ゴールドクレスト(8871)2027年3月期 中間決算分析・続報――落差は一度きりだったと読みました

ゴールドクレスト(8871)2027年3月期 中間決算分析・続報――落差は一度きりだったと読みました 日本株

はじめに

ゴールドクレストは、首都圏で家族向けの新築マンションを建てて売る会社です。土地を探して仕入れ、建物を建て、そこで暮らす人に一戸ずつ鍵を渡します。買い手は投資用に買う人ではなく、自分で住む人たちです。ほかに、自社で持つ建物を貸す事業、マンションの管理、ホテルの運営も手がけています。

マンションは契約から引渡までに時間がかかり、売上になるのは引き渡した時点です。そのため四半期ごとの数字は、引渡がどこに重なったかで大きく揺れます。

前回は、7月31日に出た第1四半期の決算を取り上げました。引っかかったのは、分譲事業の売上と、補足情報にある引渡実績の表の金額が大きく食い違っていたことです。次の四半期にその差がもう一度出るかを確かめる、と書きました(前の記事)。

この決算で何が起きたか

10月28日に出た中間決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高216億800万円159億9,600万円+35.1%
営業利益94億8,000万円52億3,100万円+81.2%
経常利益87億9,000万円50億9,300万円+72.6%
純利益60億300万円34億7,800万円+72.6%

売上は3割半ば増え、利益はどれも8割前後増えています。半年の数字としては、文句のつけようがない並びです。

7月から9月の3か月は、6億円しか上積みしていない

中間の数字は4月から9月までの累計です。ここから第1四半期の数字を引くと、7月から9月の3か月だけが残ります。

項目第1四半期中間累計7月〜9月
売上高171億4,300万円216億800万円約44億6,500万円
営業利益88億6,800万円94億8,000万円約6億1,200万円

約の付いた数字は、中間累計から第1四半期の数字を私が引いたものです。

半年分の営業利益は、ほとんどが最初の3か月で出ています。前回、第1四半期に大きな売却が集中しただけではないか、と書きました。その見方は、少なくともこの3か月の数字とは食い違っていません。

分譲の売上と引渡の表が、7月から9月はほぼ一致した

前回の食い違いを、同じ2つの表でもう一度確かめます。セグメント情報にある分譲事業の売上と、短信の最後の補足情報にある引渡実績です。

期間分譲事業の売上引渡実績差
第1四半期139億9,000万円14億8,400万円約125億600万円
中間累計153億3,500万円28億3,500万円約125億円
7月〜9月約13億4,500万円約13億5,100万円約△600万円

約の付いた数字は、今回と前回の短信の数字を差し引きしたものです。

7月から9月の引渡は、中間累計の39戸から第1四半期の21戸を引いて18戸です。その18戸の金額と、同じ3か月の分譲事業の売上との差は600万円しかありません。前年同期も、分譲事業の売上と引渡金額は111億8,900万円でぴったり一致しています。ここまでは短信の表の数字です。

125億円は、第1四半期に一度だけ計上された、引渡の表に載らない種類の売上だと私は読みました。第2四半期は、一戸ずつ引き渡すいつもの形に戻っています。

その125億円が何の売却だったのかは、今回の決算短信にも書かれていません。表紙には、補足説明資料と決算説明会がどちらも「有」とあります。そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

利益は、次に売る土地と建物に変わっていた

中間決算なので、今回はキャッシュ・フロー計算書が作られています。短信の8ページ目です。税金等調整前の利益が87億9,000万円あるのに、営業活動によるキャッシュ・フローは16億7,100万円のマイナスでした。

……いつかの夜と同じ形だ。

ただ、中身は違います。この半年で、棚卸資産の増加として92億6,000万円が出ていきました。貸借対照表では、建築中の物件や仕入れた土地にあたる仕掛販売用不動産が、期首の935億8,100万円から1,041億6,300万円へ増えています。

マンションを作る会社にとって、土地の仕入れと建築費は本業の支出です。売れた物件の代わりに、次に売る物件を仕込んだ半年だったことになります。この形のマイナス自体は、この業種では珍しくありません。

足りない分は借入で埋めています。長期借入れで35億円を調達し、配当に16億6,100万円を払いました。現金及び預金は、期首とほぼ同じ水準に戻りました。前回書いた第1四半期の現金の増加は、半年で見るとほぼ消えています。

支払利息は、7月から9月にもう一段増えていた

中間の支払利息は11億400万円でした。前年同期は4億6,600万円で、2倍を超えています。第1四半期の5億1,800万円を引くと、7月から9月は5億8,600万円です。3か月ごとの利払いが、さらに増えています。

長期借入金は、期首の1,684億2,500万円から1,719億円になりました。増加は2%ほどにとどまります。前回と同じく、残高の増え方と利息の増え方がつり合いません。金利の条件についての説明は、決算短信には書かれていません。

会社はどう説明しているか

説明文の組み立ては前回とほぼ同じです。建設費が上がって販売価格も上がり、供給戸数は少ないまま推移している。住宅ローン金利の上昇で買い手に慎重な動きもあるが、住宅取得の支援策もあり、自分で住む人の需要は底堅い。そのなかで利益の見込める土地を選んで仕入れ、都心部を中心に品質の高いマンションを供給してきた、と書いています。

市場の説明としては、そのまま受け取ります。ただ、決算短信の説明文は、半年分の利益の大半が第1四半期の引渡の表に載らない売上から来ていることには触れていません。事業ごとの説明も、売上の増減率が並んでいるだけです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は5月14日に出したものから変わっていません。配当も中間80円、年160円の予想のままです。

項目通期予想進捗率下期に必要な額
売上高420億円約51.4%約203億9,200万円
営業利益159億円約59.6%約64億2,000万円
経常利益142億円約61.9%約54億1,000万円
純利益95億円約63.2%約34億9,700万円

進捗率と下期に必要な額は、通期予想と中間の実績から私が出した数字です。

数字の上では、利益は半分を大きく超えて進んでいます。ところが7月から9月の上積みは6億円ほどで、下期に要る営業利益64億2,000万円の10分の1にも届きません。

売上を分けて考えます。分譲以外の4つの事業は、中間で合わせて62億7,100万円の売上でした。下期もこれと同じだけ出るとします。下期に必要な売上203億9,200万円からそれを引くと、分譲で約141億円を引き渡す必要があります。

契約残高は312戸、294億300万円あります。金額だけなら141億円を上回ります。そのうちどれだけが3月までに引き渡される予定なのかは、決算短信には書かれていません。この半年の新規契約は72戸で、前年同期の3分の1以下でした。

私はどう読んだか

前回は、第1四半期に一度きりの大きな売上があり、年間でならせば予想どおりに落ち着く、という見方をしました。第2四半期の分譲の売上が引渡の表とほぼ一致したことで、その見方は今のところ外れていません。

今回は、進捗率の6割を余裕とは受け取っていません。理由は、その6割が一度きりの売上でできているからです。いつもの売上の出方に戻った7月から9月では、下期に要る利益のごく一部しか積めていません。

通期予想に届くかどうかは、下期に大きな引渡が重なるかどうかにかかっています。契約残高の額は足りていますが、引渡の時期は短信の外にあります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

http://www.goldcrest.co.jp/ir/pdf/261028.pdf

第1四半期に計上された、引渡の表に載らない約125億円の売上が何の売却だったのかは、今回も読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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