さくらインターネット(3778)2027年3月期 中間決算分析――上振れの半分強は費用の先送りと読みました

さくらインターネット(3778)2027年3月期 中間決算分析――上振れの半分強は費用の先送りと読みました 日本株

はじめに

さくらインターネットは、北海道の石狩などにデータセンターを持ち、そこでサーバーを貸している会社です。個人がブログやお店のホームページを置くレンタルサーバから、企業が自社のシステムを載せるクラウドまで扱っています。使う人の幅が広い会社です。国や自治体のシステムを載せる「ガバメントクラウド」にも、正式に採択されています。

ここ2年ほどで主役に出てきたのが、GPUの貸し出しです。GPUはもともと画像処理のために作られた半導体で、いまは生成AIの計算に使われています。AIに学習させるには、大量の計算を何週間も回し続けます。その計算機を自前で揃えるかわりに、期間を決めてここから借りる、という使われ方です。

赤字の上期から、黒字の上期へ

10月28日に出た中間決算です。前年の上期は、営業損益から純損益まで赤字でした。

今回(上期)前年同期増減率
売上高228億2,700万円156億3,100万円+46.0%
営業利益29億6,300万円△9億2,000万円—
経常利益30億1,300万円△8億1,100万円—
親会社株主に帰属する中間純利益19億300万円△6億2,600万円—

売上は5割近く増え、利益は4段とも黒字に転じています。

伸びたのはGPUの貸し出しで、ほかは減収です

サービスごとの売上は、短信の添付資料2〜3ページ目に文章で書かれています。

サービス今回の売上前年同期比
クラウドサービス80億7,188万円+7.5%
GPUインフラストラクチャーサービス101億2,443万円+258.9%
物理基盤サービス13億6,306万円△13.6%
その他サービス32億6,807万円△12.3%

GPUだけで上期の売上の4割を超えました。物理基盤はお客の機械を預かるハウジングと専用サーバで、利用が減っています。その他の減収は、前年同期に大口案件があった反動だと短信にあります。

GPUの伸びについて、短信は「さくらONE」の大型案件の継続利用と、新規の受注を理由に挙げています。大型案件が続くかどうかで、この表のいちばん大きな行は動きます。

25億円の補助金が、利益には出てこない

損益計算書の特別利益に、国庫補助金等収入が24億9,930万円あります。引っかかったのは、そのすぐ下です。特別損失に、固定資産圧縮損がまったく同じ24億9,930万円で並んでいます。前年同期も62億8,383万円で、両方が同額でした。

受け取った補助金と同じ額を、同じ期に損として出している。……いや、これは損ではない。

圧縮記帳という処理です。補助金で買った設備の帳簿上の値段を、補助金の分だけ減らします。その期の利益には何も残りませんが、設備の値段が小さくなるぶん、この先の減価償却費が軽くなります。経理にいた頃、私も同じ仕訳を何度か切りました。

つまりこの25億円は、これから数年の営業利益の中に、償却費の軽さという形で少しずつ入ってきます。補助金の出どころは、短信には書かれていません。説明会資料には、経済産業省の助成金と投資計画の認定が図で載っています。短信の補助金は、これに当たると受け取っています。

営業外にも補助金収入が3億5,087万円あります。一方で支払利息は、2億3,404万円から4億1,874万円へ、ほぼ倍になりました。経常利益が営業利益を上回った分は、この補助金収入より小さいので、補助金収入を除くと営業外の収支はマイナスです。

この短信には、キャッシュ・フロー計算書が無かった

添付資料の目次は、貸借対照表、損益計算書と包括利益計算書、注記で終わっています。営業で現金がいくら入り、設備にいくら払ったのかは、この短信からは追えません。11月12日提出予定の半期報告書を待つことになります。

代わりに、貸借対照表で追える範囲を並べました。

項目3月末9月末
現金及び預金153億9,108万円194億2,496万円
短期借入金106億8,700万円81億3,600万円
長期借入金57億7,739万円64億4,882万円
リース債務(固定負債)114億6,463万円159億7,464万円

現金は40億円ほど増え、短期の借入は25億円ほど減りました。代わりに、長期のリース債務が45億円ほど増えています。短信は、石狩データセンターの増床などの設備をリースで増やし、その支払いに備えて現金を持っている、と説明しています。利益から来た現金と借りて増えた現金を、この表では分けられません。

短信の説明文に、不正アクセスの話は出てこない

短信の文章は、売上の伸びをGPUの高い稼働と提供単価の改善によるものとしています。減価償却費や保守費用、人材関連の費用は増えたものの、売上の増加がそれを上回った、という書き方です。純利益については、法人税等調整額の益の計上も理由に挙げています。ここはそのまま受け取ります。

説明会資料には、8月に公表した不正アクセスの件に1枚が割かれています。レンタルサーバの一部環境と、会員情報の入った販売管理システムに及んだ件です。短信の経営成績の説明には、この件は出てきません。

二つを並べて気づいたのは、上期の費用の中身です。説明会資料によると、上期は顧客対応を優先して、採用や広告・イベントの一部を見直しました。7月時点の上期営業利益の予想は22億円で、実績との差は7億6,300万円です。そのうち売上の増加は3億2,700万円、残りの4億3,600万円は広告宣伝費・採用・その他の費用の減少でした。どれも説明会資料の数字です。

下期の予想は、第2四半期の3か月分に届かない

上期実績通期予想進捗率下期に必要な額
売上高228億2,700万円466億円約49.0%約237億7,300万円
営業利益29億6,300万円41億円約72.3%約11億3,700万円
経常利益30億1,300万円39億円約77.3%約8億8,700万円
純利益19億300万円25億5,000万円約74.6%約6億4,700万円

約の付いた数字は、通期予想と上期実績から私が割り算・引き算したものです。

売上の進捗率は半分弱で、下期のほうを大きく見込んでいます。利益は上期で7割を超えました。7月に出た第1四半期の営業利益は12億3,000万円でした。29億6,300万円から引くと、7月から9月の3か月で17億3,300万円です。下期6か月の11億3,700万円は、この3か月分より小さいことになります。

説明会資料には、下期に中途採用約70名(上期は12名)、創業30周年の施策、広告、修繕費などが集中すると書かれています。通期の営業利益予想は7月の25億円から41億円へ引き上げられましたが、それでもこの形です。

私はどう読んだか

上期の利益を、この会社のふだんの稼ぎと見るか。費用を止めた分が乗った、特別な半年と見るか。私は後者だと考えています。理由は、7月予想からの上振れの半分強が、売上ではなく費用の減少から来ているからです。止めた採用と広告が下期に戻るなら、下期の利益が細るのは不自然ではありません。

一方で、GPUの売上が稼働と単価で伸びたことは、短信に書かれています。こちらは費用の話とは別の、商売で稼いだ分です。

心配性なので、説明会資料の一行が頭に残っています。GPUサーバーは3年で償却していて、その償却が2027年1月から順次終わる、という記述です。償却が軽くなる一方で、次の世代のGPUにまた大きなお金が要る商売でもあります。先のことは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.sakura.ad.jp/corporate/wp-content/uploads/2026/10/261028-ir_1.pdf

上期に本業で現金がどれだけ入ってきたのかは、この短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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