アスカ(7227)2026年11月期 第3四半期決算分析――増えた借入の行き先が気になる

アスカ(7227)2026年11月期 第3四半期決算分析――増えた借入の行き先が気になる 決算を読む

はじめに

自動車部品を作っている会社です。完成車メーカーに納める部品と、その部品を成形するための金型。短信を読むかぎり海外にも生産の拠点があって、取引先の新型車が立ち上がると仕事が増える構えになっています。車種が切り替わるたびに金型から作り直すので、仕事に山と谷ができます。

面白いのは、それ以外の顔をいくつも持っていることです。工場の自動化設備を作る事業、設備を動かす制御システムの事業、それから不動産の賃貸と太陽光。そしてモータースポーツ事業があります。レースに関わっている部品メーカー自体は珍しくありません。ただ、イベントの売上が立つ事業を、報告の区分として独立させて並べている会社は、あまり見かけません。

下に行くほど、伸び率が大きくなっていました

2026年9月24日に出た、11月期の第3四半期決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高350億6,100万円342億7,100万円+2.3%
営業利益17億5,700万円14億5,900万円+20.4%
経常利益19億4,500万円15億2,200万円+27.8%
純利益13億7,300万円10億4,400万円+31.5%

売上は2%ほどの増加です。それに対して利益は、営業で2割、経常で3割近く、純利益で3割を超えて増えています。下に行くほど伸びが大きくなるときは、本業の外で何かが起きています。

営業外収益が、1年で倍になっていました

損益計算書(短信の7ページ目)の営業外収益が、1億7,992万円から3億6,505万円へ増えていました。ここで引っかかったので、内訳を並べました。

営業外収益の内訳今回前年同期
受取利息3,492万円198万円
受取配当金8,814万円6,942万円
持分法による投資利益5,181万円2,035万円
為替差益1,734万円—
助成金収入1,787万円371万円
貸倒引当金戻入額8,000万円—
その他6,701万円7,329万円

いちばん大きいのは貸倒引当金戻入額8,000万円で、前期は計上がありません。貸借対照表を見ると、前期末に投資その他の資産へ8,000万円の貸倒引当金が積んでありましたが、今回それが消えています。取り立てられないと見込んで積んでいたものが、要らなくなった。毎年出てくる種類の収益ではありません。

一方、支払利息は1億704万円から1億5,654万円へ増えています。さらに特別損失に、抱合せ株式消滅差損1億3,859万円。子会社を吸収合併したときに出る損で、現金が出ていく費用ではありません。

短期借入金が、30億円近く増えていました

支払利息が増えた理由は、負債の側を見ると分かります。

科目前期末(2025年11月)今回(2026年8月)
現金及び預金28億924万円20億9,241万円
土地70億6,469万円80億3,891万円
有形固定資産 その他(純額)18億4,673万円39億1,181万円
投資有価証券42億8,641万円62億8,720万円
短期借入金9億6,500万円39億3,000万円

短期借入金が9億6,500万円から39億3,000万円へ。9か月で30億円近く増えています。同じ期間に、土地がおよそ10億円、有形固定資産の「その他(純額)」が20億円あまり増えました。現金は7億円ほど減っています。

……いや、これは借りて買ったという話だ。

投資有価証券も20億円ほど増えていますが、こちらは評価差額金が8億760万円増えているので、全額が買い増しではありません。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書はありません

注記に「当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と書いてあります。四半期では作成が任意なので、省く会社はいくらでもあります。載っているのは減価償却費だけで、15億8,558万円から16億3,437万円へ。

ただ、設備が増えて借入が30億円近く増えた期です。現金の出入りを1枚にまとめた表が無いと、読む側は貸借対照表の差額を自分で追うことになります。

制御システム事業だけが、赤字に落ちました

事業売上高前年同期比利益
自動車部品276億5,408万円+3.2%11億6,873万円
制御システム21億5,620万円−15.6%△4,268万円
ロボットシステム39億9,531万円+2.0%4億2,894万円
モータースポーツ12億1,406万円+21.3%1億754万円
賃貸及び太陽光4億3,401万円+6.8%9,465万円

制御システムだけが、8,747万円の利益から4,268万円の損失に変わりました。理由は短信に書いてあって、「主要得意先の件名品受注残高が減少した」。案件ごとに作るものなので、受注残が減れば作るものがなくなります。規模は小さいので、全体の足を引っ張るほどではありません。

会社の説明は、事業ごとのほうが具体的でした

本文の総論は「提案型の営業を積極的に展開するとともに、より効率的な製造体制を目指して、技術開発及び合理化活動を強力に推進しました」。毎期同じ文面になりがちな一文です。

具体的なのは事業ごとの説明で、自動車部品は「海外において三菱系の新型車種の立ち上がりに伴う部品売上及び金型売上が増加」。これは素直に受け取っています。

財政状態のほうは「主に有形固定資産のその他(純額)が増加したことによるもの」「主に短期借入金が増加したことによるもの」。どの科目が動いたかは書いてありますが、何を買ったのかは決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:無」「決算説明会開催の有無:無」とあります。

進み具合は、売上と利益で開いています

項目第3四半期まで通期予想進み具合
売上高350億6,100万円470億円約74.6%
営業利益17億5,700万円22億円約79.9%
経常利益19億4,500万円22億円約88.4%
純利益13億7,300万円15億5,000万円約88.6%

「約」の付いた列は、第3四半期までの実績を通期予想で割った、私の割り算です。

売上はちょうど4分の3のところ。9か月なのでこれは順当です。経常と純利益は9割近くまで来ています。それでも通期予想は、2026年1月13日に出したものから動いていません。

残りの3か月に何が置かれているかを、前年と並べました。

経常利益第3四半期まで残り3か月通期
前年15億2,200万円約6億4,500万円約21億6,700万円
今年19億4,500万円約2億5,500万円22億円(会社予想)

通期予想の22億円は、表紙に前年比+1.5%と書いてあります。そこから逆算すると、前年の通期はおよそ21億6,700万円です。前年同期の15億2,200万円を引くと、前年の最後の3か月はおよそ6億4,500万円。今年の残りは、通期予想の22億円から第3四半期までの19億4,500万円を引いた額です。2億5,500万円になります。前年に稼いだ額の4割ほどまで落ちる置き方になります。

私はどう読んだか

営業利益の2割増そのものは、本業のものだと考えています。理由は、5つの事業のうち4つが増益で、営業利益率も4.3%から5.0%へ上がっているからです。経常の3割弱の伸びには一度きりの戻入8,000万円が混じっていますが、それを抜いても営業の段階で伸びています。

気になるのは利益ではなく、資産の側です。9か月で借入を30億円近く積んで、土地と固定資産に替えている。利益の20倍近い金額が動いています。これだけの投資を決めた期に、補足資料も説明会も無く、通期予想は期初のまま。資産の動いた大きさに対して、会社の説明が足りていないと私は考えています。

支払利息はすでに5,000万円ほど増えました。借りた分が売上に変わるのは、早くても次の期以降です。心配性なので、まずそちらを見ます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260924/140120260923539060.pdf

有形固定資産の「その他(純額)」が20億円あまり増えた中身が何なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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