キユーピー(2809)2026年11月期 第3四半期決算分析――値上げで稼いだ分は本物と読みました

キユーピー(2809)2026年11月期 第3四半期決算分析――値上げで稼いだ分は本物と読みました 決算を読む

マヨネーズと卵と油の会社

キユーピーはマヨネーズとドレッシングの会社です。家の冷蔵庫にある、あのマヨネーズを作っています。ただ、家庭向けだけの会社ではありません。食品工場や外食の店に、業務用の調味料や、卵を割って加工した品物を納めています。

ほかにも、スーパーに並ぶサラダや総菜、袋入りのカット野菜があります。子会社のジャム、ヒアルロン酸のサプリメントの通信販売もあります。海外では中国、アジア・オセアニア、米州で売っています。

マヨネーズの中身は、ほとんどが油と卵です。ですから、この会社の利益は油と卵の値段に大きく左右されます。今回もその話になりました。

本業は増益、純利益は減益

10月8日に出た第3四半期決算です。12月から8月までの9か月分になります。

今回前年同期増減率
売上高3,971億1,900万円3,834億2,400万円+3.6%
営業利益316億5,800万円270億6,200万円+17.0%
経常利益343億1,500万円292億1,800万円+17.4%
純利益213億1,100万円260億5,500万円△18.2%

営業利益と純利益が、逆を向いています。

純利益の減少は、前年の売却益の裏返し

理由は損益計算書にそのまま載っています。前年同期の特別利益に、固定資産売却益が120億7,300万円ありました。今年の同じ項目は1,900万円です。

短信4ページ目の説明文も「前年同期に計上した固定資産売却益の反動」と書いています。純利益の減少は前年の一度きりの収入が抜けた分で、本業が落ちたわけではありません。

マヨネーズは、量が少し減って単価が上がった

本業の増益がどこで生まれたかは、事業ごとの表で分かります。

営業利益前年同期今回
市販用97億7,700万円118億800万円
業務用82億900万円110億8,900万円
海外110億7,000万円111億8,000万円

国内の2つが、それぞれ2割、3割5分ほど伸びています。海外はほぼ横ばいです。

国内の伸び方は、補足説明資料にもう一段細かく出ていました。ここからは補足説明資料の数字です。家庭用のサラダ調味料は、販売量が2%減り、1kgあたりの単価が5%上がっています。業務用は量が前年並みで、単価が4%上がりました。

量を落とさずに値段を通したのは、業務用のほうです。家庭用は数を少し失っていますが、単価の上げ幅がそれを上回りました。値上げが利益にそのまま乗った、と私は受け取りました。

海外の伸びには、円安の分が多く混じっている

海外の売上は100億9,700万円増えています。ただ補足説明資料には、9か月の前年差に為替の影響が売上で59億円、営業利益で8億円含まれている、と注記されています。現地通貨で見た海外の伸びは6%だそうです。

海外の営業利益の増加は1億1,000万円でした。為替の8億円が、すべて海外の分だと仮定します。その場合、為替を除いた増減は、1億1,000万円から8億円を引いた額です。およそ7億円の減益になります。短信は、新工場の償却費の増加と中国の減益を理由に挙げています。

現金は、自社株の取得に回っていた

ここで、いつものようにキャッシュ・フロー計算書を探しました。短信10ページ目の注記に「作成していません」とあります。第3四半期は作らなくてよい決まりなので、違反ではありません。……10ページ目まで来て、これか。

仕方がないので貸借対照表から追いました。

前期末今回
現金及び預金655億9,800万円573億9,000万円
商品及び製品252億8,200万円284億5,800万円
原材料及び貯蔵品149億6,400万円180億6,200万円
短期借入金72億200万円2億4,200万円
長期借入金なし150億円

同じ10ページ目に、自己株式の取得で164億8,400万円を使ったと書かれています。長期で150億円を借りて、短期の借入金はほぼ返しています。借り入れは差し引きで増えましたが、自社株の取得額には届きません。現金が減った分は、その差でおおむね説明がつきます。

在庫も増えています。ただ、商売が細って売れ残ったのか、値上がりした原料を早めに仕入れたのかは、貸借対照表の数字だけでは分けられません。

会社はどう説明しているか

短信4ページ目の説明はこうです。増収は、国内で卵の加工品の数量が伸び、値上げが浸透したためです。海外ではアジア・オセアニアが好調で、米州が回復しました。増益は、高付加価値の商品への切り替えと物流の効率化が、新工場の償却費や中国の減益を上回ったためです。

国内については、補足説明資料の単価の数字と合っていて、そのまま受け取れます。海外の「増収効果が上回り増益」には留保を付けます。上回った分の多くは、円安の分です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

9か月の実績通期予想進み具合残り3か月
売上高3,971億1,900万円5,300億円約74.9%約1,328億8,100万円
営業利益316億5,800万円380億円約83.3%約63億4,200万円
純利益213億1,100万円255億円約83.6%約41億8,900万円

約の付いた数字は、通期予想と9か月の実績から私が割り算・引き算で出したものです。

9か月なら4分の3が目安ですが、利益はそれを上回っています。それでも1月に出した予想は変わっていません。残り3か月の営業利益は、前年の同じ3か月より16%ほど少ない見込みです。これは私の引き算です。

なぜ減益と見込むのかの説明は、短信にはありません。手がかりは補足説明資料の原料の表にありました。大豆・菜種油の1kgあたりの価格は、今期の第1四半期が398円、第2四半期が401円でした。第3四半期は410円です。通期の前提は415円で、7月の時点では427円でした。

通期の415円が、4つの四半期を単純に平均した数字だと仮定します。その場合、415円の4倍から3つの四半期の値を引いた残りが、最後の3か月の見込みです。450円前後になります。これは私の計算です。卵のほうは、前提が9か月の実績より低めに置かれています。

私はどう読んだか

残り3か月の減益には、2つの見方があります。油のさらなる値上がりを前提にした慎重な見積もりか、短信に出てこない別の悪い材料か、です。

私は前者だと考えています。理由は、補足説明資料の油の前提が、9か月の実績より高いところにあるからです。前提を427円から下げたのに、予想の数字は動かしていません。その分を余裕として残したように見えます。

ただ、心配性なので反対側も書いておきます。油の価格は、補足説明資料の表で2年近く四半期ごとに上がり続けています。家庭用は値上げの代わりに量を2%失いました。次の値上げで、量の落ち方がこの程度で済むかは分かりません。

上がるかは知りません。値上げで稼いだ国内の利益は本物だと思います。為替を除いた海外が弱いことも、事実です。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.kewpie.com/ir/pdf/kessan_tanshin/2026/ir_20261008_FY2026q3_tanshin.pdf

第3四半期までの営業キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書が作られていないため、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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