日本ハウスホールディングス(1873)2027年4月期 第1四半期決算分析――受注の減りが気になる

日本ハウスホールディングス(1873)2027年4月期 第1四半期決算分析――受注の減り方が引っかかる 決算を読む

日本ハウスホールディングスは、岩手で始まった注文住宅の会社です。柱や土台に檜を使った木造住宅を、施主と打ち合わせをしながら設計して建てています。分譲の建て売りではなく、図面を一から引くほうの商売です。

住宅のほかに、那須や箱根、岩手の温泉地で自社のホテルを運営しています。太陽光の売電と貸し倉庫もありますが、売上の大半は家を引き渡した分です。

注文住宅は、契約から引き渡しまで何か月もかかります。ある四半期の売上は、その前の期に契約した家が完成した分です。ここを頭に入れて読むと、この決算の見え方が少し変わります。

この決算で何が起きたか

2026年9月4日に出た第1四半期決算です。5月から7月の3か月分で、住宅会社にとっては引き渡しの少ない時期にあたります。

今回前年同期増減率
売上高66億6,400万円61億1,300万円+9.0%
営業利益△8,500万円△2億3,400万円
経常利益△1億3,600万円△3億600万円
純利益△1億6,100万円△3億2,000万円

赤字は残りましたが、去年の同じ時期の3分の1ほどまで縮みました。この表だけなら、向きは上です。

住宅の利益がほぼ倍になった元は、去年の契約

短信の8ページ目にセグメントの数字があります。

売上高前年同期比営業利益前年同期
住宅事業56億5,100万円+8.3%2億6,600万円1億3,400万円
ホテル事業9億7,300万円+15.0%△2億円△2億3,200万円
その他(太陽光)3,900万円△16.7%3,000万円3,700万円

これに、どの事業にも配分していない全社費用1億7,600万円が乗って、全体の営業損失8,500万円になります。

住宅事業の営業利益がほぼ倍になっています。会社はその理由を「期首受注残高の増加等」と書いています。前の期のうちに契約を積んでおいたので、今期に入ってから引き渡せる家が多かった、という意味です。

ここで引っかかったのが、短信のいちばん最後にある受注状況の表です。

受注高今回前年同期比
建築部門44億8,100万円△23.7%
不動産部門6億4,800万円+69.2%
51億2,900万円△18.1%

家を建てる契約そのものは、去年より2割強減っています。今期の売上と利益を支えたのは去年までに取った契約で、その入りが今年は細っている。ここまでは短信の数字です。……この四半期の利益は、貯めていた分を使った数字だ。

新しい受注が減った理由は、決算短信には書かれていません。会社側の説明文には、国の統計では持家の着工戸数が前年を上回っている、とあります。業界全体が縮んでいるわけではない、という書き方です。

純利益の予想だけが、経常利益の倍近い

表紙の通期予想は、営業利益が19億1,000万円で2割減、経常利益が21億1,000万円でほぼ横ばいです。純利益は36億1,000万円で2.7倍です。ふつう純利益は税金を引かれるので、経常利益より小さくなります。純利益の36億1,000万円から、経常利益の21億1,000万円を引きます。差は15億円で、それだけ純利益が経常利益を上回る置き方です。これは私の引き算です。

上回る分の中身は、4ページ目にあります。那須と箱根のホテル4施設について、2026年7月30日に譲渡契約を結んだ、と書かれています。第1四半期が終わる前日です。売却益は特別利益なので、営業利益にも経常利益にも入りません。純利益だけが跳ねているのはそのためです。

いつ入るかも表紙で見当がつきます。第2四半期累計の予想は、経常利益6億3,000万円に対して純利益29億円です。上半期が終わった時点で、すでに純利益のほうがずっと大きい。売却の利益は8月から10月の3か月に計上される置き方です。

売却益と、鶯宿のホテルを減築することによる除却損がそれぞれいくらなのかは、決算短信には書かれていません。7月30日の予想修正のお知らせを見るように、とだけあります。私はまだそちらを読んでいません。

現金は減っていますが、借入も同じだけ減っています

第1四半期なのでキャッシュ・フロー計算書はありません。代わりに貸借対照表で動きの大きかった項目を拾いました。

4月末7月末
現金預金70億3,400万円52億2,900万円
短期借入金43億3,800万円23億8,800万円
賞与引当金4億9,700万円1億6,300万円
未成工事受入金18億7,700万円25億3,400万円

現金が18億円ほど減っていますが、短期借入金がほぼ同じ19億5,000万円減っています。引き算はどちらも私のものです。借りていた金を返した、と読めば説明がつきます。賞与引当金の減りは夏の賞与を払った分でしょう。ここは心配していません。

未成工事受入金は、施主から工事の途中で受け取る前金です。6億5,700万円増えています。契約が減っているのに前金が増えるのは、去年までに契約した家の工事が進んで、中間金が入っている段階だからかもしれません。

会社はどう説明しているか

住宅事業については、檜を使った長期保証の主力商品に注力した、8月に平屋の新商品を出した、と書かれています。商品の話が中心で、受注が減ったことには短信では触れていません。ホテル事業は、インバウンドの取り込みと稼働率の向上で売上が伸びた、と説明しています。それでも2億円の赤字が残っており、4施設を手放す判断はここから来ていると受け取りました。

トランクルーム事業は18拠点になり、7月に札幌の店に27室を増やしたそうです。まだセグメントには載っていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想第1四半期進み具合残り9か月に必要な額
売上高325億2,000万円66億6,400万円約20.5%約258億5,600万円
営業利益19億1,000万円△8,500万円約19億9,500万円
経常利益21億1,000万円△1億3,600万円約22億4,600万円
純利益36億1,000万円△1億6,100万円約37億7,100万円

約の付いた数字は、表紙の通期予想から第1四半期の実績を引いたり割ったりした私の計算です。

売上は2割ほどで、この時期の目安である4分の1には届いていません。ただ去年も同じ形で、第1四半期は赤字、残りで稼ぐ会社です。

表紙には営業利益の増減率が△19.8%と載っています。19.8%減ったあとの残りが0.802です。19億1,000万円を0.802で割り戻すと、去年の営業利益はおよそ23億8,000万円です。そこに去年の第1四半期の赤字2億3,400万円を足すと、去年は残り9か月でおよそ26億円を稼いだことになります。今年の残り9か月に必要な19億9,500万円は、それより小さい額です。

通期の予想は、7月30日に修正したものを動かしていません。配当も年12円の予想のままです。

私はどう読んだか

読み方は2つあります。赤字が縮み、住宅の利益が倍になった、という向きの話。もう一つは、去年の契約を引き渡している四半期で、次の契約が2割減っている、という話です。

私は後者の見方をしています。理由は、注文住宅の売上は契約の何か月もあとに立つので、今の受注の減りが、来期の売上に順番に出てくるからです。残り9か月の19億9,500万円を支えるのは今期の受注ではなく、まだ残っている去年の契約です。

純利益の2.7倍は、ホテルを売ったお金の話で、稼ぐ力とは別に置いておきます。上がるかは知りません。私が見ているのは、次の短信の受注の表です。

出典:決算短信(会社発表)

ニュースリリース | 日本ハウスHD - 檜の注文住宅
ニュースリリースの一覧を掲載しています。

第2四半期累計の予想では、営業利益3億2,000万円に対して経常利益が6億3,000万円です。3億1,000万円も上回る理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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