ヤマトホールディングス(9064)2027年3月期 第1四半期決算分析――上期の赤字の中身が気になる

ヤマトホールディングス(9064)2027年3月期 第1四半期決算分析――上期の赤字の中身が気になる 決算を読む

宅急便の会社です。ネット通販で頼んだ品物が翌日に玄関へ届く。実家から段ボールが送られてくる。そのどちらかを、この会社の車が運んでいます。国内の宅配便のうち、かなりの割合をこの一社が扱っています。

ただ、荷物を運ぶだけの会社ではありません。企業の倉庫を預かる仕事、海外との貨物の手配、トラックの整備、電力の調達まで、法人向けの商売を少しずつ増やしています。それでも売上の8割強は宅急便で、赤字も宅急便から出ています。

私がこの会社の短信を最後まで読むのは、今回が初めてです。個人の荷物の会社という印象で入りましたが、読み終えると、大口法人との料金の話と、経常利益より下の話が残りました。

営業損失は縮み、純損失は広がった

8月3日に出た第1四半期の短信です。この会社は売上高を「営業収益」と呼びます。

項目今回(2026年4〜6月)前年同期増減率
売上高(営業収益)4,433億3,200万円4,373億5,200万円+1.4%
営業利益△48億7,100万円△64億9,400万円
経常利益△49億3,800万円△66億5,600万円
純利益△58億8,700万円△54億2,400万円

宅急便は年末に荷物が集まる商売で、第1四半期の赤字はこの会社では珍しくありません。ただ、営業損失が縮んだのに純損失が広がった、という並びには引っかかりました。

個数は減って、売上は増えた

短信の4ページ目に、荷物の個数の表があります。

品目今回前年同期増減率
宅急便・宅急便コンパクト・EAZY4億4,900万個4億6,300万個△3.0%
ネコポス・クロネコゆうパケット1億2,600万個1億700万個+18.2%
クロネコゆうメール2,400万冊2,700万冊△10.3%

主力の宅急便が減っています。それでもエクスプレス事業の外部売上は3,646億8,000万円で、前年から0.4%増えました。数が減って売上が増えるなら、1個あたりの料金が上がっているということです。ここまでは短信の数字です。

小口法人と個人の荷物は増えている、と会社は書いています。合計が減っているのですから、減ったのは大口法人の荷物だと私は受け取りました。8月4日の説明会の質疑応答にも、法人部門の取扱数量が想定より下振れした、とあります。

エクスプレス事業の営業損失は131億3,900万円で、縮んだのは2億9,800万円だけです。値上げの効き目が、赤字の大きさに比べてまだ小さい段階かもしれません。

純損失が広がった理由は、減損16億1,500万円

営業損失は16億2,200万円縮んだのに、純損失は4億6,300万円広がっています。理由は、損益計算書の特別損失に減損損失16億1,500万円が載っているからです。前年の同じ行は100万円でした。

注記には、エクスプレス事業で使用用途の変更が生じた資産を減額した、とあります。どの資産の用途が変わったのかは、短信には書かれていません。宅急便のネットワークを組み替える途中で、使わなくなった施設や車両が出たのかもしれません。

設備投資は減っていない。借り方が変わった

キャッシュ・フロー計算書を開いて、最初は設備投資を絞ったのかと思いました。有形固定資産の取得による支出が35億2,200万円で、前年から82億2,000万円減っているからです。

ところが貸借対照表では、リース資産が76億6,400万円、リース債務が92億6,400万円増えています。短信の説明文にも、設備投資におけるリース取引の活用、とはっきり書いてあります。東京、滋賀、岡山の3拠点をこの四半期に開き、その建物や設備をリースで入れたということです。投資は続いていて、現金を先に払う代わりに、後から払う形に変わっただけです。

営業活動によるキャッシュ・フローは91億8,700万円の収入で、前年から92億8,800万円減りました。減った理由の一つとして会社が挙げているのは、前年に自己株式取得の預託金を払い出したことで営業キャッシュ・フローが膨らんでいた、というものです。……いや、自社株買いの前払いが営業活動なのか。前年が膨らんでいたのであって、今年の本業が弱くなった分ではない、と私は受け取りました。

会社はどう説明しているか

増収の理由は、小口法人・個人の荷物の増加、大口法人への料金の見直し、法人向けビジネスの拡大です。費用が増えた理由は、待遇を上げた人的投資と、エネルギーや部材の単価上昇です。一方で、配車や積載の効率化で費用を抑えた、とも書いています。

販管費が9億2,000万円減っているのは、その効率化と、持株会社の一般管理費が減ったことで説明が付きます。

留保を付けたいのは「業績が概ね計画通り推移している」という一文です。法人部門の数量は下振れしています。その分は人や車の配置を需要に合わせて減らし、費用を抑えて埋める、というのが質疑応答での答えです。費用を減らして利益を守る話であって、荷物を取り戻す話ではありません。

上期は営業利益ゼロ、純利益は95億円の赤字という置き方

表紙の予想と、第1四半期の実績を並べます。

項目第1四半期 実績上期 会社予想通期 会社予想前期 実績(約)
営業利益△48億7,100万円0円420億円約283億円
経常利益△49億3,800万円0円420億円約263億円
純利益△58億8,700万円△95億円160億円約137億円

約の付いた数字は、通期予想を表紙の増減率で私が割り戻したものです。使った増減率は、営業利益が+48.4%、経常利益が+59.9%です。純利益は+17.1%です。

売上は通期予想の23.1%まで来ていて、4分の1に少し足りない進み方です。営業利益は赤字なので進捗率に意味はなく、残り9か月で、通期予想の420億円に第1四半期の赤字を足した468億7,100万円を稼ぐ必要があります。予想は5月14日の発表から変えていません。

上期の予想をそのまま受け取ると、7月から9月の3か月の営業利益が計算できます。上期の0円から第1四半期の△48億7,100万円を引きます。すると、48億7,100万円の黒字という置き方になります。経常利益も同じ計算で49億3,800万円の黒字です。

目が止まったのは、その下です。純利益は、上期の△95億円から第1四半期の△58億8,700万円を引きます。すると、7月から9月に36億1,300万円の赤字を置いていることになります。経常で49億円の黒字、純利益で36億円の赤字。差は85億円あります。

経常利益と純利益の間にあるのは、特別損益と税金です。前期は、表の経常利益から純利益を引くと、その差は約126億円でした。今期の通期予想では、同じ引き算で260億円です。経常利益が6割増える計画に対して、差は2倍に開いています。会社側は、経常利益より下で何かを処理する計画を、5月の時点で持っていたことになります。それが何なのかは、短信にも説明会の質疑応答にも書かれていません。

配当は年46円の予想で、1株利益の予想50円52銭に対して9割強にあたります。純利益の予想がそのまま出ないと、配当が利益を超える水準です。

私はどう読んだか

見方は2つあります。営業損失が縮んだのを本業の回復と受け取るか。それとも、経常利益より下に大きな赤字を組み込んだ予想のほうを重く受け取るか。

私は後者の見方をしています。理由は、その組み方が8月の下方修正ではなく、5月の時点からの計画だからです。本業の回復は損益計算書で確かめられますが、赤字のほうは、何を片づけるつもりなのか分からないまま、大きさだけが先に決まっています。

上がるかは知りません。心配性なので、第2四半期の短信が出たら、特別損失の行を先に開くと思います。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260803/140120260617572329.pdf

上期予想で経常利益ゼロの下に置かれた95億円の赤字が、何の費用なのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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