応用地質(9755)中間決算分析――去年の稼ぎ頭と今年の稼ぎ頭が、そっくり入れ替わっていた

応用地質(9755)中間決算分析――去年の稼ぎ頭と今年の稼ぎ頭が、そっくり入れ替わっていた 決算を読む

はじめに

応用地質は、地面の下を調べる会社です。橋や道路を架ける前、ビルを建てる前、地盤がどうなっているかを調査する。地質調査という地味な仕事ですが、この分野の国内首位です。

最近はそれに加えて、防災の仕事が大きい。地震や火山の観測設備、豪雨のときのインフラ監視。国土強靭化という言葉と一緒に語られる領域です。もうひとつが洋上風力で、海の上に風車を建てるには、まず海の底を調べないといけません。その海底調査をやっています。

つまりこの会社の決算は、「国の防災予算」「洋上風力の進み具合」「海外のインフラ投資」という3つの水脈の混ざり方で決まります。今回の中間決算は、その混ざり方が1年前とまるで違っていました。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高35,16136,806-4.5%
営業利益1,9502,680-27.2%
経常利益2,2453,072-26.9%
純利益1,6582,600-36.2%

(単位:百万円)

売上は微減、利益は3割前後の減少。1ページ目だけ見れば、はっきり悪い決算です。ただ、この表は中で起きたことをほとんど説明していません。

最初の表では分からなかったこと

稼ぎ頭の椅子が入れ替わっていた

引っかかったのは13ページのセグメント表です。前年同期と今回を並べます。

セグメント前年同期の営業利益今回の営業利益
防災・インフラ3752,118
環境・エネルギー2,664377
国際△393△548

(単位:百万円)

防災・インフラの営業利益は375百万円から2,118百万円へ。環境・エネルギーは2,664百万円から377百万円へ。……数字がほとんど鏡写しだ。1年で、稼ぎ頭の椅子がそっくり入れ替わっています。

環境・エネルギーが落ちた理由として会社が挙げているのは、洋上風力の詳細調査需要の縮小、一部大型案件の売上計上が下期中心になること、海洋調査を担う国内子会社の計画未達です。一方で、このセグメントの受注高は前年同期の104.9%と、むしろ増えている。JOGMECの大型基礎調査案件を受注したと書かれています。売上には出ていないが、注文は積み上がっている、という状態です。

純利益の36.2%減は、額面より軽い

8ページの損益計算書を下まで読むと、前年同期には投資有価証券売却益が1,471百万円入っていました。今回は256百万円です。代わりに前年には減損損失624百万円もあった。つまり前年の純利益2,600百万円は、株の売却益でかさ上げされた数字でした。純利益の減り幅だけを見て「本業が36%悪化した」と読むのは間違いです。本業の悪化は営業利益の27.2%減のほうで測るべきで、それでも十分に重いのですが。

現金は増えている。ただしこれは季節の話

10ページのキャッシュ・フロー計算書では、営業キャッシュ・フローが16,577百万円のプラスです。利益が減ったのに現金がこれだけ入った理由は、売上債権の減少17,524百万円。貸借対照表を見ると、完成業務未収入金及び契約資産が38,913百万円から21,927百万円まで減っています。年度末に納めた仕事の代金を、上期に回収した形です。公共事業が多い会社の上期はこうなります。良い話ですが、実力の話ではありません。なお法人税等の支払額は前年の574百万円から2,229百万円に増えています。前年に儲かった分の税金を今払っている、これも時期の話です。

会社はどう説明しているか

会社の説明を並べると、防災・インフラの改善は「原価管理の徹底や生産性向上に向けた取り組みの効果」、環境・エネルギーの落ち込みは「売上計上時期が下期中心」「詳細調査需要の縮小」、国際の赤字拡大は「米国子会社での洋上風力市場の停滞と防災・学術関連予算削減」です。

洋上風力については、中長期の期待に変化はないとしつつ、「次なる事業者公募に時間を要する状況が継続」と自分で書いています。テーマが消えたのではなく、時計が遅れている。ここは正直な書き方だと思います。

留保をつけたいのは「下期中心」の部分です。この一言が、次の節の重さを全部支えることになるからです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は据え置きです。営業利益4,200百万円、前期比でわずかに増える置き方のままです。

項目進捗率残り6ヶ月に必要な額残り6ヶ月の前年比
売上高46.9%39,839+0.9%
営業利益46.4%2,250+57.2%
純利益42.5%2,242+29.3%

(金額の単位:百万円。目安は50%)

売上の残りは前年並みでいい。ところが営業利益は、下期に前年比+57.2%が要ります。上期に3割近く減らした会社が、下期に6割近く増やす計画を、修正なしで置いている。その根拠として短信に書かれているのは、大型案件の計上が下期に来ること、そして受注残が積み上がっていることです。

私はどう読んだか

私は慎重な側に寄せて読んでいます。理由は、下期の営業利益に6割近い伸びを求める構図に対して、会社の説明が「計上時期が下期中心」という一言に集約されていて、それがいくら分なのかが短信のどこにも書かれていないからです。据え置きは自信の表れとも読めますが、修正の判断を先送りしただけとも読める。私は後者の可能性を消せませんでした。

読み違いかもしれません。環境・エネルギーの受注高は前年を上回っており、防災・インフラの収益性改善が本物なら、届く道はあります。防災の営業利益が原価管理でここまで変わるなら、それは一過性ではない種類の改善です。ただ、確かめられるのは第3四半期です。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260803506416.pdf

環境・エネルギー事業の「一部大型案件」が下期にいくら計上される見込みなのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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