岩井コスモホールディングス(8707)2027年3月期 中間決算分析――7〜9月の細り方が気になる

岩井コスモホールディングス(8707)2027年3月期 中間決算分析――後半の落ち方が気になる 日本株

はじめに

岩井コスモホールディングスは、関西に地盤を置く証券会社グループの持株会社です。中核は傘下の岩井コスモ証券です。支店の営業担当者が客と向き合い、株や投資信託を勧める対面の商売を柱にしています。自分でネットで売買する人向けの窓口もあります。

客の中心は、自分で銘柄を選ぶよりも、担当者と相談しながらお金を動かしたい個人です。会社は短信の中で、米国株を客の資産の一部に組み入れてもらう提案に力を入れていると書いています。

収入は、客の売買にかかる手数料、自分の勘定で株を売り買いして得る損益、信用取引の金利などです。どれも、客がどれだけ売り買いするかで増減します。工場も在庫も持たない代わりに、市場の空気がそのまま決算に出る会社です。

4つの利益がそろって過去最高

2026年10月23日に出た、4月から9月までの中間決算です。証券会社は売上高の代わりに「営業収益」という言葉を使います。

項目今回前年同期増減率
営業収益181億4,100万円144億5,800万円+25.5%
営業利益79億600万円54億7,800万円+44.3%
経常利益82億3,700万円57億8,400万円+42.4%
純利益(親会社株主に帰属)63億2,000万円46億1,900万円+36.8%

会社は、どの利益も中間期として過去最高だと書いています。利益の伸びが収入の伸びを上回った理由は、販売費・一般管理費の増え方が1割強で収まったからです。

稼ぎの半分以上は、株のトレーディング損益

短信の5ページ目と7ページ目に、営業収益の内訳があります。

営業収益の内訳今回前年同期
受入手数料58億5,400万円45億6,700万円
うち委託手数料36億5,200万円26億4,900万円
トレーディング損益102億3,000万円84億4,100万円
金融収益20億5,600万円14億4,800万円
営業収益計181億4,100万円144億5,800万円

トレーディング損益の102億3,000万円を営業収益の181億4,100万円で割ると、半分を少し超えます。客から受け取る手数料よりも、ずっと大きな額です。そのほぼ全額が株券等の分で、債券の分はわずかです。

このトレーディング損益が何から生まれたのか、その内訳は決算短信には書かれていません。米国株の提案営業に力を入れたという説明と合わせると、客との外国株の売買から出る分が大きいのだろう、と私は読みました。

投資信託では、逆向きの動きがありました。売るときの販売手数料は4割ほど減り、持ってもらっている間に入る信託報酬は2割弱増えています。新しく売るより、預かっている残高で稼ぐ形に移りつつあるように見えます。

委託手数料の伸びは、4〜6月に集中していた

短信の最後に、四半期ごとの損益が並んだ表があります。半期の合計を2つの四半期に分けると、話が少し変わります。

項目前年7〜9月今年4〜6月今年7〜9月
委託手数料15億2,900万円21億1,300万円15億3,900万円
トレーディング損益44億3,500万円53億3,700万円48億9,200万円
営業収益計77億円94億9,600万円86億4,400万円
営業利益30億6,900万円43億6,900万円35億3,700万円

7〜9月の営業利益は、前四半期の4〜6月より2割近く減っています。前年同期の7〜9月と比べれば1割半ほど多く、減益ではありません。ここは私の割り算です。

引っかかったのは委託手数料です。前年の上期累計は26億4,900万円で、そのうち前年7〜9月の分は15億2,900万円でした。引き算すると、前年4〜6月は11億2,000万円になります。今年の4〜6月は21億1,300万円で、倍近い額です。ところが7〜9月は15億3,900万円で、前年同期の15億2,900万円とほぼ同じでした。

……上期の4割近い伸びは、ほとんど4〜6月の分だ。

会社の説明文にも、市場が冴えなかった様子が書かれています。7月は人工知能・半導体関連の銘柄を中心に軟調で、9月も中東情勢の悪化や世界的な金利上昇で振るいませんでした。客の売買が細った3か月だった、と受け取っています。

預り金を増やしたのは「その他」だった

自己資本比率は、3月末の34.9%から32.2%に下がりました。会社は、負債が増えた主な理由を預り金の257億1,100万円の増加だと書いています。短期借入金は54億円、社債は20億円のままで、借金を増やしたわけではありません。

ただ、預り金の内訳を開くと、増えたのは客の分ではありませんでした。

預り金の内訳3月末9月末
顧客からの預り金426億4,200万円411億1,500万円
その他の預り金144億3,700万円416億7,500万円
預り金の合計570億7,900万円827億9,000万円

顧客からの預り金はむしろ15億円ほど減り、「その他の預り金」が3倍近くに膨らんでいます。これが何の預り金なのかは、決算短信には書かれていません。11月6日に半期報告書を出す予定とあるので、そこで確かめます。

なお、いつも最後に見に行くキャッシュ・フロー計算書は、この短信には本体が載っていません。載っているのは、現金及び現金同等物の内訳の注記だけです。証券会社の現金の出入りは客の預かり金で大きく揺れるので、載っていても事業会社と同じ見方はできません。

会社の説明は、施策より市場の話が長い

会社は好調の理由として、米国株の提案営業、幅広い投資信託の取り扱い、営業担当者が「私たちに、おまかせください!」と語りかけるテレビCMを挙げています。費用の側では、販売費・一般管理費の増加は業績に連動する賞与などが主因だとしています。

施策の話は分かります。ただ、説明文の半分以上は国内外の市場の動きの記述です。業績が市場環境に大きく左右されることも、会社自身が認めています。テレビCMの効き目は、この短信からは測れません。伸びの大部分は市場の活況によるものとして受け取り、施策の分は割り引いて考えています。

純利益には、本業の外の利益も効いています。投資有価証券売却益が12億100万円あり、持っている株の一部を売って出た利益です。前年同期にも8億8,100万円あったので、今期だけの話ではありません。

通期の予想は出していない

この会社は通期の業績予想を出していません。業績が経済情勢や市場環境に大きく左右されるためで、四半期ごとの業績は合理的に見積もれた時点で開示する、と書いています。ですから進捗率は計算できません。

配当も同じ扱いです。中間配当は65円と決まりました。前年の中間の60円と比べると、5円の増配です。期末の配当は未定です。前の期は期末に165円を出していますが、今期の期末は下期の市場しだいということになります。

私はどう読んだか

私は、この過去最高は会社の地力よりも、4〜6月の市場の活況による部分が大きいという見方をしています。理由は、委託手数料の伸びがほぼ4〜6月に集中し、7〜9月は前年同期並みに戻っているからです。

守りは堅いです。証券子会社の自己資本規制比率は735.6%で、前年9月末の841.8%からは下がったものの、高い水準にあります。借入金も増えていません。

心配性なので、下期は4〜6月ではなく7〜9月の水準から考えます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.iwaicosmo-hd.jp/ir/pdf/quo202609.pdf

「その他の預り金」が半年で3倍近くに増えた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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