山崎製パン(2212)2026年12月期 第3四半期決算分析――不二家の赤字が気になりました

山崎製パン(2212)2026年12月期 第3四半期決算分析――不二家の赤字が気になりました 日本株

朝のパンの棚に並んでいる会社

スーパーやコンビニのパンの棚で、いちばん場所を取っているのがこの会社の製品です。食パン、コッペパン、まるごとソーセージのような惣菜パン、串団子や大福、生ケーキ。朝食の食パンも、昼休みに買う菓子パンも、たいていここの工場から出てきます。コンビニ向けには、調理パンやおにぎりも作っています。

グループには、洋菓子の不二家、サンデリカ、スナック菓子の東ハトやヤマザキビスケットが入っています。デイリーヤマザキというコンビニも自前で持っています。パンを焼いて、運んで、自分の店でも売る会社です。

9か月で、売上高が1兆円を超えた

2026年10月27日に出た、2026年12月期の第3四半期決算です。1月から9月までの累計で、売上高が1兆円を超えました。

今回前年同期増減率
売上高1兆114億9,900万円9,681億円+4.5%
営業利益472億1,800万円447億1,800万円+5.6%
経常利益498億8,800万円463億1,700万円+7.7%
純利益318億7,200万円297億2,500万円+7.2%

4項目とも前年同期を上回っています。通期予想は、2月12日に出したものから変えていません。

本体の増益は、値上げのあとも数量を保てたこと

最初の表では、どこで稼いだのかが分かりません。短信の終わりの補足情報に、山崎製パン単体の営業利益の増減の内訳があります。デイリーヤマザキ事業を除いた本体の営業利益は、281億8,000万円から312億4,000万円へ増えました。増えた額は30億6,000万円です。

本体の営業利益を動かした主な要因金額
売上高の増加+115億8,000万円
原材料費の減少+18億3,400万円
製造労務費の増加△26億1,800万円
人件費の増加△30億円
経費の増加△48億500万円

いちばん大きいのは売上高の増加で、人件費や経費の増加はこれで吸収できています。会社の説明文には、7月1日出荷分から一部の食パン、菓子パン、和洋菓子を値上げしたうえで「販売数量を確保いたしました」とあります。

部門別でも、前年同期を下回ったのは調理パン・米飯類だけでした。第1四半期はコンビニとの取引が増えて伸びました。第2四半期以降は前期の需要急増の反動と、おにぎりの伸び悩みで下回った、と短信にあります。

内訳の中に、引っかかった行が一つあります。「原材料費の減少」が、利益を増やす側に18億3,400万円入っています。説明文のほうでは、油脂や包材の原材料価格が上がって厳しい環境だった、と書いています。値上げで売上に対する原材料費の割合が下がった分を、こう表しているのかもしれません。短信からは確かめられませんでした。

不二家が営業赤字に、デイリーヤマザキの赤字も広がった

本体が順調な一方で、補足情報の子会社の表は様子が違います。

営業損益前年同期今回増減率
不二家(連結)10億6,900万円△1億1,300万円−
サンデリカ34億1,200万円31億4,300万円△7.9%
YKベーキングカンパニー(連結)6億1,600万円11億1,000万円+80.3%
デイリーヤマザキ事業(本体の一部門)△3億4,900万円△14億7,600万円−

不二家は売上が4.4%増えたのに、営業損益は前年同期の黒字から赤字になりました。悪化した額は11億8,200万円です。……売上は伸びているのに、利益が消えている。不二家が赤字になった理由は、決算短信には書かれていません。

デイリーヤマザキは、本体の中の一事業として数えられています。流通事業の全体では15億3,100万円の営業損失で、こちらは「人件費等のコスト上昇もあり」と理由が添えてあります。7月に商品本部の体制を整えた、とも書いています。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無い

いつもの順で添付資料の10ページまでめくると、「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」という注記がありました。第3四半期は作成を省けるので、手抜きではありません。それでも、本業でどれだけ現金が入ったかは、この短信からは分かりません。

代わりに、貸借対照表を前期末と並べました。現金及び預金は1,638億2,000万円から1,692億4,800万円へ増えています。同じ9か月で短期・長期の借入金はどちらも減り、自己株式も22億2,500万円分取得しています。

返済と自己株式の取得をしたうえで、現金は増えています。現金の出入りの中身までは分からないので、言えるのは「資金繰りに無理をした形跡は、貸借対照表には見えない」というところまでです。

会社が予想を変えなかった理由

短信の4ページ目に、第4四半期に入っても山崎製パン単体の業績は順調に推移しているが、「主要連結子会社の業績の動向を見極めるため」に通期予想と配当予想を変えていない、と書いています。

本体については、10月に入ってからの様子にまで会社自身が触れています。そのうえで子会社を理由に挙げているので、気にしているのは不二家やサンデリカの側だと受け取りました。この説明に、私は留保を付けません。理由は、補足情報の子会社の表と、言っていることが合っているからです。

先の話として、2027年1月1日出荷分から一部の食パン、菓子パン、和洋菓子を再び値上げする予定だ、とも書いています。来期は小麦粉、油脂、フィリング類の原材料価格が大幅に上がると見込んでいるからです。

残り3か月は、前年より減収の計算になる

通期予想9か月の累計進捗率残り3か月に必要な額前年の10〜12月との比較
売上高1兆3,380億円1兆114億9,900万円約75.6%約3,265億100万円約△5.0%
営業利益640億円472億1,800万円約73.8%約167億8,200万円約+2.2%
経常利益670億円498億8,800万円約74.5%約171億1,200万円約△4.8%
純利益425億円318億7,200万円約75.0%約106億2,800万円約△4.9%

約の付いた数字は、表紙の通期予想から9か月の累計を引いて、私が出したものです。

9か月なら4分の3が目安なので、進捗率はほぼ目安どおりです。引っかかるのは右端の列で、予想どおりなら10月から12月の売上高は前年の10〜12月より5%ほど少ないことになります。値上げをして数量も保っている会社が、最後の3か月だけ減収になる、というのは考えにくい前提です。

私はどう読んだか

私はこの決算を良いほうに読んでいます。通期予想は、2月の時点の数字のまま動いていないだけだ、という見方です。理由は、本体が第4四半期に入っても順調だと会社自身が書いていて、進捗率も4項目そろって目安の近くにあるからです。予想が控えめなまま残っているのであって、本体の勢いが落ちる前提ではありません。

それでも、心配性なので下のほうも見ておきます。不二家の赤字は、売上が増えている中で出ています。値上げで埋められる種類のものなのかどうか、短信からは分かりません。上がるかは知りません。来年1月の値上げのあと、不二家の損益がどちらに動くかを次の決算で確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.yamazakipan.co.jp/ir/ir-library/tanshin/pdf/2026/2026-3q.pdf

不二家が営業赤字に転じた理由と、本体の原材料費が利益を押し上げる側に入っている理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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