駅前でよく見かける、あのカラオケ店の会社です
「カラオケまねきねこ」を全国で直営している会社です。店は駅前や繁華街に多く、郊外の幹線道路沿いにもあります。客は部屋を時間で借りて歌い、飲み物や食べ物を頼みます。売上は、その部屋代と飲食代です。放課後の学生、会社帰りの数人、一人で練習に来る人と、使う人の幅が広い商売です。
この1年で、同業の株式会社スタンダードから、「JOYSOUND」の看板で営業していたカラオケ店をまとめて引き継ぎました。東南アジアにも店を出しています。ほかに、ビルを持って貸す不動産の仕事と、カフェなどの飲食店も少しあります。とはいえ、中身はほぼカラオケ一本の会社です。
売上は過去最高、営業利益は減りました
10月9日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 804億100万円 | 693億8,700万円 | +15.9% |
| 営業利益 | 107億7,100万円 | 113億9,200万円 | △5.5% |
| 経常利益 | 110億300万円 | 115億9,800万円 | △5.1% |
| 純利益 | 63億4,600万円 | 52億5,800万円 | +20.7% |
売上は1割半ば増えました。それなのに営業利益と経常利益は減り、純利益だけが2割増えています。三つの利益の向きがそろっていません。ここから先は、そのずれを追いかけた話です。
増えた売上の多くは、引き継いだ店の分でした
短信の4ページ目によると、引き継ぎは2025年11月1日付で、70店が加わりました。そのあと1店を開けて4店を閉じ、期末は67店です。自前の新店も38店開けています。
一方、前からある店の売上は「前年同期並み」と書かれています。増えた分の内訳は、決算補足説明資料に載っていました。ここからは説明資料の数字です。増収110億1,400万円のうち、引き継いだ店と、新しく連結に入れたマレーシアの子会社の分が79億7,300万円でした。既存店の上乗せは1億8,800万円です。
79億7,300万円を110億1,400万円で割ると、7割強になります。増収の大半は、店の数を外から足した分ということです。
営業利益のうち約5億円は、見積りを変えた分です
引っかかったのは、短信の12ページ目にある「会計上の見積りの変更」という注記でした。
借りた物件で店を閉めるとき、借り手は内装を外して元に戻す義務を負います。その費用を前もって負債に積んでおくのが資産除去債務です。会社は最近の原状回復の実績を踏まえて見積りを変え、この残高を14億8,713万円増やしました。
注記には、この変更で売上総利益も営業利益も4億9,855万円増えた、とも書いてあります。……負債を増やして、利益も増えている。
仕組みはひとまず置いて、数字の上ではこうなります。営業利益は107億7,100万円です。ここからこの約5億円を除くと、およそ102億7,000万円になります。前期の113億9,200万円と比べると、ほぼ1割の減益になります。これは私の引き算です。表紙の5.5%減より、減り方は大きくなります。
純利益の増加は、ホテルの売却から来ています
純利益だけが増えた理由は、損益計算書の下のほう、特別損益と税金の欄にありました。前期と並べます。
| 項目 | 前期 | 今期 |
|---|---|---|
| 固定資産売却益 | 171万円 | 10億728万円 |
| 減損損失 | 33億8,955万円 | 29億7,384万円 |
| 子会社清算損 | 4億6,389万円 | ― |
| 法人税等調整額 | △16億3,008万円 | △26億1,927万円 |
出典:決算短信の連結損益計算書。
売却益は、2025年10月に「厚木ビスタホテル」を売った分です。損失の側では、2期続けて赤字だった店などの減損が今期も30億円近くあり、前期にあった子会社を畳んだ損が消えました。税金の調整も、前期より10億円ほど軽くなっています。
どれも、その年に部屋がどれだけ埋まったかとは別のところで動く数字です。ホテルは一度売ればおしまいです。表紙を見ると、来期の上期の純利益は前年並みの予想です。前年の上期に売却益が入っていたことを考えると、筋は通っています。
現金が減ったのは、店を引き継ぎ、建てたからです
キャッシュ・フロー計算書の数字です。
| 前期 | 今期 | |
|---|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 127億7,400万円 | 106億2,600万円 |
| 投資キャッシュ・フロー | △82億9,200万円 | △125億6,400万円 |
| 期末の現金 | 104億3,900万円 | 64億6,600万円 |
本業で入ってきた現金より、投資で出ていったほうが多い1年でした。引き継ぎの対価は現金35億円です。店の建物や設備にも90億3,900万円を使っています。
引き継いだ事業の資産は36億8,234万円、負債は31億6,402万円です。差し引くと、残るのはおよそ5億円です。35億円との差の大半が、のれん28億7,742万円になりました。13年で償却すると書かれています。
自己資本比率は53.8%です。転換社債の30億円が株に変わったぶん、むしろ上がっています。現金が減ったこと自体は、それほど心配していません。
会社は人件費、家賃、システム投資を挙げています
短信の4ページ目で、会社は減益の理由を並べています。人件費や水道光熱費の上昇、店の更新投資、家賃の改定、新しいPOSレジや「E-bo」という店内のエンタメ端末への投資です。既存店が伸びなかった理由には、前年の大型コラボ企画の反動を挙げています。説明資料には、猛暑や災害による出控えも書き足されていました。
このうちPOSレジの入れ替えは、全店で終わったと説明資料にあります。来期は軽くなる費用です。一方、人件費と家賃は一度上がると下がりにくい費用です。理由は、どちらも相手のいる値段だからです。私はこの説明を、半分は一時的、半分は居座る費用として受け取っています。
来期の予想は、既存店が5%伸びる前提です
今回は通期決算なので、終わった1年と来期の予想を並べます。
| 今期実績 | 来期予想 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 804億100万円 | 903億5,800万円 | +12.4% |
| 営業利益 | 107億7,100万円 | 126億400万円 | +17.0% |
| 経常利益 | 110億300万円 | 123億2,200万円 | +12.0% |
| 純利益 | 63億4,600万円 | 71億4,200万円 | +12.5% |
今期も、期初の計画には届いていません。説明資料の数字で、営業利益の計画は118億3,100万円、達成は91.0%でした。
その説明資料は、来期の国内既存店売上を前年比105%と置いています。今期の実績は100.3%でした。内訳は客数95.3%、客単価105.2%です。値上げで、客の減りを埋めた形です。
月ごとの表では、前年の8月と比べた客数が88%まで落ちていました。同じ月の客単価は110%です。単価をもう一段上げれば105%には届きます。ただ、上げるたびに客が減る関係が続くなら、どこかで頭打ちになります。
私の見方
考え方は2つあります。今期の減益はシステム投資と引き継ぎの立ち上げが重なった一度きりのもので、来期は戻る、というもの。もう一つは、人件費と家賃と客数の減少が続いていて、本業の稼ぐ力そのものが落ちた、というものです。
私は後者の見方をしています。理由は、見積りの変更を除くと減益幅が約1割になり、その中に毎年かかる費用が多く含まれているからです。来期の増益も、客数ではなく単価に頼った前提の上にあります。
心配性なので、下振れを先に気にしています。来期の上期の営業利益は、表紙では60億200万円の予想です。半年後にそこを確かめます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
原状回復の見積りを増やしたのに、なぜ営業利益が4億9,855万円増える向きに働いたのか、その仕組みは短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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