドも7店を出しています。リファのドラッグストアでの取扱いは1,700店舗まで広がりました。並べる棚が増えれば、置いておく品物も要ります。

一方で、在庫のうちどれだけが売れ筋の新商品で、どれだけが動きの遅いものなのかは、決算短信には書かれていません。説明文に出てくるのは伸びた商品の話ばかりで、伸びなかった商品は出てきません。そこには留保を付けて受け取ります。

残り3か月の純利益は、前年より4割少ない置き方

会社は8月4日に通期予想を引き上げ、配当予想も前期の25円から37円にしました。修正の理由は別の発表文に書かれているそうですが、私はそちらをまだ読んでいません。

通期予想9か月の実績残り3か月に必要な額
売上高1,420億円1,024億8,600万円約395億1,400万円
営業利益160億円126億6,700万円約33億3,300万円
純利益110億円97億3,900万円約12億6,100万円

約の付いた額は、通期予想から9か月の実績を引いて私が出したものです。

営業利益は通期予想の8割近くまで来ています。この時期の目安である4分の3を超えています。売上は7割あまりで、目安にわずかに届きません。

引っかかるのは純利益です。残り3か月の営業利益は、前年の同じ時期の2倍半ほどを見込んでいます。それなのに純利益は、前年より4割少ない見込みです。

営業では稼ぐのに、最後の利益は細る見込みです。その間に何が入るのかは、決算短信には書かれていません。9か月で軽かった税金を、残り3か月で調整するつもりなのかもしれません。

増えた在庫は、売るために積んだものだと考えています

受け取り方は2つあります。売れる前提で積んだ在庫なのか、売れ残りがたまり始めているのか。

私は前者の見方をしています。理由は、会社自身が在庫不足で出荷を絞ったと書いた期だからです。同じ9か月で店を増やし、売上も5割近く伸ばしています。売れ残りが積み上がっている会社は、ふつう欠品の話をわざわざ書きません。

ただ、心配性なので、悪いほうも見ておきます。在庫と設備を、利益だけでなく借入金でもまかなっている点です。自己資本比率は、前の期末の67.8%から58.1%になりました。売れ行きが一度鈍れば、333億円の在庫はそのまま重さになります。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260804/140120260803506610.pdf

残り3か月で、営業利益33億円に対して純利益を12億円台と置いた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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