ソディック(6143)2026年12月期 中間決算分析――前受金の膨らみを、良い兆しと読みました

ソディック(6143)中間決算分析――経常2.6倍の中身と、半年で43億円増えた契約負債 決算を読む

ソディックは放電加工機を作る会社です。電気の火花で金属を少しずつ溶かして削る機械で、刃物では届かない硬い金属や、髪の毛より細い溝を彫るときに使います。用途の中心は金型です。スマートフォンの中のコネクタや自動車の部品は、金型に樹脂や金属を流して大量に作ります。その金型を作る工場が、この機械の買い手です。

射出成形機も作っています。溶かした樹脂を金型に流し込んで部品にする機械で、金型を作る側と使う側の両方に売っている形です。それから製麺機。製麺工場向けの設備で、機械の会社としては少し変わった顔ですが、短信には毎回きちんと一つの事業として出てきます。

この決算で何が起きたか

8月7日に出た中間決算です。売上が2割強増えて、営業利益は2倍になりました。

今回前年同期増減率
売上高469億2,100万円379億8,000万円+23.5%
営業利益44億5,200万円21億5,000万円+107.0%
経常利益55億3,200万円15億3,800万円+259.7%
純利益39億8,100万円10億8,800万円+265.7%

経常利益と純利益はさらに伸びていますが、この二つの伸び幅には、営業利益とは違う種類のものが混じっています。それは後で書きます。先に、引っかかった場所から。

契約負債が、半年で58億円から102億円へ

貸借対照表の流動負債に、契約負債という行があります。製品を納める前に客から受け取った代金、いわゆる前受金です。この行が前期末の58億2,100万円から、6月末には101億9,700万円になっていました。半年で43億7,500万円の増加です。

負債の名前が付いていますが、増えて困るものではありません。これから納める機械の代金を、客が先に払っている。つまり、まだ売上になっていない注文が手元に積んである、という形です。

現金の側でも確かめられます。キャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは100億2,300万円でした。前年同期は55億6,700万円でしたから、44億5,600万円の増加です。その内訳に「契約負債の増減額」が39億8,800万円で入っています。増えた分の大半が、この前受金です。

前期末(2025年12月)中間期末(2026年6月)
契約負債58億2,100万円101億9,700万円
現金及び預金450億6,400万円511億9,700万円
長期借入金(固定負債)169億2,100万円136億2,500万円

現金が61億円増えるあいだに、長期借入金は33億円減らしています。自己株式も10億円買いました。稼いだ現金で借金を返して、それでも現金が増えた半年でした。……これは、なかなか無い形だ。

経常利益の伸びの3分の1は、為替の振れ

もう一つ、経常利益が3.6倍になった中身です。営業利益の増加分は23億200万円ですが、経常利益は39億9,400万円増えています。この差の大半は為替です。

前年同期は営業外費用に為替差損が7億9,700万円ありました。今回は逆に営業外収益に為替差益が4億2,400万円あります。損が消えて益に変わったので、振れ幅は7億9,700万円と4億2,400万円を足したものです。合計で12億2,100万円になります。経常利益の増加分はおよそ40億円です。そのうち23億円が本業、12億円が為替、というのが私の引き算です。

特別利益にも一時的なものが入っています。固定資産売却益が3億8,700万円、関税還付金が1億7,300万円。純利益の3.7倍という数字には、これも乗っています。ここまでは損益計算書の数字です。来年の同じ時期にこの為替の益がまた出るとは、私は考えていません。

増えた売上の半分は、中華圏

売上の伸びがどこから来たかも短信に出ています。地域別の内訳で、中華圏向けの売上は前年同期の130億5,100万円から174億9,800万円へ増えました。増加分は44億4,700万円。全体の増収は89億4,100万円なので、増えた売上のほぼ半分が中華圏一つから来ています。

全体に占める割合でも、4割近くが中華圏です。工作機械事業だけに絞ると、その比率はもっと高くなります。前受金が積み上がったのも同じ場所からで、説明会資料には「中華圏の需要拡大に伴う契約負債(前受金)」とあります。良い数字と、その良さが一か所に寄っていることは、同じ表の中に並んでいました。

会社はどう説明しているか

短信の説明文は、伸びの理由を「金型生産の最大地域である中華圏において電子部品、モバイル関連、NEVなどの好調な需要が継続」と書いています。利益については、売上増加による利益率の改善と、生産台数が増えて工場の稼働率が上がったこと。1ページ目の営業利益率が5.7%から9.5%に上がった理由は、これで説明が付きます。

同じ文章の中に、会社側の心配も入っています。中東情勢の緊迫化で先行きには不透明な要素がある、と自分から書いています。そのうえで、データセンター向け光コネクタや航空宇宙など、高精度の加工が要る分野では需要が続くと見込んでいます。

小さいところでは、食品機械の減収です。その理由は、無菌包装米飯製造装置の「競争環境の変化」による販売減少、と書かれています。競争環境が具体的に何かは短信には書かれていません。製麺設備が堅調なぶん目立ちませんが、利益率の高い事業が減っている点は残しておきます。

私はこの説明をおおむねそのまま受け取っています。理由は、稼働率の改善が売上総利益率の上昇として損益計算書に出ていて、前受金の増加が現金の増加として貸借対照表に出ているからです。言葉と数字が合っています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

2月に出した通期予想を、8月7日に引き上げました。営業利益は55億円から92億円へ。それでも上期の進み具合は、売上も営業利益も半分に届いたところです。

通期予想上期実績残り6か月に必要な額前年下期比
売上高970億円469億2,100万円約500億7,900万円約+17.6%
営業利益92億円44億5,200万円約47億4,800万円約+129.0%
経常利益99億円55億3,200万円約43億6,800万円約+18.3%
純利益74億円39億8,100万円約34億1,900万円約−0.2%

約の付いた数字は、通期予想から上期の実績を引いた私の引き算です。前年下期比も同じです。

営業利益は下期に47億4,800万円が必要で、前年下期の2.3倍にあたります。ただ上期が44億5,200万円だったので、同じ勢いが続けば届く額です。一方で純利益は残りが34億1,900万円で、前年下期とほぼ同じです。営業利益は倍以上にする一方で、純利益は前年並みに置いています。上期の為替差益や固定資産売却益が下期には無い、という置き方に読めますが、その理由は短信には書かれていません。

私はどう読んだか

見方は二つあると思います。前受金の積み上がりは注文が先に来ている良い形だ、というのが一つ。もう一つは、中華圏一つに寄った伸びなので、そこが止まれば前受金も止まる、というものです。

私は前者の見方をしています。理由は、前受金が現金で入っていることをキャッシュ・フロー計算書で確かめられ、その現金で借入金を減らしていることまで貸借対照表で追えるからです。話で伸びているのではなく、金が先に動いています。

それでも中華圏の比率は頭に残ります。説明会資料の受注のグラフには、過去に中華圏で受注が急減速した時期が何度も書き込まれていました。会社自身が、それを知っている。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807515006.pdf

契約負債101億9,700万円のうち、中華圏の客から受け取った分がいくらなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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