三和ホールディングス(5929)2027年3月期 第1四半期決算分析――減益の中身が、腑に落ちない

三和ホールディングス(5929)2027年3月期 第1四半期決算分析――減益の中身が、腑に落ちない 決算を読む

シャッターとドアを作っている会社です。工場や倉庫の大きな出入口を閉じる重いシャッター、商店街の店が閉店後に下ろす軽いシャッター、ビルの自動ドア、オフィスの間仕切り。どれも建物の開いている部分を塞いだり開けたりするための設備で、国内ではこの分野の最大手です。

ふだん意識することはありませんが、トラックが倉庫に荷物を運び込むとき、荷台と床の段差を埋める板も、この会社の商品です。倉庫の運営会社や建設会社、店舗の施主が、建物を建てるときと、傷んで交換するときに買います。据え付けたあとの修理や点検も請け負っています。

日本だけでなく、米国と欧州にも工場と販売の拠点を持っています。買収で広げてきた分で、売上は日本より海外のほうが大きくなっています。

この決算で何が起きたか

7月31日に出た第1四半期の決算です。売上は前年とほぼ同じ、利益は4割減りました。

項目今回前年同期増減率
売上高1,404億円1,407億7,500万円−0.3%
営業利益58億7,800万円99億2,400万円−40.8%
経常利益66億5,100万円104億900万円−36.1%
純利益48億4,200万円72億1,800万円−32.9%

売った額は変わらないのに、残る利益が4割減る。この組み合わせを見ると、私はまず損益計算書の真ん中を読みに行きます。

売上は横ばいなのに、販管費が26億円増えた

損益計算書は短信の6ページ目にあります。売上総利益は447億5,900万円から433億7,000万円へ減りました。減り幅は13億8,900万円です。販売費及び一般管理費は348億3,400万円から374億9,100万円へ増えています。増え幅は26億5,700万円です。

営業利益の減り幅は40億4,600万円です。粗利の減り13億8,900万円と販管費の増え26億5,700万円を足すと、ちょうどその額になります。減益の3分の2は、売る力が落ちた側ではなく、費用が膨らんだ側で起きています。ここまでは損益計算書の数字です。

引っかかったのは、この26億円の中身です。短信の4ページ目の説明文は、関税と住宅市場と欧州の市況を挙げていますが、販管費が何で増えたかには触れていません。のれんの償却は1億8,900万円から2億2,500万円になりました。増えたのは3,600万円だけです。

米州で自動ドアの会社を1社買収したとあるので、その分の人件費や拠点の費用が乗ったのかもしれません。ただ、それがいくらなのかは決算短信に書かれていません。

北米で33億円減り、欧州は円で増収、現地では減収

地域ごとの利益を並べます。短信の9ページ目です。

地域今回前年同期
日本19億1,400万円14億1,900万円
北米46億8,700万円80億1,700万円
欧州△5億700万円4億1,300万円
アジア△1億6,000万円△5,200万円

前年は、地域の利益をぜんぶ足した97億9,700万円のうち、北米が8割を占めていました。その北米が33億3,000万円減っています。日本は売価転嫁が浸透して5億円近く増えましたが、北米が減った分の7分の1ほどです。これは私の割り算です。

欧州の売上は、円で見ると9.5%増えています。ところが外貨では4.9%減、と併記されています。ユーロが円に対して高くなったぶん、円に直した売上が膨らんで見えているだけで、現地では売れる量が減っています。しかも利益は5億円の赤字に転じました。北米も同じで、円では5.5%減、外貨では8.7%減です。為替が、減り方を少し隠しています。

仕掛品が3か月で59億円増えた

貸借対照表で目に留まったのは仕掛品です。3月末の156億5,200万円が6月末に215億8,800万円へ増えています。3か月で59億3,600万円の増加です。原材料も26億8,500万円増えました。売上が横ばいの3か月で、作りかけの物がこれだけ積み上がる理由は、短信の説明文には出てきません。

一つ割り引くべきものがあります。為替換算調整勘定が34億1,300万円増えているので、海外の子会社が持つ在庫は、円安のぶんだけ円に直すと膨らみます。仕掛品の増えのどれだけが為替で、どれだけが実際の積み増しかは、私には分けられませんでした。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作っていないと注記にあるので、現金の出入りからも確かめようがありません。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明は、地域ごとに一言ずつです。日本は「コストアップに対応した売価転嫁の浸透」と、メンテ・サービス、環境対応製品のクイックセーバーが好調。北米は関税に対応した売価転嫁を進めたが、住宅市場の低迷の影響を受けた。欧州は低調な市場環境と各種コストの上昇。アジアは華東事業の市場が厳しく、構造改革に取り組んでいる。

これらは、そのまま受け取っています。北米の住宅市場も欧州の市況も、外から確かめようのある話です。留保をつけるのは、この説明が売上の側に偏っていることです。今回の減益の3分の2を占めた販管費の増加について、理由に当たる文が見当たりませんでした。関税の費用が販管費に入るのか売上原価に入るのかも、短信からは分かりません。

業績予想については「2026年5月14日に公表した連結業績予想を変更しておりません」の一文だけです。表紙に決算補足説明資料は「有」とあるので、そちらに補足があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期の営業利益予想は810億円で、第1四半期は58億7,800万円です。割ると進捗は7.3%になります。私の割り算です。3か月で4分の1が目安ですから、かなり出遅れています。

上期の予想も出ていて、302億円、前年比10.4%減です。302億円から第1四半期の58億7,800万円を引きます。すると7月から9月の3か月で243億2,200万円が要ります。前年の上期は、10.4%減の裏返しで割り戻せます。302億円を0.896で割ると約337億円です。そこから前年の第1四半期99億2,400万円を引くと、前年の7月から9月は約237億8,000万円でした。並べると、こうなります。

営業利益第1四半期7〜9月上期累計通期
前年 実績99億2,400万円約237億8,000万円約337億円約791億円
今年 会社予想58億7,800万円約243億2,200万円302億円810億円

約の付いた数字は、上期の増減率−10.4%と通期の+2.4%から私が割り戻し、引き算したものです。

4割減った直後の3か月で、前年の同じ3か月を上回る。それが上期予想の置き方です。通期でも、810億円から第1四半期分を引くと、残り9か月に必要なのは751億2,200万円です。これは前年の残り9か月より8.6%多い額になります。……いや、これは強気だ。何がこの3か月で戻るのかは、短信のどこにも書かれていません。

配当は年146円で据え置きです。うち14円は記念配当と表紙にあります。予想の純利益600億円に対する配当性向は50.7%、これも私の割り算です。

私はどう読んだか

減益を、関税と住宅市場という外の事情として受け取るか、販管費が膨らんだという自分の側の話として受け取るか。私は後者の見方をしています。理由は、粗利の減りが14億円で済んでいるのに対し、販管費の増えは26億円だからです。費用のほうが減益の主役です。外の事情は市況が持ち直せば消えますが、増えた固定費はそう簡単には戻りません。

一方で日本の増益は、売価転嫁が効いた本業の話で、ここは疑っていません。ただ規模が北米の減り幅の7分の1では、全体を持ち上げるには足りません。据え置かれた予想は、7月からの3か月で前年を上回る置き方です。心配性なので、その根拠を確かめてから信じたいと思っています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260722597313.pdf

販売費及び一般管理費が26億5,700万円増えた中身は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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