スカパーJSAT(9412)2027年3月期 中間決算分析・続報――上方修正は費用の話と読みました

スカパーJSAT(9412)2027年3月期 中間決算分析・続報――上方修正は費用の話と読みました 日本株

静止軌道に通信衛星を持ち、その回線を貸している会社です。使うのは、飛行機や船で通信したい事業者や、安全保障の分野です。

もう一つの柱は有料放送の「スカパー!」です。光回線で地上波やBSの放送を家庭に届ける再送信サービスも手がけています。

前の記事では、2026年8月5日に出た第1四半期の短信を取り上げました。引っかかったのは、契約が減っているメディア事業が増益の中心だったことです。減った費用の中身と、建設中の衛星の償却を確かめるつもりでいました。

増収増益に、上方修正と増配が重なりました

2026年11月4日に出た中間決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高(営業収益)668億9,400万円608億7,100万円+9.9%
営業利益216億4,900万円172億1,000万円+25.8%
経常利益227億3,000万円181億1,600万円+25.5%
純利益160億3,300万円117億6,900万円+36.2%

売上に10億円、利益に25億円を足した上方修正です

4月28日に出た予想と今回の予想を並べます。

項目4月の予想今回の予想差
営業収益1,350億円1,360億円10億円の増加
営業利益390億円415億円25億円の増加
費用約960億円約945億円約15億円の減少

約の付いた数字は、営業収益から営業利益を引いて私が出したものです。

……売上は10億円しか足さないのに、利益は25億円か。

増えた売上がすべて利益に残っても、15億円足りません。会社は通期の費用を15億円少なく見込み直したことになります。今回いちばん引っかかったのはここです。年間配当も48円から52円へ増やしました。

前の記事で私は、4月の予想を変えなかったことを「弱気ではなく、たぶん正直」と書きました。第1四半期の増え方は続かないと会社が織り込んでいる、という受け取り方です。3か月後に予想が引き上げられたので、この読みは外れました。

どの費用を減らす見込みなのかは、決算短信には書かれていません。添付資料の5ページは、修正の詳細を同じ日の別の「お知らせ」に譲っていて、私はそちらをまだ読んでいません。

第2四半期だけでは、メディアの増益は半分ほどでした

前回の引っかかりの続きです。中間から第1四半期を引いて、7月から9月を取り出します。

営業利益(7月から9月)前年今年増加額
宇宙事業約58億8,100万円約66億3,300万円約7億5,200万円
メディア事業約35億800万円約43億4,500万円約8億3,700万円

約の付いた数字は、引き算で出したものです。

第1四半期のメディアの増益は17億4,400万円でしたから、半分ほどに縮んでいます。ただ、上期の累計では、メディアの増益25億8,200万円を全社の増益44億3,900万円で割ると、まだ6割近くあります。

前の記事では、ブンデスリーガ終了による費用減は第2四半期以降には出てこない、と書きました。今回の短信にも四半期ごとの金額は無く、この書き方は根拠の薄い言い切りでした。訂正します。

販売費及び一般管理費は、上期に前年同期より6億1,400万円減りました。第1四半期の減少は2億4,400万円でしたから、残りの3億7,000万円は7月から9月の分です。第2四半期のほうが減り幅は大きく、前回の想定と逆でした。

光再送信は300万世帯を超えました

「スカパー!」の加入件数は上期に7万8,000件の純減で、累計は237万7,000件です。一方、光再送信サービスは8月に契約世帯数が300万世帯を超えました。世帯と件では数え方が違いますが、規模はすでに同じ水準か、それ以上です。

視聴料などが12億円減り、光再送信関連が20億円増えました。その光再送信がどれだけ利益を生んでいるのかは、決算短信には書かれていません。

衛星の建設は続き、減価償却費はまだ増えていません

前回から追っている建設仮勘定は、3月末の789億600万円から988億3,000万円まで積み上がりました。いま飛んでいる衛星の帳簿上の額である317億9,900万円の3倍ほどです。

上期の減価償却費は75億1,200万円で、前年同期の76億1,400万円とほとんど変わりません。償却の増加はまだ損益に出ていない、というのが今回の答えです。衛星がいつ動き始め、償却がいくら増えるのかは短信から分からないので、この確認は持ち越します。

もう一つ、資金の流れを見ると、借りたお金はまだ現金のままです。

項目今回
営業活動によるCF305億1,500万円の収入
有形・無形固定資産の取得236億800万円の支出
配当金の支払い65億1,600万円の支出
長期借入れ170億円の収入
長期借入金の返済61億2,600万円の支出

305億1,500万円から236億800万円を引きます。残るのは69億700万円です。配当の65億1,600万円はここから払えるので、設備投資と配当は稼いだ現金で賄えた計算です。そこへ170億円の借入が加わりました。現金及び現金同等物は半年で162億円増えて739億円になりました。

短信は借入の目的を「成長投資への資金確保」と書いています。大きな支払いに備えて先に借りておいた、と私は受け取りました。自己資本比率は73.4%あり、借入の額そのものを心配する水準ではありません。

宇宙の増収は受け取り、メディアの説明には留保を付けます

宇宙事業の増収の理由は2つです。安全保障領域の拡大で、スペースインテリジェンス事業が43億円の増収。加えて、グローバル・モバイル分野が15億円の増収です。

この説明はそのまま受け取ります。理由は、売上も営業利益も同じ17.0%の増加で、無理に費用を削った形が表に出ていないからです。

メディア事業の説明には、定常業務の費用低減と一過性の費用減少が並べて書かれています。前者はスカパー東京メディアセンターの減価償却費とカスタマーセンター費用、後者はブンデスリーガの放送・配信終了とコネクテッドTV事業化検証の終了です。

留保を付けるのは、この2つの金額の割合が決算短信に書かれていないからです。

下期は上期より売上を増やし、利益を減らす見込みです

項目通期予想進捗率残り6か月に必要な額残り6か月の前年比
営業収益1,360億円約49.2%約691億600万円約+3.6%
営業利益415億円約52.2%約198億5,100万円約+10.0%
経常利益415億円約54.8%約187億7,000万円約+8.5%
純利益290億円約55.3%約129億6,700万円約+12.4%

約の付いた数字は、通期予想と上期の実績から私が出したものです。

上期と下期に分けて前年と並べると、形の違いが見えてきます。

項目前年 上期前年 下期今年 上期今年 下期
営業収益608億7,100万円約667億円668億9,400万円約691億600万円
営業利益172億1,000万円約180億円216億4,900万円約198億5,100万円

今年の下期は通期予想から上期を引いた額です。前年の下期は、通期予想を表紙の増減率で割り戻して前年の通期を出し、そこから前年の上期を引きました。

今年は上期より下期に売上が増えるのに、営業利益は18億円ほど減る見込みです。売上の増加22億円ほどと営業利益の減少18億円ほどを足します。費用の増加は約40億円です。前年も同じように計算すると下期の費用は約50億円増えているので、費用の増加自体は珍しくありません。

前年と違うのは売上の増え方で、上期から下期への増加は前年の約58億円に対し、今年は22億円ほどです。この小ささが控えめな見込みなのか、理由があるのかは短信から分かりません。

費用の軽さは、前回より長く残ると考えています

上方修正の裏にある15億円は、定常の費用低減が定着した分なのか、一過性の費用減が想定より大きかった分なのか。私は前者の見方をしています。理由は、第2四半期だけでも販売費及び一般管理費の減り幅が第1四半期より大きく、メディアの増益も半分ほど残っているからです。前回の「一時的に軽くなった四半期」という見方を、ここは少し動かしました。

心配性なので、頭に残っているのは988億3,000万円の建設仮勘定です。これが衛星に振り替わった後の利益の形は、今回も分かりませんでした。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

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上方修正で減らした費用15億円の中身と、ブンデスリーガの放送・配信終了などによる一過性の費用減少の額は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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