メックは、銅と樹脂をくっつけるための薬品を作っている会社です。半導体のチップを載せる基板は、銅の配線と樹脂の層を何段も重ねて作ります。銅の表面はつるりとしていて樹脂がはがれやすいので、薬品で細かく荒らし、食いつきをよくします。その薬品が主力です。
買うのは、基板を作るメーカーです。台湾、中国、韓国、日本にあります。生成AI向けの半導体は大きくて層が多く、それだけ薬品を使う量も増える。そういう商売の性格があります。
8月10日に出た中間決算です。12月決算の会社なので、1月から6月までの半年分です。
この決算で何が起きたか
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 125億9,400万円 | 93億8,700万円 | +34.2% |
| 営業利益 | 41億3,500万円 | 24億4,000万円 | +69.4% |
| 経常利益 | 43億500万円 | 24億9,300万円 | +72.6% |
| 純利益 | 30億3,900万円 | 18億9,300万円 | +60.5% |
営業利益率は26.0%から32.8%へ上がっています。差は6.8ポイントです。ここまでが1ページ目です。
売上が3割増えた半年で、売掛金が減っている
引っかかったのは、キャッシュ・フロー計算書です。営業キャッシュ・フローは41億7,800万円で、前年同期は11億2,000万円でした。純利益30億3,900万円より多い現金が、本業から入ってきています。
内訳では、売上債権の減少9億6,800万円が足されています。貸借対照表では、受取手形及び売掛金が71億7,200万円から65億7,100万円へ減りました。売上が3割増えた半年で、売掛金が6億円減っている。……いや、これは珍しい。
前期末の売上が大きかったのか、回収の期日が縮んだのか。短信には書かれていません。現金が早く入ってくる方向の話なので、ここは心配していません。在庫は3億3,900万円の増加で、出荷が伸びている会社の半年分としては不自然な量ではありません。
純資産は56億円増えたが、稼いだのは17億円
もう一つ、貸借対照表で目を引く動きがあります。純資産が半年で56億6,000万円増えているのですが、その大半は本業の利益ではありません。
| 項目 | 前期末 | 今回 |
|---|---|---|
| 投資有価証券 | 22億1,300万円 | 74億5,400万円 |
| その他有価証券評価差額金 | 8億8,400万円 | 44億3,600万円 |
| 繰延税金負債 | 10億1,600万円 | 25億100万円 |
| 利益剰余金 | 274億2,800万円 | 291億6,200万円 |
| 純資産 | 304億7,200万円 | 361億3,200万円 |
利益剰余金の増加は17億3,300万円です。配当13億円を払った後に、稼いで残した分がこれです。一方で評価差額金は35億5,100万円増えました。包括利益69億6,600万円のうち純利益は30億3,900万円で、残りの大半は保有している他社の株式の評価額が上がった分です。
どこの株式かは、短信には書かれていません。売らないかぎり現金になりませんし、繰延税金負債も15億円増えています。総資産442億円を見るときは、この74億円を分けて考えたほうがよさそうです。
前年の補助金と税金が、純利益の伸び率を作っている
前年同期には特別利益に補助金収入5億4,600万円、特別損失に固定資産除却損1億4,900万円がありました。今年はどちらもほぼありません。だから経常利益は+72.6%なのに、税引前利益は+48.7%です。
そこから純利益が+60.5%まで戻るのは、税金です。法人税等を税引前利益で割ると、前年は34.5%、今年は29.3%になります。私の割り算です。前年の率が高い理由は、4ページ目に「海外子会社からの配当金増加に伴う法人税等の増加」とあります。今年の29.3%のほうが、この会社のふだんの姿だと受け取りました。
為替が、営業利益の増加分の3割弱
説明会資料では、為替で売上が7億7,700万円、営業利益が4億7,200万円押し上げられています。営業利益の増加分16億9,500万円で割ると、3割弱です。損益計算書の営業外にも為替差益9,100万円が載っています。台湾ドルと人民元の円に対する動きが、この半年は追い風でした。
北九州工場の支払いが始まっている
建設仮勘定と設備関係未払金が、そろって増えています。北九州の新工場の分です。
| 項目 | 前期末 | 今回 |
|---|---|---|
| 建設仮勘定 | 20億5,000万円 | 34億2,100万円 |
| 設備関係未払金 | 1億1,000万円 | 4億5,100万円 |
出どころは決算短信の貸借対照表です。
説明会資料では2026年12月に稼働予定で、減価償却費は稼働後に年2億8,000万円から3億円程度とあります。今期の予想にはほぼ載らず、来期から固定費として効いてきます。手元の現金及び現金同等物は108億3,100万円あるので、支払いに無理はありません。
会社はどう説明しているか
4ページ目と5ページ目です。薬品売上が四半期で過去最高を更新した理由は、生成AI関連など先端半導体パッケージ基板向けの需要と、日本の代理店経由で売る韓国のメモリー向けが堅調だったことです。地域は6つとも増益です。日本は15億2,100万円から33億5,400万円へ増えました。2.2倍です。欧州だけ減収ですが、前年に一時的にあった資材の売上の反動だと説明されています。
この説明は、そのまま受け取ります。留保は2つです。営業利益の伸びの3割弱は為替で、純利益の伸び率は前年の税負担の反動を含んでいます。本業が弱いという話ではなく、今期の伸び率をそのまま来期に延ばせない、という意味です。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は8月10日に修正されました。修正前の数字は手元にありません。
| 項目 | 通期予想 | 進み具合 | 残り6か月に必要な額 | 前年下期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 258億円 | 約48.8% | 約132億600万円 | 約+14.3% |
| 営業利益 | 83億円 | 約49.8% | 約41億6,500万円 | 約+25.9% |
| 純利益 | 60億円 | 約50.6% | 約29億6,100万円 | 約−5.6% |
約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引いたり割ったりした私の計算です。
営業利益は残り半年で前年下期より26%多く稼ぐ置き方なのに、純利益は前年下期を下回ります。この差が気になったので、前年下期を出してみました。
前年通期の純利益は50億2,800万円でした。そこから上期の18億9,300万円を引くと、前年下期は31億3,500万円です。前年は上期の税金が重かったぶん、純利益が下期に偏っていました。今年の下期を29億6,100万円と置くのは、その偏りの裏返しであって、悪い材料を見込んだ数字ではないと考えています。
私はどう読んだか
良いほうの見方をしています。理由は、売上の伸びが売掛金や在庫に化けず、営業キャッシュ・フローとして現金になっているからです。1ページ目の利益率だけなら為替で説明できてしまいますが、現金の入り方は為替だけでは作れません。
心配性なので付け加えると、包括利益の半分以上は保有株式の評価額が上がった分です。今期の数字を眺めるときは、横に置いておく種類のものです。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260810/140120260810515953.pdf
売上が3割増えた半年で売掛金が6億円減った理由は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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