モリト(9837)2026年11月期 第3四半期決算分析――最後の3か月の置き方が気になる

モリト(9837)2026年11月期 第3四半期決算分析――最後の3か月の置き方が気になる 日本株

服の留め具から、厨房の換気扇まで

モリトは、服やかばん、靴に付いている小さな部品を扱う会社です。ジャンパーの前を留めるホックや、靴ひもを通す穴の金具がそうです。着る人が社名を知ることはまずありません。それでも、手元の服の留め具がこの会社のものだということは、十分ありえます。

アメリカの会社を買ったことで、金属のホックでは世界でも大きな作り手の一つになりました。ほかに、自動車の内装部品、日用品や健康関連の商品も扱っています。飲食店の換気扇に付ける油よけフィルターを貸し出して、回収して洗う仕事もしています。服の部品の会社だと思って短信を開くと、事業の幅の広さに少し戸惑います。

売上と営業利益は2割増え、純利益だけが減った

10月14日に出た第3四半期決算で、12月から8月までの9か月の数字です。

今回前年同期増減率
売上高493億500万円405億9,500万円+21.5%
営業利益29億1,700万円23億7,700万円+22.7%
経常利益31億900万円26億4,000万円+17.7%
純利益23億6,600万円30億1,900万円△21.6%

純利益の減り方だけが、ほかの3行と逆を向いています。

純利益の減少は、前の期の一度きりの利益の反動です

理由は、損益計算書の特別利益に1行で出ています。前の期の同じ9か月には、負ののれん発生益が11億530万円入っていました。会社を正味の値打ちより安く買えたときに、一度だけ出る利益です。前の期に買ったミツボシコーポレーションの分です。

今期はそれがありません。代わりに、投資有価証券売却益が3億6,149万円入っています。こちらも本業の稼ぎではありません。今期の純利益にも、一度きりの分が混じっていることになります。

4月に買った会社は、資産より負債のほうが多かった

引っかかったのは、短信の最後にある企業結合の注記です。4月1日に、金属ホックを作る久永製作所を現金2億円で買っています。狙いは、ホックの製造技術を取り込み、作ることと売ることをグループの中でまとめることだと説明されています。

久永製作所を買った日の中身金額
資産合計16億423万円
負債合計18億1,806万円
支払った代金2億円
発生したのれん4億1,382万円

出どころは短信の企業結合の注記です。千円単位の数字を万円に直しています。

負債は18億1,806万円で、資産は16億423万円です。負債から資産を差し引くと、2億1,382万円になります。負債のほうが多い会社に、2億円を払ったことになります。のれんは、代金の2億円に、この負債の超過分を足した額です。それが4億1,382万円です。前の期は安く買えて利益が出ました。今期は正味の値打ちがマイナスの会社に代金を払っています。……同じ「買う」でも、向きが正反対だ。

この配分はまだ暫定だと、注記に書いてあります。のれんは10年で均等に償却するので、年4,000万円ほどの費用が続きます。説明会資料には、この会社を連結したことで、在庫に含まれる未実現利益を消した分が粗利率を押し下げたとあります。グループの中で作ってグループの中で売るので、まだ外に売れていない分の利益を取り消している、という意味です。

この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません

注記に、第3四半期の分は作成していないと書いてあります。代わりに貸借対照表を開きました。

期首から8月末までの動き金額
受取手形及び売掛金△13億1,800万円
電子記録債権△13億1,100万円
棚卸資産+12億2,300万円
現金及び預金+7億3,100万円
自己株式約15億2,000万円 増加

自己株式の増加は、純資産の部の数字から私が引いたものです。

売掛金と電子記録債権が合わせて26億円あまり減り、在庫は12億円増えました。自分の株を15億円ほど買い戻しても、現金は増えています。上期に売れた商品の代金を回収した分が大きい、と私は受け取りました。

日本の売上は、四半期を追うごとに細っています

ここからは説明会資料の数字です。日本の売上を3か月ずつ区切ると、今年は第1四半期の126億5,200万円から、第3四半期の115億2,300万円まで、四半期ごとに減っています。前の期は反対に、四半期ごとに増えていました。

前の期の右肩上がりには、途中から加わった2社の分が含まれます。そこは割り引く必要があります。それでも短信のセグメント情報を開くと、日本は売上が4分の1増えたのに、セグメント利益は15.0%増にとどまっています。アジアと欧米の利益の伸びのほうが大きい決算です。

会社はどう説明しているか

短信の説明文では、売上が増えた理由として、Ms.IDとミツボシコーポレーションの連結、ヘルスケア関連商品、ゲーム関連商品、厨房機器のサービスを挙げています。一方で、一部の日系自動車メーカーの苦戦と、中東情勢を背景にした調達コストの上昇については、「今後の影響を注視していく必要があります」と書いています。

説明会資料のほうが率直です。下期は空調服とECを中心に、ファッションアパレル向けの販売が停滞したとあります。空調服の資材は上期に売れる商品だとも書いてあります。増収の理由は、そのまま受け取ります。ただ、2割の伸びの中心が買った会社だということは、短信の説明文からも分かります。

上方修正のあとでも、残り3か月は前の期より少ない

同じ10月14日に、通期予想を上げています。営業利益は36億円で、9か月で8割まで来ました。4分の3が過ぎた時期としては、少し先に進んでいます。

営業利益9か月累計残り3か月通期
前期23億7,700万円約9億5,600万円約33億3,300万円
今期29億1,700万円約6億8,300万円36億円(予想)

約の付いた数字は、通期予想36億円を、表紙の増減率+8.0%で割り戻して出したものです。

前の期に9億5,600万円ほど稼いだ3か月を、今期は6億8,300万円と置いています。3割近く少ない額です。7月の第2四半期決算までの累計は20億5,800万円でした。今回の累計29億1,700万円からこれを引くと、この第3四半期の3か月だけで8億5,900万円を稼いでいます。それより少ない額を、最後の3か月に見込んだことになります。売上のほうは、残り3か月で前の期とほぼ同じ額です。

私はどう読んだか

最後の3か月が少ないのは、中東情勢を気にして慎重に見積もったのか、日本の勢いが本当に落ちているのか。この2つのどちらかだと思います。

私は後者の見方をしています。理由は、日本の売上が3四半期続けて減っていて、会社自身が下期の停滞を説明会資料に書いているからです。上方修正は、上期までに積んだ分を通期に足したもので、この先の伸びを示したものではないと考えています。買った会社の償却と在庫の調整も、しばらく続きます。

上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.morito.co.jp/ir/library/file/2026kessan03.pdf

10月1日に子会社にした帽子の会社が、修正後の通期予想にどれだけ入っているのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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