オービーシステム(5576)2027年3月期 中間決算分析――投資有価証券の増え方が気になる

オービーシステム(5576)2027年3月期 中間決算分析――投資有価証券の増え方が気になる 日本株

銀行の裏側で動くシステムを作っている会社です

オービーシステムは、よその会社から頼まれてコンピューターのシステムを設計し、作り、そのあとも動かし続ける仕事をしています。いちばん大きな取引先は銀行です。預金や融資の仕組みのほか、保険、証券、クレジットの裏側で動くソフトも手がけています。

銀行以外の仕事も幅広く持っています。自動車関連や家電量販店の業務システム、病院向けのシステム、電力会社の情報設備、自治体の税の管理などです。窓口やアプリの向こうで、私たちが毎日使っている手続きを支える側にいます。目立つ製品はありませんが、止まると困るものを作っている会社です。

上期は、売上より利益が大きく伸びました

2026年10月21日に出た中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高46億8,600万円38億9,900万円+20.2%
営業利益3億1,100万円2億1,300万円+45.8%
経常利益3億3,200万円2億3,100万円+43.6%
純利益2億9,100万円2億1,400万円+36.2%

売上は2割増え、営業利益は4割半ば増えました。通期予想は、4月に出したものから変えていません。

「縮減」と書いた半年に、投資有価証券は4億9,038万円増えていた

短信の4ページ目に、純利益の伸びについて「政策保有株式の縮減等による投資有価証券売却益9,834万円を計上した」とあります。取引先の株を手放して、9,834万円の利益が出たということです。

そのつもりで7ページ目の貸借対照表を開くと、投資有価証券は3月末の25億572万円から、9月末には29億9,610万円になっていました。半年で4億9,038万円の増加です。……減らしたと書いてあるのに、増えている。

どこから増えたのかは、キャッシュ・フロー計算書と純資産の欄を並べると見えてきます。

中身金額載っている場所
新しく取得した3億35万円キャッシュ・フロー計算書
売って受け取った1億690万円キャッシュ・フロー計算書
うち売却益9,834万円損益計算書
その他有価証券評価差額金の増加1億3,609万円貸借対照表

売って受け取った額の3倍近くを、新しく買っています。持っているものの値上がりでも、帳簿の金額が膨らみました。評価差額金は税金の分を引いたあとの額で、その税金は繰延税金負債の増加6,970万円として負債の側に出ています。買った額から売った株の帳簿の額(受け取った額から売却益を引いたもの)を差し引き、値上がり分を税金込みで足すと、増えた額にほぼ届きます。買い増しと値上がりの2つで、おおよそ説明が付くということです。

取引先の株を減らすことと、投資有価証券全体が増えることは、矛盾しません。売ったのが株で、買ったのが別のものなら両立します。受取利息は1,126万円から1,518万円へ増えています。利息の付くもの、たとえば債券を買い増した、と私は受け取りました。

3億円で何を買ったのかは、決算短信には書かれていません。表紙に決算補足説明資料を作ったとありますが、私はまだそちらを開いていません。

気になるのは額の大きさです。投資有価証券は、いまでは現金及び預金の22億6,446万円を上回り、資産の中でいちばん大きな科目になりました。人の手で稼ぐシステム会社が、本業とは別の値動きを抱えていることになります。上期の包括利益4億2,774万円が純利益を大きく上回っているのも、この値上がりのためです。

現金の稼ぎは、前年のほぼゼロから戻りました

10ページ目のキャッシュ・フロー計算書では、営業活動による現金の増加が、前年上期の246万円から3億5,433万円へ戻っています。前年は法人税等の支払いが2億609万円と重く、今期は1億161万円でした。

税金の払い方の違いだけではありません。税金を払う前の小計も、1億9,164万円から4億3,464万円へ倍以上になっています。売掛金などの回収が7,552万円進んだことも効いています。利益が帳簿の上だけでなく、現金としても入ってきている、と私は考えています。

3つの事業はそろって伸び、中には弱い分野もある

事業前年同期今回増減率
金融18億50万円23億4,196万円+30.1%
産業流通11億4,947万円13億2,630万円+15.4%
社会公共9億4,998万円10億1,789万円+7.1%

引っぱったのは金融で、3割増えています。今期からクラウドなどの基盤構築を担う事業を金融に統合していますが、前年の数字も組み替えて比べてあります。

5ページ目の説明文は、弱い分野も隠していません。車載向けのマイコン分野は自動車メーカーの減益で案件が縮み、医療は予定の案件が延びて計画を下回りました。社会公共の中でも、社会インフラ分野は受注の時期が遅れています。

もう一つ、伸びの中には買った会社の分が入っています。前年上期に、子会社の取得で2億4,703万円を払っています。その影響で、のれんの償却は2,488万円から4,320万円に増えました。買収した分を除いた伸びは、決算短信には書かれていません。

会社が挙げた理由は、粗利の改善でした

短信の説明では、人件費、AIエージェント活用に向けた研究開発費、のれん償却が増えました。それでも売上総利益率の改善で利益が伸びた、としています。損益計算書で確かめました。

前年上期今年上期
売上総利益7億1,110万円9億1,980万円
売上総利益率約18.2%約19.6%
販売費及び一般管理費4億9,756万円6億844万円

約の付いた数字は、売上総利益を売上高で割った私の計算です。

粗利は2億870万円増え、販管費の増加は1億1,088万円でした。費用が増えた以上に、粗利が増えています。説明はそのまま受け取ります。

営業利益は4割に届かず、前年はもっと後ろに偏っていた

上期の実績通期予想進み具合下期に必要な額
売上高46億8,600万円100億円46.9%53億1,400万円
営業利益3億1,100万円8億3,500万円37.2%5億2,400万円
経常利益3億3,200万円9億円36.9%5億6,800万円
純利益2億9,100万円7億2,000万円40.4%4億2,900万円

売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は4割弱です。これだけだと遅れて見えますが、前年と並べると話が変わります。

表紙の通期予想の増減率は+24.2%です。8億3,500万円を1.242で割り戻すと、前年の通期営業利益はおよそ6億7,200万円になります。前年の上期は2億1,300万円でしたから、上期の取り分は通年の3割ほどです。残るおよそ4億5,900万円を、下期に稼いでいたことになります。

今期の下期に必要な5億2,400万円は、前年の下期より1割半ほど多い額です。上期は前年より4割半ば伸びました。下期に求められる伸びはそれより小さい、というのが私の引き算です。

四半期ごとに分けても同じ形が出ます。第1四半期の営業利益は9,900万円でした。3億1,100万円から引くと、7月から9月の3か月は2億1,200万円です。後ろの四半期ほど重くなる形は、今期も続いています。

私はどう読んだか

本業については、私は良いほうの見方をしています。通期予想に対して遅れておらず、前年の季節の偏りと比べれば、むしろ先を進んでいます。理由は、粗利の改善が損益計算書で確かめられ、営業キャッシュ・フローの小計も倍以上になっていて、利益と現金の両方で伸びが出ているからです。

純利益は売却益に支えられている部分があるので、私は営業利益のほうを物差しにしています。気がかりは、資産のいちばん大きな科目になった投資有価証券です。心配性なので、本業の決算とは別の帳面として頭に置いておきます。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|IRライブラリ|株式会社オービーシステム
オービーシステムの決算短信を掲載しています。

3億35万円で買い足した投資有価証券が何なのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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