東京製鐵(5423)2027年3月期 中間決算分析――本業の赤字は縮み始めたと読みました

東京製鐵(5423)2027年3月期 中間決算分析――粗利の減り方が気になる 日本株

鉄くずを溶かして、建物の骨組みを作る会社

東京製鐵は、電気炉で鉄を作る会社です。原料は鉄鉱石ではありません。解体された建物や工場から出る鉄スクラップを使います。それを溶かして固め、延ばして鋼材にします。

主力は建材です。ビルや倉庫、工場の柱や梁になる鋼材で、買い手は建設会社や、鋼材を切って組み立てる加工会社です。薄く延ばした板の熱延鋼板も作っています。

儲けの形は単純です。製品をいくらで売れたかと、鉄スクラップをいくらで買えたか。その差でほぼ決まります。決算短信の注意書きにも、業績は主原料の鉄スクラップ価格と鋼材の市況で大きく変わる、と書いてあります。事業は鉄鋼の1つだけだと、短信の注記にあります。

売上は1割増えて、営業損益は赤字に

2026年10月23日に出た、4月から9月までの中間決算です。

今回(4〜9月)前年同期増減率
売上高1,504億2,200万円1,338億9,400万円+12.3%
営業利益△35億4,300万円60億4,500万円—
経常利益△29億4,900万円69億8,300万円—
中間純利益23億8,900万円45億6,800万円△47.7%

売上は1割増えたのに、営業損益と経常損益は赤字に転じました。それでいて中間純利益は黒字のまま残っています。この並びに引っかかりました。

黒字を支えたのは、投資有価証券の売却益

損益計算書を下までたどると、特別利益が61億8,400万円計上されています。前年同期はほぼゼロでした。いちばん大きいのは投資有価証券売却益の51億9,000万円です。残りは固定資産売却益の9億9,300万円です。

経常損失に特別利益を足し、特別損失を引くと、税引前中間純利益は29億6,800万円になります。そこから税金を払って、23億8,900万円が残りました。本業の赤字を、持っていた株式と固定資産を手放した分で埋めた形です。

貸借対照表の投資有価証券と土地の残高も、3月末より減っています。売却とつじつまは合います。

このことは隠されていません。経営成績の説明に、資産の売却を進めた結果、中間純利益も計画より改善した、と会社自身が書いています。

量も単価も上がったのに、粗利は半分に

売上の中身は、短信の最後のページにある販売高の表で分かります。

鋼材前年同期今回
販売数量136万1,000トン146万8,000トン
1トンあたり単価9万5,700円10万400円
うち輸出の数量19万9,000トン26万6,000トン
うち輸出の単価8万4,000円10万400円

数量も単価も上がっています。輸出の単価は、前年は全体の平均を下回っていました。今回は平均と同じ水準です。売上が増えたのは、値上げと販売増の両方によるものです。

ところが売上総利益は、184億8,100万円から94億2,100万円へ、ほぼ半分になりました。売上は165億2,800万円増えましたが、売上原価は255億8,800万円増えています。原価の増え方から売上の増え方を引くと、90億6,000万円になります。これがそのまま粗利の減り分です。

原価がなぜこれほど増えたのか、前年同期と比べた説明は決算短信には書かれていません。会社の説明文は、7月から9月の3か月を自社の計画と比べたものだけです。製品の値上げが、原料をはじめとする費用の上がり方にまだ追いついていない段階だ、と私は読みました。

現金及び預金が、半年で220億円減っていた

貸借対照表には、もう一つ引っかかるところがあります。手元の現金がかなり減っています。

科目3月末9月末
現金及び預金634億7,000万円414億1,000万円
有価証券105億円50億円
商品及び製品249億3,300万円287億8,100万円
原材料及び貯蔵品160億7,100万円202億5,700万円
買掛金325億6,700万円211億100万円

現金及び預金は、半年で220億6,000万円減りました。

減った先の候補は表に並んでいます。買掛金が114億6,600万円減り、仕入れの支払いが先に出ています。商品と原材料の在庫は、合わせて80億3,400万円増えました。この半年で自己株式を150万株、25億9,100万円分取得し、設備投資も76億円あります。

ただ、この短信にはキャッシュ・フロー計算書が載っていません。……これは困る。営業活動で現金がどれだけ出入りしたのかを、確かめる表が無いからです。上の並びは貸借対照表から私が拾った候補で、現金の動きの内訳そのものではありません。

自己資本比率は78.6%で、3月末より上がっています。現金が減っても、財務の土台がすぐ揺らぐ水準ではありません。

会社は「価格改定が順次効いてくる」と書いている

会社の説明はこうです。7月から9月は、製品の出荷単価が想定どおり上がり、鉄スクラップの購入価格が想定を下回りました。そのため計画に比べて営業利益が改善した、と書いています。そのうえで、実施した価格改定が出荷単価に順次反映されるので、通期では営業利益の黒字化を見込むとしています。

比べている相手は、前年ではなく自社の計画です。そこは割り引いて受け取ります。

それでも、3か月ごとに分けると、説明と合う動きが出てきます。7月17日に出た第1四半期の営業損失は23億700万円でした。中間期の35億4,300万円からそれを引くと、7月から9月は12億3,600万円の営業損失です。赤字の幅は、4月から6月のほぼ半分に縮んでいます。

なお、通期予想は10月16日の「業績予想の修正に関するお知らせ」で修正した、と短信にあります。何をどう直したのかは、決算短信には書かれていません。その発表を、私はまだ読んでいません。

下期だけで、営業利益45億円が要る

中間実績通期予想下期に必要な額
売上高1,504億2,200万円3,260億円1,755億7,800万円
営業利益△35億4,300万円10億円45億4,300万円
経常利益△29億4,900万円20億円49億4,900万円
純利益23億8,900万円70億円46億1,100万円

下期に必要な額は、通期予想から中間実績を引いた私の計算です。

売上は通期予想の半分近くまで来ています。下期は、前年の下期より3割ほど多い売上を見込んでいる計算です。

営業利益のほうは重い。表紙には、通期予想の営業利益10億円が前期比86.2%減と載っています。10億円を0.138で割り戻すと、前期の通期はおよそ72億円です。そこから前年の中間期の60億4,500万円を引くと、前年の下期はおよそ12億円でした。今年の下期は、その4倍近い45億4,300万円を見込んでいることになります。

値上げが効き始めている、という見方をしています

私は、会社の説明のとおり、値上げが遅れて効いてくる途中だという見方をしています。理由は、7月から9月の営業損失が4月から6月のほぼ半分に縮み、この3か月は計画より良かったと会社自身も書いているからです。前年同期より悪いのは、単価の改定が原価に追いつく前の時期だからだと考えています。

ただ、赤字が縮むことと、下期に45億円の営業利益を計上することは別の話です。前年の下期の4倍近くを、半年で出す必要があります。7月から9月の改善には、鉄スクラップの購入価格が想定を下回ったことも効いていました。そこが逆に振れれば、計算は変わります。

純利益の黒字は、今回は売却益で保たれました。下期も同じことをするのかは見通せません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

適時開示情報|東京製鐵株式会社
東京製鐵株式会社の適時開示情報です。証券取引所の適時開示情報にて公開した資料を掲載しております。

前年同期から売上原価が膨らんだ理由の内訳と、10月16日の予想修正で何を変えたのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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