広告を「買いそうな人」に届ける会社です
企業が広告を出すとき、いちばん困るのは「誰に見せれば買ってもらえるのか」が分からないことです。マイクロアドは、業種ごとに集めた消費者のデータを組み合わせて、買いそうな人に広告を届ける仕組みを売っています。仕組みの名前は「UNIVERSE」です。使うのは、限られた宣伝費を無駄にしたくない企業の担当者です。
もう一つの柱は、ニュースサイトのようなネットのメディアから広告枠を預かり、その枠で稼げる額を増やす手伝いです。台湾を中心にした海外向けのマーケティング支援もあり、訪日客を呼びたい日本企業が客になります。VTuberのキャラクターと商品を組み合わせて、海外の消費者に売る物販も始めています。
大株主の一社はサイバーエージェントです。この関係は、あとで一度出てきます。
売上は2割増え、営業利益は7割近く増えました
8月14日に出た第3四半期決算です。10月から6月までの9か月の累計を、前の年の同じ9か月と並べます。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 144億4,100万円 | 116億8,000万円 | +23.6% |
| 営業利益 | 8億6,200万円 | 5億1,400万円 | +67.4% |
| 経常利益 | 7億6,800万円 | 4億6,100万円 | +66.3% |
| 純利益 | 5億8,500万円 | 9,000万円 | +543.7% |
売上の伸びより、利益の伸びのほうがずっと大きい決算です。純利益の6倍については、あとで中身を分けます。
この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった
私は短信を開くと、まずキャッシュ・フロー計算書を探します。利益が現金として入ってきているかは、そこでしか確かめられないからです。
添付資料の9ページ目にあったのは、「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」という一文でした。あとは減価償却費1億9,243万円と、のれんの償却額1億926万円の2行だけです。第1四半期と第3四半期で作らないのは認められたやり方で、珍しくありません。
それでも現金の動きは知りたいので、貸借対照表の期首と6月末を並べて、外側から追いました。
増えた現金より、増えた借入のほうが多い
| 科目 | 2025年9月末 | 2026年6月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 23億5,461万円 | 30億4,986万円 |
| 短期借入金 | 24億8,000万円 | 27億8,000万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 1,980万円 | 1億3,584万円 |
| 長期借入金 | 1億8,522万円 | 5億8,598万円 |
| のれん | 10億59万円 | 12億5,396万円 |
| 非支配株主持分 | 3億6,634万円 | 1,254万円 |
現金は9か月で約6億9,500万円増えました。借入は3つを足すと約8億1,700万円の増加です。どちらも表からの私の引き算です。純利益を5億8,500万円出した9か月なのに、現金は借りた額ほども増えていません。
売掛金に現金が寝ているわけではありません。売掛金は2億3,265万円増えましたが、買掛金がそれより多い3億880万円増えています。支払いのずれは、むしろ現金を増やす側に働いています。
手がかりは表の下の2行です。のれんが2億5,336万円増え、特別利益に「段階取得に係る差益」と「負ののれん発生益」が出ています。どこかの会社を新たに子会社にした跡です。
もう一つは非支配株主持分で、3億6,634万円から1,254万円へ減っています。……いや、ほとんど消えている。同じ期間に資本剰余金も2億742万円減りました。帳簿に載っている持分より多く払って株を引き取ると、その差は資本剰余金から引かれます。子会社のほかの株主から残りの株を帳簿の値段より高く引き取った、と私は受け取りました。相手と金額は、決算短信には書かれていません。
純利益の6倍は、前の年の損失が重かったぶんです
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 特別利益 | 1,830万円 | 1億4,224万円 |
| 特別損失 | 2億216万円 | 1億128万円 |
| 非支配株主に帰属する利益 | 2,086万円 | △180万円 |
前の年は投資有価証券の評価損1億3,195万円などで特別損失が膨らみ、純利益は9,000万円まで削られていました。今年は子会社化で出た特別利益が乗り、子会社のほかの株主に回す取り分もほぼ無くなっています。純利益の伸びは、営業利益の伸びとは分けて受け取ります。
営業外にも、広告の会社らしくない行があります。売買目的の有価証券で7,092万円、先物で616万円の運用益がありました。為替では7,831万円の差損が出ています。前の年は運用がどちらも損でした。本業の外に、値動きのあるものを持っている会社だと覚えておきます。
決算のあと、22億円の社債と自社株の買い取り
注記の最後、重要な後発事象に2つの話が並んでいます。どちらも7月17日の同じ取締役会で決めたものです。
1つは、株に替えられる社債を22億円、第三者割当で出したことです。8月4日に払い込まれ、全部が株に替わると358万3,061株増えます。使い道はM&Aと戦略的投資に17億9,700万円、「AIファクトリー」の構築に3億6,700万円です。
もう1つは、サイバーエージェントから自社の株102万400株を5億9,999万円で引き取ったことです。短信は理由を、社債などで株が増える影響を和らげるためと書いています。サイバーエージェントは残りの株を長く持つ方針だ、とも添えられています。
借りたお金で会社を買い足した9か月のあとに、さらに買うための資金を用意しています。のれんはこの先も増える方向です。
会社の説明は、AIでの効率化と原価の削減
| サービス | 売上高 | 前年同期比 | 売上総利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| データプロダクト | 79億3,100万円 | +14.4% | 28億600万円 | +19.1% |
| コンサルティング | 65億1,000万円 | +37.1% | 16億8,300万円 | +42.9% |
会社は、生成AIなどで業務を減らし、原価を削ったことで利益率が上がったと説明しています。稼働しているアカウントが増えたこと、他社の大手SNSや動画の場にもUNIVERSEのデータをつなぎ始めたことも挙げています。前年の数字は、今期の組み替えに合わせて直したものです。
どちらのサービスも粗利が売上より速く伸びていて、ここは損益計算書の数字どおりです。説明はそのまま受け取ります。
留保が一つあります。伸びが大きいコンサルティングには、台湾での支援とVTuber商品の物販が入っています。データで広告を届ける本体とは性格の違う商売です。事業の区分が1つしか無い会社なので、どちらが営業利益をどれだけ稼いだかは、短信からは分かりません。
通期予想には先に進んでいて、残り3か月の売上だけが低い
| 項目 | 通期予想 | 9か月の実績 | 進み具合 | 残り3か月 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 177億8,800万円 | 144億4,100万円 | 約81% | 約33億4,700万円 |
| 営業利益 | 10億2,400万円 | 8億6,200万円 | 約84% | 約1億6,200万円 |
| 純利益 | 6億7,800万円 | 5億8,500万円 | 約86% | 約9,300万円 |
約の付いた数字は、表紙に載っている予想と9か月の実績から、私が割ったり引いたりしたものです。
9か月なら4分の3が目安ですから、どれも先に進んでいます。予想は5月15日に出したものから変えていません。
引っかかったのは売上です。残り3か月の33億4,700万円は、前の年の同じ3か月より1割半ほど少ない額です。伸びている会社が最後の3か月だけ売上を減らす理由は、決算短信には書かれていません。表紙に補足説明資料が「有」とあるので、そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
私はどう読んだか
見方は2つあります。本業の粗利が良くなり、現金は子会社の買い足しに回しているだけ、という見方。もう一つは、借りて買って利益を大きく見せている、という見方です。
私は前者だと考えています。理由は、粗利が売上より速く伸びるという改善が、2つのサービスの両方で起きているからです。特別な項目を外しても、営業利益は7割近く増えています。
ただ、心配性なので悪いほうの筋も確かめておきます。借入とのれんが増え、そこへ22億円の社債が乗ります。買った会社が稼がなければ、のれんはそのまま重さになります。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

残り3か月の売上を前年より低く見込む理由と、子会社の持分を誰からいくらで買ったのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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