日本酸素ホールディングス(4091)2027年3月期 中間決算分析・続報――下期の予想が腑に落ちない

日本酸素ホールディングス(4091)2027年3月期 中間決算分析・続報――下期の予想が腑に落ちない 日本株

空気を分けて届け、水筒も作る会社

この会社の主力は、空気から取り出した酸素や窒素、アルゴンです。水素やヘリウム、炭酸ガスも扱います。使う側の中心は工場で、製鉄の炉、化学工場の設備、半導体の製造ラインに欠かせません。

魔法瓶のサーモスもこの会社で、水筒を選ぶときに手に取った人もいると思います。決算は日本、米国、欧州、アジア・オセアニアにサーモスを加えた形で出てきます。

前の記事では、2026年7月29日に出た第1四半期決算を取り上げました。引っかかったのは売却益と受取配当、残り9か月の低い見込みです。日本の機器・工事の減収と欧州の数量の減少は、次の決算で確かめると書きました。

売上収益は1割増、純利益は4割増の上期

2026年11月4日に出た中間決算(4月から9月)です。

今回前年同期増減率
売上収益7,371億4,700万円6,508億2,900万円+13.3%
営業利益1,192億7,400万円942億400万円+26.6%
経常利益———
純利益795億9,100万円574億2,600万円+38.6%

国際会計基準の決算なので、経常利益の欄はありません。営業利益には土地の売却益が入っているため、ここからはそれを除いたコア営業利益で追います。

第2四半期だけ取り出すと、為替を除いた伸びはほぼ半分

短信の数字は累計です。第2四半期の姿は、上期から第1四半期を引くと出ます。コア営業利益は、上期が1,088億9,700万円、第1四半期が546億8,800万円です。差し引いた約542億900万円が第2四半期です。

コア営業利益第1四半期第2四半期上期
今期546億8,800万円約542億900万円1,088億9,700万円
前年同期456億2,000万円約486億3,700万円942億5,700万円
今期のうち円安の分約42億円約28億円約70億円
為替を除いた伸び約11%約6%約8%

為替を除いた伸びは、今期から円安の分を引いて前年同期と比べた、私の割り算です。

第1四半期に約1割だった為替を除く伸びが、第2四半期は約6%まで鈍りました。ただ、円安の分を引いた金額は、第1四半期の約505億円から第2四半期の約514億円へ増えているので、失速とまでは言えません。

四半期ごとの理由は短信に書かれていません。地域別の増減率を並べると、鈍り方は分かります。

セグメント利益上期上期の増減率第1四半期の増減率
日本250億円−5.4%−9.7%
米国284億8,400万円+23.2%+30.8%
欧州380億3,400万円+16.3%+18.4%
アジア・オセアニア152億9,000万円+70.7%+106.9%
サーモス27億4,200万円−21.4%+10.3%

日本を除く4つで、増減率が悪いほうへ動いています。サーモスは第2四半期の天候不順で減益に転じましたが、全体の鈍化を説明する大きさではありません。アジア・オセアニアは、前期に取得した事業の上積みが一巡し始めた段階かもしれない、と私は考えています。

日本の機器・工事も、欧州の数量も、減少が続いている

確かめると書いた2点の答えです。

日本の機器・工事は、今回も減収でした。短信はエレクトロニクス関連、産業ガス関連とも減収と書いています。電子材料ガスの出荷増と値上げでガスは増収です。日本全体の売上収益は1.5%増に戻り、利益の減少幅も縮みました。心配したほど悪化はしていません。

欧州のガスは、今回も出荷数量が減っています。それでも、為替の影響を除いて増益だと短信にあります。量の減少を値上げと生産性で埋める形が、半年続いたことになります。売上収益には、今期子会社化したイタリアのエンジニアリング事業も入ってきました。

営業キャッシュ・フローを減らしたのは、税の支払い

第1四半期に3割増えていた営業キャッシュ・フローが、上期では5.5%減です。上期は1,132億8,500万円、第1四半期は547億5,100万円でした。引き算すると、第2四半期は585億3,400万円です。前年は同じ引き算で782億600万円ですから、4分の1ほど少ない。今回いちばん引っかかった数字の一つです。

前の記事で気にした配当金の受取額は、第1四半期の70億1,900万円から、上期でも71億3,300万円にしか増えていません。

前年同期今回
税引前中間利益832億6,100万円1,077億1,500万円
配当金の受取額6億7,900万円71億3,300万円
法人所得税の支払額△211億8,900万円△381億9,400万円
営業キャッシュ・フロー1,198億9,800万円1,132億8,500万円

税の支払いは170億500万円増えました。営業キャッシュ・フローの減少66億1,300万円を、この1行で上回っています。損益計算書の法人所得税は19億800万円増えただけで、未払法人所得税は3月末より68億4,700万円減っています。ここまでは短信の数字です。

前期までの利益にかかる税の支払いが今期に重なった、と私は受け取りました。短信にその説明はありません。

手元の現金は3月末から241億4,400万円減りました。社債の償還300億円と長期借入金の返済346億8,600万円に回った結果です。

純利益は4割増、包括利益は4割減

中間包括利益は1,079億800万円から628億3,000万円へ、4割減っています。原因は在外営業活動体の換算差額で、446億1,200万円のプラスから226億100万円のマイナスへ変わりました。

純利益と包括利益が反対に動いた理由は、どちらも為替です。損益は期中平均で換算され、米ドルは前年同期より13円97銭の円安でした。資産は期末で換算され、こちらは3月末より2円53銭の円高です。上期の利益を押し上げた円安は前年同期と比べた話で、3月末と比べれば円高でした。

会社は数量と値上げ、生産性を挙げている

短信が挙げる理由は、出荷数量の増加、コスト上昇を販売価格に反映する価格マネジメント、地域ごとの生産性向上です。

米国と欧州の、為替を除いた増益はそのまま受け取ります。全体で約8%伸びたという計算と食い違わないからです。ただ、この約8%には取得した事業の分が混ざっています。寄与額が短信に書かれていないので、それを除いた伸びまでは計算できません。

下期は売上収益も利益も、前年を下回る見込み

通期予想は5月11日のままです。

通期予想上期実績進捗率残り6か月前年の下期
売上収益1兆3,800億円7,371億4,700万円約53%約6,429億円約7,088億円
コア営業利益2,080億円1,088億9,700万円約52%約991億円約1,089億円
営業利益2,150億円1,192億7,400万円約55%約957億円約1,036億円
純利益1,310億円795億9,100万円約61%約514億円約665億円

約の付いた数字は、短信の数字から私が計算したものです。残り6か月は通期予想から上期実績を引いています。

前年の下期は、コア営業利益ならこう出します。通期予想の2,080億円には、表紙に増減率+2.4%とあります。1.024倍で割り戻すと、前期の通期は約2,031億円です。そこから前年の上期942億5,700万円を引いて、約1,089億円になります。今期の残りは約991億円ですから、1割近く少ない見込みです。

売上収益も同じ計算です。上期に1割増えた売上が、下期には前年を約660億円下回る。……これは変だ。取得した事業は下期も数字に入ります。

前提を確かめようとしました。短信の注記が指す3ページを開くと、5月の予想から修正していないという1文だけです。為替をいくらで見込んでいるのかは、短信には書かれていません。表紙には補足説明資料が「有」とありますが、今回は読めていません。

私はどう読んだか

予想が5月のままで古くなっているのか、下期に悪い材料を見込んでいるのか。前の記事と同じく、今回も前者だと考えています。理由は、売上が1割近く減るほどの材料が、短信の説明文からは出てこないからです。

ただ、前回より確信は弱くなりました。半年分の実績が出ても、予想は動いていません。為替を除いた伸びも第2四半期に鈍っています。心配性なので、次の決算でも第3四半期だけを取り出して計算し直します。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://jp.nipponsanso.com/LinkClick.aspx?fileticket=xWWZxlBJsbw%3D&tabid=133&mid=797

通期予想が前提にしている為替レートは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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