投資の箱を作り、運用を引き受ける会社
ファンドクリエーショングループは、お金を出したい人と投資先をつなぐ仕組みを作っている会社です。不動産、太陽光発電所、証券に投資するファンドを組み立て、その運用を引き受けて手数料を受け取ります。買い手の中心は余裕資金のある個人で、税金の負担を考えて選ばれる商品も扱っています。
もう一つの柱は、自分のお金で不動産やトラックを買う商売です。物件は買って売り、トラックは運送会社から買い取って、そのまま貸し戻します。運送会社は車を手放さずに現金を手にできます。燃料費も人件費も上がっている中小の運送会社に、この需要がある、と会社は短信に書いています。
売上は1割増えたのに、4つの利益はすべて赤字
2026年10月15日に出た、2026年11月期の第3四半期決算です。12月から8月までの9か月の累計です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 27億8,200万円 | 25億700万円 | +11.0% |
| 営業利益 | △2,200万円 | 7,600万円 | — |
| 経常利益 | △1億1,400万円 | 2,300万円 | — |
| 純利益 | △7,800万円 | 700万円 | — |
前年は小さいながら黒字でした。それでも通期予想は、1月14日に出したまま変えていません。
9か月で、在庫が倍以上になっていた
貸借対照表で最初に引っかかったのは、棚卸資産です。期首の26億1,400万円が、8月末には56億9,600万円になっていました。9か月で30億8,200万円の増加です。この会社の棚卸資産は、売るために持っている不動産と、貸し戻し用のトラックです。
| 科目 | 2025年11月末 | 2026年8月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 17億1,700万円 | 12億1,100万円 |
| 棚卸資産 | 26億1,400万円 | 56億9,600万円 |
| 短期借入金 | 11億2,300万円 | 35億2,400万円 |
| 前受収益及び契約負債 | 600万円 | 4億400万円 |
| 自己資本比率 | 45.2% | 33.6% |
お金の出どころも同じ表にあります。短期借入金を大きく増やし、手元の現金も減らして、物件と車を買い込んだ形です。
借入金が増えれば、利息も増えます。支払利息は4,200万円から6,100万円になりました。営業外費用には、前年に無かった投資有価証券清算損2,900万円も載っています。この2つ、6,100万円と2,900万円を足してみます。その額が、営業損失2,200万円から経常損失1億1,400万円までの開きとほぼ同じになります。損失が広がったのは、主にこの2つのためです。
負債の側でも、もう1行、目が止まりました。前受収益及び契約負債が、600万円から4億400万円に増えています。代金を先に受け取り、まだ売上にしていないお金です。何の前受けなのかは、決算短信には書かれていません。
いつものようにキャッシュ・フロー計算書まで行くと、注記に「作成しておりません」とあり、減価償却費300万円が添えてあるだけでした。第3四半期では珍しくありません。……現金の動きは、貸借対照表から追うしかない。
手数料の事業で、利益が6割以上減っていた
利益がどこで減ったのかは、事業ごとの表に出ていました。
| 事業 | 売上高 前年同期 | 売上高 今回 | 利益 前年同期 | 利益 今回 |
|---|---|---|---|---|
| アセットマネジメント | 5億700万円 | 4億9,700万円 | 1億1,400万円 | 4,100万円 |
| インベストメントバンク | 20億円 | 22億8,500万円 | 1億9,500万円 | 1億9,100万円 |
| 全社費用 | — | — | △2億3,600万円 | △2億5,700万円 |
物件と車を売買する側は、売上を1割半ほど伸ばし、利益はほぼ前年並みでした。減ったのは、ファンドの運用を引き受ける側です。売上は2%しか減っていません。それなのに、利益は1億1,400万円から4,100万円へ落ちています。差は7,300万円です。営業利益は7,600万円から△2,200万円へ落ちました。減った9,800万円の大半がここから来ている、というのが私の引き算です。
運用の残高そのものは積み上がっています。ファンドの運用資産残高は227億円、受託資産残高は216億円です。車両ファンドなどの残高も、この9か月で2億1,500万円増えました。手数料の商売は、本来は残高に沿って安定するものです。売上がほぼ横ばいで利益だけが落ちたのなら、費用の側で何かが増えたはずです。その中身は、決算短信には書かれていません。
会社が書いているのは、事業の進め方まで
短信の4ページ目で、会社は不動産の買い手の意欲は高いとし、太陽光とトラックの貸し戻しも需要が高まっていると書いています。不動産については「取得した販売用不動産の売却を進めております」、車両は「取得を継続的に実施」とあります。
事業環境の説明は、そのまま受け取ります。ただ、赤字になった理由は決算短信の説明文には書かれていません。「売却を進めております」も、売れたという意味ではありません。棚卸資産が倍になっている以上、売却の大半はこれからです。
前期も、利益の大半は最後の3か月だった
9か月で、売上は通期予想の半分に届かず、利益はまだマイナスです。この時期の目安は4分の3ですから、普通なら大きく遅れている決算です。
ただ、前期の数字と並べると、この会社の1年の形が見えてきます。表紙の通期営業利益予想5億8,000万円には、前期比△0.3%とあります。5億8,000万円を0.997で割り戻すと、前期の通期営業利益はおよそ5億8,200万円です。前期の9か月は7,600万円でした。5億8,200万円から7,600万円を引きます。前期は9月から11月の3か月だけで、およそ5億600万円を稼いでいたことになります。売上も同じ割り戻しで出しました。
| 9か月 | 残り3か月 | 通期 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 前期実績 | 25億700万円 | 約33億4,000万円 | 約58億4,000万円 |
| 売上高 今期 | 27億8,200万円 | 34億1,800万円が必要 | 62億円(予想) |
| 営業利益 前期実績 | 7,600万円 | 約5億600万円 | 約5億8,200万円 |
| 営業利益 今期 | △2,200万円 | 6億200万円が必要 | 5億8,000万円(予想) |
約の付いた数字は、表紙の予想増減率から私が割り戻したものです。
前期も、営業利益は9か月で通期の1割強しか稼いでいません。今期も同じ形で、違うのは、最後の3か月に要る営業利益が前期より1億円近く重いことです。
もう一つ、日付にも意味があります。第4四半期は9月から11月で、10月15日はその半分近くが過ぎた日です。会社は1か月半の売れ行きを見たうえで、予想を動かしませんでした。
在庫は、売るために積んだものと考えています
積み上がった在庫は、売れずに残ったものなのか、最後の3か月に売るために仕込んだものなのか。私は後者の見方をしています。理由は、前期も利益の大半が9月から11月に出ている会社で、その前に在庫が膨らむのは順番として自然だからです。前受けの4億円も、売却の決まった案件の手付けかもしれません。
心配な点も残ります。物件の決済が12月にずれ込めば、それだけで通期の数字には届きません。借入金の利息は、売れるまで毎月かかります。手数料の事業で利益が落ちた理由も分からないままです。上がるかは知りません。
赤ペンで棚卸資産の行に丸を付けたところで、今日は目が持たなくなりました。
出典:決算短信(会社発表)
アセットマネジメント事業の利益が6割以上減った理由と、前受けの4億400万円が何の代金なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント