川崎汽船(9107)2027年3月期 中間決算分析――増益の中身はコンテナ船だと読みました

川崎汽船(9107)2027年3月期 中間決算分析――増益の中身はコンテナ船だと読みました 日本株

鉄鉱石も完成車も、海の上を運ぶ会社です

川崎汽船は、荷物を船で運ぶ会社です。鉄鉱石や穀物を積むばら積み船、発電の燃料になる液化天然ガスの輸送船、完成した自動車をそのまま積み込む自動車船。

私は自動車部品の会社で財務をしているので、自動車船の話だけは少し身近です。

もう一つの事業がコンテナ船で、ここだけ形が違います。運んでいるのは持分法適用関連会社のONE社で、その運賃は川崎汽船の売上高には入りません。川崎汽船の決算に入るのは、持分に応じた利益だけです。今回の決算は、この形を頭に置かないと読み違えます。

営業利益は2割増、経常利益はほぼ倍

11月4日に出た第2四半期(中間期)の決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高6,020億2,000万円5,005億6,500万円+20.3%
営業利益512億2,500万円429億5,500万円+19.3%
経常利益1,183億9,800万円596億6,900万円+98.4%
純利益1,245億1,700万円686億3,200万円+81.4%

営業利益と経常利益で、伸び方がまるで違います。差の正体を探しに、続きをめくりました。

経常利益の6割近くが、持分法による投資利益でした

損益計算書の営業外収益に、持分法による投資利益が702億4,100万円あります。前年同期は196億6,300万円でした。このうちONE社の分は657億円だと、短信の添付資料2ページに書かれています。

経常利益は前年同期から587億2,900万円増えました。持分法の増加は505億7,800万円で、増えた分の8割以上がここから来たことになります。

3か月ごとに分けると、偏りはもっとはっきりします。

項目第1四半期第2四半期
営業利益195億8,100万円316億4,300万円
経常利益240億4,600万円943億5,100万円
経常利益と営業利益の差約44億6,500万円約627億800万円

約の付いた数字は、経常利益から営業利益を私が引いたものです。

差の行だけ桁が変わっています。……いや、これは振れすぎだ。説明会資料の数字ですが、コンテナ船事業の経常損益は第1四半期が54億円、第2四半期が689億円でした。

純利益が経常利益より大きいのも、一瞬変に見えます。理由は、特別利益に固定資産売却益139億8,800万円があり、法人税等合計が70億円にとどまるからです。税金がこの水準で済む理由は、短信にも、私が読んだ範囲の説明会資料にも書かれていません。

製品物流の利益は7割増、ただし自動車船は半減です

セグメント利益今回前年同期
ドライバルク160億3,100万円13億5,100万円
エネルギー資源48億3,500万円54億5,300万円
製品物流981億5,600万円573億7,700万円
その他6億3,700万円6,200万円
調整額△12億6,300万円△45億7,600万円
合計1,183億9,800万円596億6,900万円

ドライバルクは、自分の船で稼いだ増益です。短信によれば、鉄鉱石やボーキサイトの荷動きと、中東情勢を背景にした石炭輸送需要に支えられました。

引っかかったのは製品物流です。説明会資料を開くと、向きが逆の2つの事業が入っています。コンテナ船は221億円から744億円へ増えました。一方、自動車船は301億円から153億円へ半減しました。

短信は自動車船について、代替輸送による航海の長期化、船腹稼働率の低下、燃料費の増加を挙げています。燃料油価格は1トンあたり547ドルから788ドルへ上昇しました。説明会資料の輸送台数は前年同期よりわずかに増えているので、荷物が消えたわけではありません。運ぶ費用が増えた半年だったと受け取りました。

営業キャッシュ・フローを動かしたのは、利息及び配当金の受取額でした

添付資料10ページのキャッシュ・フロー計算書まで行くと、経常利益が倍になった半年に、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期の3割弱まで減っていました。

項目今回前年同期
持分法による投資利益702億4,100万円196億6,300万円
営業活動の小計595億4,400万円660億2,300万円
利息及び配当金の受取額86億2,400万円1,318億7,700万円
営業活動によるキャッシュ・フロー544億5,400万円1,886億4,300万円

動いたのは利息及び配当金の受取額で、前年同期より1,232億5,300万円減りました。営業活動によるキャッシュ・フローの減少1,341億8,900万円のうち、大半がこれです。どちらも私の引き算です。

前年同期は持分法の利益が小さいのに現金が多く入り、今回は利益が大きいのに現金はあまり入っていません。持分法の利益は帳簿に載るだけで、現金になるのは配当として受け取ったときです。誰からの受取なのか、内訳は短信には書かれていません。

配当で戻らない利益は、投資有価証券の残高に積み上がります。この科目は半年で1兆2,018億9,900万円から1兆2,549億300万円へ増え、総資産の半分を超えました。同じ11月4日に「当社個別決算における営業外収益(受取配当金)の計上に関するお知らせ」が出ていますが、題名を確認しただけで、中身はまだ読んでいません。

現金の減少は、自己株式の取得と配当で説明が付きます

現金及び預金は半年で1,324億6,200万円減りました。財務活動では、自己株式の取得が1,225億6,600万円、配当金の支払額が382億9,200万円です。足すと1,608億5,800万円で、営業活動で入った現金を大きく超えます。

これは財務の傷みではないと考えます。自己資本比率は75.5%あります。説明会資料では、傭船料を含めた自己資本比率が59〜61%で、まず50%前後をめどに資本を適正化する方針だと書かれています。

短期運賃の上昇が、会社自身の説明です

短信によると、コンテナ船事業では北米向けを中心に貨物需要が旺盛でした。これに加えて港湾混雑、喜望峰ルートの利用による航海の長距離化、中東情勢が需給を引き締め、短期運賃が上昇したと書いています。

この説明はそのまま受け取ります。気になるのは、この運賃が続くかどうかです。挙げられた理由のうち需要は一つだけで、残りは船が遠回りしたり港で止まったりして、運べる量が減った話です。説明会資料の数字ですが、スエズ運河の通航をめぐるコンテナ船の船腹供給への影響は10%程度とされています。ONE社は一部航路で通航を再開する予定です。

残り半年の経常利益は、第2四半期の3か月分に届きません

通期予想は10月23日に修正した数字で、今回は変更がありません。経常利益は前回予想の1,350億円から1,900億円へ修正されました。

項目通期予想上期実績進捗率下期に必要な額前年の下期
売上高1兆1,700億円6,020億2,000万円約51.5%約5,679億8,000万円約5,177億9,800万円
営業利益910億円512億2,500万円約56.3%約397億7,500万円約412億800万円
経常利益1,900億円1,183億9,800万円約62.3%約716億200万円約494億3,000万円
純利益1,900億円1,245億1,700万円約65.5%約654億8,300万円約643億5,200万円

約の付いた数字は、表紙の通期予想と四半期ごとの推移から私が計算したものです。

経常利益の残りは716億200万円で、第2四半期の3か月で稼いだ943億5,100万円に届きません。この半年よりは勢いが落ちると、会社は見込んでいることになります。

説明会資料の数字では、下期のコンテナ船事業は上期の744億円に対して326億円の見込みです。

増益の主役はコンテナ船の運賃だと考えています

受け取り方は2つあります。川崎汽船の稼ぐ力が一段伸びたのか、コンテナ船の運賃がこの半年を押し上げたのか。

私は後者の見方をしています。理由は、経常利益の増加の8割以上が持分法の利益で、その元になった短期運賃の上昇が、輸送の混乱にも支えられているからです。

本体が悪いとも受け取っていません。燃料油価格が4割以上高くなった半年に、営業利益率は前年同期の8.6%から8.5%で、ほぼ同じです。ドライバルクの増益と円安が、自動車船の落ち込みを埋めた形です。

それでも心配性なので、ONE社の利益がどれだけ現金として戻ってくるかを次の決算で確かめます。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/kline-corp/dam/jcr:43a35d1e-649b-472a-aee1-1dcee21ddcb6/140120261030561594.pdf

ONE社の利益のうち、どれだけが配当として下期に戻ってくるのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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