宅急便の会社です。玄関先まで荷物を届けるドライバーと、夜のあいだに拠点から拠点へ荷物を運ぶトラックの網を、全国に持っています。荷物を出すのは、遠くの家族に段ボールを送る個人、商品を発送するネット通販の事業者、取引先へ品物を納める企業です。
企業の倉庫の運営や国際貨物の手配、トラックの整備も手がけていますが、損益を大きく左右するのは今も宅急便です。年末に荷物が集中する商売なので、一年の稼ぎは後半に偏ります。
前の記事では、8月3日に出た第1四半期の短信を読みました。引っかかったのは、上期の予想で経常利益より下の行に大きな赤字が組まれていたことです。中身が分からず、第2四半期の短信が出たら特別損失の行を先に開く、と書きました。
営業損失は縮み、純損失は2倍を超えた
11月4日に出た中間決算です。
| 項目 | 今回(2026年4〜9月) | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(営業収益) | 9,068億5,400万円 | 9,067億7,400万円 | +0.0% |
| 営業利益 | △17億4,900万円 | △37億8,200万円 | — |
| 経常利益 | △8億2,600万円 | △37億4,700万円 | — |
| 純利益 | △105億6,200万円 | △48億8,700万円 | — |
営業損失が縮んだのに純損失が広がる並びは、第1四半期と同じです。
前回分からなかった赤字は、子会社の売却損でした
約束どおり、特別損失の行から開きました。関係会社株式売却損80億8,700万円です。注記によると、ヤマトクレジットファイナンスの株式をすべて譲渡し、連結から外しています。経常損失と純損失の開きの大半は、この1行です。
貸借対照表では、3月末に602億9,900万円あった割賦売掛金がなくなりました。
ここは私の外れです。前回は、何を片づけるのか分からない赤字の大きさだけが先に決まっている、と重く受け取りました。中身は本業の悪化ではなく、割賦の債権を持つ子会社を手放した損失でした。
しかも説明会資料には、詳細の案内先として別の資料が挙げてあります。そのリンク先の住所に「260514」とあり、5月14日付の発表に見えます。前回の私は短信と質疑応答しか開いていません。その資料は今回も開いていませんが、探しに行くべき書類でした。
営業キャッシュ・フローの赤字は、支払いを早めた分がほとんどでした
短信の計算書から主な行を抜きました。
| 項目 | 今回 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純損失 | △109億8,000万円 | △38億900万円 |
| 関係会社株式売却損益 | 80億8,700万円 | — |
| 仕入債務の増減額 | △431億3,800万円 | △147億4,300万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △155億6,000万円 | 153億5,000万円 |
短信の8ページ目が挙げる理由は2つで、税引前の損失の拡大と、輸送パートナーへの支払いの早期化です。ただ、損失が広がった主因である売却損では現金が出ておらず、計算書の中で足し戻されています。
悪化の中心は仕入債務です。減り方が前年同期より283億9,500万円大きく、営業キャッシュ・フローの悪化309億1,000万円の9割ほどにあたります。この割合は私の割り算です。
支払いを早めても、損益計算書には1円も出ません。一度早めた支払いは簡単に戻せないので、毎年続く流出というより、支払いの水準が一段変わった話だと私は受け取りました。
現金及び現金同等物は1,929億1,700万円あり、前年同期より多い水準です。資金繰りが苦しいという話ではありません。どの相手への支払いを何日早めたのかは、短信には書かれていません。
営業損失の改善は、宅急便の外から来た分が大きい
| 事業 | 今回の営業損益 | 前年同期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| エクスプレス | △161億1,700万円 | △167億6,700万円 | +6億5,000万円 |
| コントラクト・ロジスティクス | 35億3,200万円 | 25億4,900万円 | +9億8,300万円 |
| グローバル | 44億4,500万円 | 45億9,100万円 | △1億4,500万円 |
| モビリティ | 35億400万円 | 25億6,300万円 | +9億4,000万円 |
| その他 | 28億4,600万円 | 32億6,200万円 | △4億1,600万円 |
| 連結 | △17億4,900万円 | △37億8,200万円 | +20億3,300万円 |
倉庫の運営と車両整備の改善を足すと、19億2,300万円です。連結の改善とほぼ同じ額になります。売上の8割強を占める宅急便の事業は、赤字が少し縮んだだけでした。
荷物の減少を、意図した分と需要の弱さに分けて説明しています
短信が挙げる増収の理由は、小口法人・個人の荷物の拡大、大口法人への価格の適正化、法人向けビジネスの拡大です。
説明会資料は、前年からの数量減を「低採算荷物の抑制」、前回予想からの下振れを「法人需要の弱含みや自然災害」と分けています。
ただ、短信は下期の大口法人について「伸び悩みが継続する見通し」と書いています。自分から抑えている荷物を、ふつう伸び悩みとは言いません。どこまでが意図した分で、どこからが需要の弱さなのかは、私には切り分けられませんでした。
営業利益420億円の据え置きは、下期の増収が前提です
上期は8月時点の会社予想に、売上で131億4,500万円、営業損益で17億4,900万円届きませんでした。通期の売上予想は1兆9,180億円から1兆8,950億円へ下方修正され、利益の予想は据え置かれています。
売上の進捗率は47.9%です。
| 項目 | 上期 実績 | 下期に必要な額(約) | 前年の下期(約) | 通期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,068億5,400万円 | 約9,881億4,600万円 | 約9,589億100万円 | 1兆8,950億円 |
| 営業利益 | △17億4,900万円 | 約437億4,900万円 | 約320億8,600万円 | 420億円 |
| 経常利益 | △8億2,600万円 | 約428億2,600万円 | 約300億500万円 | 420億円 |
| 純利益 | △105億6,200万円 | 約265億6,200万円 | 約185億4,900万円 | 160億円 |
約の付いた数字は、通期の数字から上期の数字を引いた私の計算です。前年の通期実績は、短信の9ページ目に載っています。
上期は前年と同額だった売上が、下期は3%ほど増える計算です。短信は、費用の適正化で売上の減少分を相殺すると書いています。ただ、それは前回予想と比べた話です。
前年の下期と比べると、増収は292億4,500万円、営業利益の増益は116億6,300万円です。増収から増益を引いた175億8,200万円ぶん、費用は増える計算になります。費用を減らして増益にするのではなく、増収の一部を利益に残す計画です。
ここからは説明会資料の数字です。大口法人の荷物は、上期に前年同期より8.9%減りました。通期見込みの9億7,960万個から上期の4億7,227万個を引くと、下期は約5億732万個です。
前年は10億2,950万個から5億1,847万個を引いて、下期は約5億1,102万個でした。減り方は1%に届きません。……上期に9%近く減ったのに、下期は減少がほぼ止まる前提か。
宅急便の事業の利益も、同じ資料の数字で計算できます。通期予想は121億円、上期は△161億円です。通期予想から上期を引くと、下期は282億円です。前年は通期が22億円、上期が△167億円でした。同じ引き算で下期は189億円ですから、93億円の改善を見込んでいます。連結の下期の増益の8割ほどを、上期の改善が6億5,000万円だった事業に頼る形です。
下期には別の材料もあります。短信の6ページ目には、国内線貨物専用機の運航を2027年6月を目途に完了すると書かれています。その費用の額は、短信にも、私が確かめた範囲の説明会資料にも書かれていません。
売却損より、下期の個数の前提のほうを心配しています
見方は2つあります。子会社の整理が済み、最も荷物の多い第3四半期で稼ぐ準備が整ったと受け取るか。それとも、下期の前提のほうを重く受け取るか。
私は後者の見方をしています。理由は、大口法人の減少がほぼ止まる前提で、増益の大半を宅急便の事業に頼る計画だからです。前年の下期にすでに荷物が減っていた分はあるのかもしれませんが、上期との落差を埋めるほどなのかは分かりません。
売却損と支払いの早期化は、それほど悪い材料ではないと考えています。前回は心配の向け先を外しました。同じ癖が今回も出ている可能性は、自分でも認めます。
上がるかは知りません。次の決算が出たら、大口法人の個数から開きます。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/results/pdf/2q_tansin_2027_03.pdf
貨物専用機の運航を終える費用が今期の予想にどれだけ入っているのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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