ダイキン工業(6367)2027年3月期 中間決算分析――営業外に引かれた分が気になる

ダイキン工業(6367)2027年3月期 中間決算分析――営業外に引かれた分が気になる 日本株

はじめに

エアコンを作っている会社です。家庭の壁に掛かっている室内機も作っていますが、売上の柱は業務用のほうです。店舗の天井に埋め込まれているもの、ビルの階ごとに冷暖房を配るもの、工場や倉庫の暑さをしのぐもの。建物を建てるとき、あるいは古い設備を入れ替えるときに、設計会社や工務店を通して買われていきます。

ここ数年で伸びているのはデータセンター向けの大型機です。サーバーは動かせば熱を出すので、冷やす設備が足りないと計算そのものが止まります。

もう一つ、フッ素化学の事業を持っています。冷媒のガス、半導体の製造装置に使う樹脂、電線を覆う材料。エアコンの会社が化学をやっている理由は、冷媒がそもそも化学品だからです。

売上は2割近く増えたのに、経常利益はほぼ横ばい

11月5日に出た、2027年3月期の中間決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高2兆9,107億6,600万円2兆4,787億9,800万円+17.4%
営業利益2,707億9,300万円2,466億200万円+9.8%
経常利益2,471億8,800万円2,418億8,700万円+2.2%
純利益1,729億5,900万円1,609億3,300万円+7.5%

売上の伸びと経常利益の伸びが、ここまで離れる決算はあまり見ません。引っかかったのはここです。

営業利益と経常利益の間で、189億円が引かれている

損益計算書(短信10ページ)では、営業外収益が220億1,800万円から170億1,400万円へ減っていました。営業外費用は267億3,200万円から406億1,900万円へ増えています。差し引きした営業外の損益は、前年同期の47億1,400万円の損から236億500万円の損へ。189億円ほど悪くなっています。営業利益が242億円増えたのに経常利益の増加が53億円で止まった理由は、これです。

中身は3つに集まっています。

営業外の主な科目前年同期今回
支払利息207億5,600万円235億6,400万円
為替差損10億4,900万円79億7,000万円
インフレ会計調整額59億8,300万円の収益25億5,300万円の費用

支払利息で28億円、為替差損で69億円がそれぞれ増えました。インフレ会計調整額は、前年同期に収益の59億8,300万円でした。それが費用の25億5,300万円に変わったので、2つを足して85億円としました。合わせて182億円ほどの悪化です。これは私の足し算です。

インフレ会計調整額は見慣れない科目です。短信には科目名だけで理由が書かれていませんが、決算説明会資料では、トルコにインフレ会計を適用したことに伴う調整額だと説明しています。商売の中身とは別のところで上下に振れる項目です。

為替差損が7倍以上になっているのも目を引きます。こちらの中身は、短信からは読み取れませんでした。

3,500億円の自己株式取得と、増えた借入

支払利息だけは性質が違います。借りている金が増えれば増えますし、翌期にも残ります。

短信の注記(14ページ)に、5月13日付で自己株式14,516,700株を取得し、その後の調整を含めて自己株式が3,499億9,700万円増えた、と書かれています。

この3,500億円は現金で出ていきました。キャッシュ・フロー計算書の財務活動に、自己株式の取得による支出3,500億円が並んでいます。前年同期はゼロでした。財務活動のキャッシュ・フローは、356億300万円の支出から1,962億1,200万円の支出へ膨らんでいます。

出た分をどこで埋めたか。貸借対照表のコマーシャル・ペーパーが、前期末の283億9,300万円から1,586億2,900万円へ増えています。社債も2,000億円から2,800億円へ。短信7ページには、負債が増えた主因はコマーシャル・ペーパーの増加であり、有利子負債比率が18.8%から22.8%になったと書いてあります。自己資本比率は55.9%から51.0%へ下がりました。

この低下は、損を出したからではありません。自分の株を買って自己資本そのものを減らした結果です。ここは分けて考えています。

いっぽうで、営業活動で稼いだ現金は3,410億1,900万円あり、前年同期より976億円増えていました。仕入債務の増加が主な理由だと短信7ページに書いてあります。本業の現金が細っているわけではありません。

利益率が上がったのは空調ではなく化学

セグメントの表(15・16ページ)を前年同期と並べると、化学事業が目立ちます。売上は1,267億8,400万円から1,587億8,900万円へ増えています。営業利益は136億5,500万円から242億1,400万円へ。営業利益を売上で割ると10.8%から15.2%でした。この割り算は私のものです。

対して、売上の9割以上を占める空調・冷凍機事業は、売上が17.0%増えて営業利益は5.2%増。利益率は10.1%から9.1%へ下がりました。全社の営業利益率が9.9%から9.3%へ落ちたのは、こちらの側です。

化学事業の伸びについては、半導体向け樹脂の需要回復と、データセンター向けの電線材料の用途開発が理由として挙げられています(6ページ)。エアコンの会社の決算で、いちばん利益率が上がっていたのが化学だった。……これは少し意外でした。

会社はどう説明しているか

営業利益が増えた理由は、短信4ページにあります。価格政策の推進と差別化商品の投入、そして変動費低減によるコスト競争力の強化を、重点テーマとして挙げています。原材料価格の高騰や米国の関税措置という逆風を、そこで吸収したという書き方です。

数字の形で分解しているのは説明会資料のほうです。上期の営業利益の増減を、為替で60億円のプラス、原材料で770億円のマイナスと並べています。そこに価格施策で460億円のプラス、コストダウンで350億円のプラスが続きます。さらに、米国関税による直接の負担103億円と、米国関税の還付126億円が注記されています。

還付が負担を上回っている。ここで一度止まりました。そして通期の計画では、還付は126億円のまま据え置かれ、直接の負担は170億円に増えています。下期は負担だけが増えて、還付は増えない前提です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は上方修正されました。売上は5兆4,400億円、営業利益は4,550億円です。経常利益は4,170億円、純利益は2,800億円。5月の予想からは、売上が2,900億円、営業利益が190億円の引き上げです。配当も年370円へ増やすと発表しています。

半年を終えた時点の進捗率は、売上が53.5%、営業利益が59.5%でした。純利益は61.8%です。折り返しの時期として、どれも目安を上回っています。これは通期予想と上期実績から私が割ったものです。

ただ、残りの半年だけを取り出すと景色が変わります。

下期前年実績今期の計画
売上高約2兆5,362億3,800万円約2兆5,292億3,400万円
営業利益約1,683億8,900万円約1,842億700万円
純利益約1,142億9,600万円約1,070億4,100万円

約の付いた数字は、通期から上期を引いて私が出したものです。

売上は前年並み、営業利益は1割近く増やす計画です。それなのに純利益は、前年の下期を6%あまり下回ります。上期に計上した特別利益61億9,900万円が下期には見込まれていないのか、営業外で引かれ続ける前提なのか。下期の営業外損益と特別損益の内訳は、短信には書かれていません。私は前者だと考えています。理由は、特別利益は毎期そろって出てくる種類のものではないからです。

私はどう読んだか

本業が稼いだ分を、本業の外で削られた半年だと考えています。理由は、営業利益の増加242億円に対して、営業外の悪化が189億円と、ほぼ同じ大きさだからです。

その3つのうち、為替差損とインフレ会計調整額は、来期も同じ向きに出るとは限りません。トルコの調整額は、前年同期には収益の側にありました。残るのは支払利息で、自己株式の取得を借入で埋めた分、しばらく続きます。

それでも、営業利益を押し上げた価格政策とコストダウンは、半年で消える種類のものではありません。化学の利益率の改善も、半導体とデータセンターという行き先がはっきりしています。私は、上期の営業外の悪化と本業の評価は、切り離して受け取っています。心配性なので、支払利息の行は次の四半期も見ます。

出典:決算短信(会社発表)

2027年3月期 第2四半期 決算短信 | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社
2027年3月期 第2四半期 決算短信を発表します。

為替差損が7倍以上に増えた中身は、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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