飛行機を買って、航空会社に貸す。海上コンテナを買って、海運会社に貸す。貨車、発電設備、オフィスビルも同じです。三菱HCキャピタルは、高くて長く使う物を自分の金で買い、使いたい人に月々の料金で貸す会社です。国内では、工場の機械を入れたい会社に、買う代わりに借りる形を用意する仕事もしています。
貸すほうは、借金で物を買い、貸し賃と借金の金利の差で稼ぎます。持っている物を売って利益を出すこともあります。だからこの決算は「貸し賃」と「売却益」の二本立てで、今回は二本目が薄い四半期でした。
この決算で何が起きたか
8月7日に出た第1四半期決算です。表紙の数字は、売上から純利益まで全部が減っています。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,391億200万円 | 5,845億円 | △7.8% |
| 営業利益 | 471億400万円 | 824億8,700万円 | △42.9% |
| 経常利益 | 464億8,600万円 | 796億9,400万円 | △41.7% |
| 純利益 | 316億900万円 | 572億7,100万円 | △44.8% |
純利益はほぼ半分です。ただ、この表には前年の側に仕掛けがあります。
前年の第1四半期に、余分な月が入っていた
引っかかったのは4ページ目の説明文です。前年同期に「連結子会社の決算期変更にともなう決算取込期間の調整による増益効果(228億円)」があり、それが剥落した、とあります。13ページ目の注記に中身があります。航空機エンジン、海上コンテナ、鉄道貨車を貸す子会社の決算期を親会社に揃えたため、前年の第1四半期には通常より長い期間の利益が入っていました。……いや、待て。半減の半分以上がこれだ。
前年の572億円から228億円を引きます。残るのは344億円です。今回の316億円と比べると、減益は28億円、1割弱の減りです。注記にある内訳を並べます。
| 決算期変更の影響(前年第1四半期) | 金額 |
|---|---|
| 航空 | 89億9,200万円 |
| ロジスティクス | 62億4,900万円 |
| 調整額 | 75億7,800万円 |
| 合計 | 228億2,000万円 |
この内訳を頭に置いて、6ページ目のセグメント別の利益を並べます。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| カスタマーソリューション | 92億円 | 91億円 |
| 海外カスタマー | 9億円 | 63億円 |
| 環境エネルギー | △7億円 | △32億円 |
| 航空 | 189億円 | 92億円 |
| ロジスティクス | 146億円 | 73億円 |
| 不動産 | 73億円 | 29億円 |
航空とロジスティクスの落ち込みは、前年の余分でかなり説明が付きます。説明が付かないのは不動産と環境エネルギーです。
不動産と環境エネルギーは、前年の膨らみでは説明できない
5ページ目に、不動産は前年に計上した大口のアセット売却益が剥落したとあります。その金額は短信には書かれていません。決算説明会資料には、為替の影響を除いて58億円の減益要因と載っていました。
環境エネルギーは、European Energyという再生可能エネルギー会社への持分法投資の取込損失が増えた、と5ページ目にあります。営業外収益の持分法による投資利益は、前年の26億7,000万円から1億1,000万円へ落ちています。前年の余分とは関係のない、今年の弱さです。
航空にも別の話があります。特定の航空会社から機体が返ってきてリース料収入が減った、と5ページ目に書かれ、14ページ目には賃貸資産の減損損失8億3,700万円が売上原価に入っています。返ってきた機体を貸し直せるかどうかは、この先の四半期に持ち越しです。
営業外で、消えた費用がある
営業外には反対向きの動きがあります。営業外費用の匿名組合損益分配額が、前年の55億3,000万円から1億2,700万円へ落ちています。減り幅は54億円ほどです。
| 営業外 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 営業外収益合計 | 53億1,800万円 | 34億7,400万円 |
| 営業外費用合計 | 81億1,100万円 | 40億9,200万円 |
| 差引 | 約△27億9,300万円 | 約△6億1,800万円 |
約の付いた差引は、収益合計から費用合計を引いた私の引き算です。持分法の利益が消えた分を、この費用の減りが埋めた形です。匿名組合損益分配額は、出資している事業やファンドの利益を出資者に分配する項目です。何への出資で、なぜ前年に55億円もあったのかは、短信には書かれていません。
キャッシュ・フロー計算書の無い四半期
13ページ目に、この四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していません、とあります。第1四半期の短信ではよくあることです。ただ私はいつもそこから見るので、代わりに貸借対照表を前期末と並べました。
現金及び預金は3,660億3,500万円から3,179億200万円へ減っています。減り幅は481億円ほどです。同じ期間に賃貸資産は5兆249億9,600万円から5兆2,300億700万円へ増えました。増え幅は2,050億円ほどです。この2つの増減は私の引き算です。
有利子負債は7ページ目に、2,244億円増えて10兆1,048億円とあります。借金で飛行機や物件を買い足した、という物の貸し手らしい動きで、ここに違和感はありません。
会社はどう説明しているか
短信の説明は2点です。前年の228億円の剥落と、不動産などでのアセット売却益の減少。通期予想に対する進捗率は19.8%に留まっています。これを7ページ目では、専門事業のアセット売却益は年間計画の過半を下期に計上する計画だから、概ね見通しどおり、としています。
説明会の質疑応答も読みました。売却対象の絞り込みは進んでいるが、契約や買い手との交渉はこれから本格化する案件が大半、と答えています。第2四半期の時点で進捗が半分に届かない可能性にも自分から触れています。下期の売却益は、まだ相手が決まっていない、というところまでが今わかっていることです。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期の純利益予想1,600億円は据え置きです。1,600億円から316億円を引きます。残り9か月で1,284億円が要ります。残りは3四半期なので、3で割ると四半期ごとに約428億円です。今回の316億円より100億円以上多い水準です。売却益の無い四半期を続けていては届かない置き方だ、というのが私の割り算です。
私はどう読んだか
半減か、1割弱の減益か。私は後者の見方をしています。理由は、前年の余分が短信の中で金額まで書かれていて、引き算の結果が会社側の説明と合うからです。
ただ、その1割弱の減りは、前年にあった売却益が今年はまだ無い、という中身です。航空は機体が返ってきていて、環境エネルギーは持分法が損失に転じています。下期に売却益が積み上がれば予想に届き、積み上がらなければ届きません。心配性なので、私は後者のほうを先に考えてしまいます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260806512533.pdf
匿名組合損益分配額が何への出資の分配で、前年の55億3,000万円が今年ほぼ消えた理由は読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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