壁の中で電線を守る管を作る会社
未来工業は、建物の電気工事で使う部材を作っている会社です。家やビルの壁や天井の中には、電線を通すための樹脂の管が張りめぐらされています。この管があるので、電線は傷から守られ、あとから入れ替えることもできます。
コンセントやスイッチの裏で配線をまとめる箱も作っています。コンセントやスイッチそのものも手がけています。
これを買うのは電気工事の職人さんで、たいていは電材の問屋を通して現場に届きます。建物ができあがると、製品のほとんどは目に入らなくなります。短信の説明文が強調しているのは、人手の足りない現場で作業を減らすための製品づくりです。
中間期としては、売上高も利益も過去最高
10月23日に出た中間決算です。期間は3月21日から9月20日までです。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 248億6,100万円 | 229億4,600万円 | +8.3% |
| 営業利益 | 37億9,200万円 | 31億5,900万円 | +20.0% |
| 経常利益 | 39億2,500万円 | 32億5,200万円 | +20.7% |
| 純利益 | 26億4,600万円 | 21億9,500万円 | +20.5% |
利益は2割増え、伸び率は売上高の倍以上になりました。中間期の売上高と各利益は、どれも過去最高を更新したと会社は書いています。
増えた営業利益は、ほぼ全部が電材及び管材から
短信の4ページ目の説明文に、引っかかった一文がありました。第1四半期に、中東情勢の影響で、電材及び管材の一部製品を前倒しで調達する動きがあったそうです。供給制約を背景にした代替需要も出たと書かれています。お客さんが先々の分まで早めに手当てした、ということです。
そこで、事業ごとの数字を前年同期と並べました。
| 事業 | 売上高 | 増減率 | 営業利益 | 前年同期からの増減 |
|---|---|---|---|---|
| 電材及び管材 | 190億3,300万円 | +8.4% | 34億9,300万円 | +6億9,600万円 |
| 配線器具 | 43億2,500万円 | +11.6% | 4億3,000万円 | +3,100万円 |
| その他 | 15億100万円 | △0.6% | 3億1,000万円 | △6,700万円 |
金額は短信の説明文と事業別の表から取りました。事業ごとの営業利益は、全社の調整を引く前の数字です。
会社全体の営業利益は6億3,300万円増えています。電材及び管材だけで、それを上回る6億9,600万円の増益です。……全社の増益より、一つの事業の増益のほうが大きい。
配線器具は売上が1割以上伸びましたが、増えた利益の3,100万円は、今回の営業利益4億3,000万円の1割にも届きません。その他の事業は、外注加工費や人件費が増えて減益でした。過去最高の利益は、前倒しの調達が起きた一つの事業が、ほぼ単独で生み出したことになります。
売掛金と在庫が増え、営業キャッシュ・フローは前年同期を下回った
利益が2割増えた一方で、キャッシュ・フロー計算書の営業活動による収入は24億4,700万円でした。前年同期の33億2,600万円を下回っています。
| 項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 32億5,200万円 | 38億9,300万円 |
| 売上債権及び契約資産 | 1億900万円の減少 | 13億5,800万円の増加 |
| 棚卸資産 | 4,300万円の増加 | 5億500万円の増加 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 33億2,600万円 | 24億4,700万円 |
差をつくった最大の項目は売上債権です。貸借対照表では、売掛金などが7億5,000万円、電子記録債権が6億800万円、それぞれ期首から増えています。値上げをすれば、同じ量を売っても売掛金は膨らみます。ただ、前年は減っていた項目なので、値上げだけでは説明しきれない大きさです。
在庫では、原材料及び貯蔵品が18億3,900万円から21億5,500万円に増えました。説明文には原材料単価の上昇と書かれています。供給が細るなかで、材料を厚めに持ったのだと私は受け取りました。
資金繰りに不安がある会社ではありません。現金及び預金が210億2,400万円あり、自己資本比率は80.0%です。気になるのは、増えた利益がまだ現金に変わりきっていない点です。
前倒しと値上げのどちらがどれだけ効いたのかは、短信では分からない
会社は増収の理由を2つ挙げています。前倒しの調達と代替需要。それから、電材及び管材と配線器具の一部製品で価格改定が浸透したことです。利益の面では、原材料単価の上昇や外注加工費の増加を、増収の効果で吸収したと書いています。
価格改定は、一度浸透すれば下期にも残る理由です。前倒しの調達は、その分だけ後ろの注文が減る理由です。性格の違う2つが同じ文に並んでいますが、それぞれがいくら分だったのかは決算短信には書かれていません。
建築業界の様子も書かれています。新設住宅着工はやや持ち直してきたものの、非住宅は前年同期より着工床面積が減っているそうです。価格改定の話はそのまま受け取ります。前倒しのほうは、量が分からないままです。
下期の営業利益は、前年の下期より1割強少ない見込み
会社は同じ日に業績予想を修正しました。修正前の数字と修正の向きは、決算短信には載っていません。別紙の「業績予想の修正に関するお知らせ」は、私はまだ読んでいません。
| 項目 | 通期予想 | 上期の実績 | 進捗率 | 下期に必要な額 | 前年の下期比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 489億8,400万円 | 248億6,100万円 | 50.8% | 241億2,300万円 | +6.1% |
| 営業利益 | 69億2,700万円 | 37億9,200万円 | 54.7% | 31億3,500万円 | △12.1% |
| 純利益 | 47億5,500万円 | 26億4,600万円 | 55.6% | 21億900万円 | △15.7% |
進捗率から右の列は、通期予想から上期の実績を引いて私が出したものです。
下期も売上高は増える見込みなのに、営業利益は前年の下期より1割強減る見込みです。事業別でも同じ形になっています。電材及び管材の通期予想は63億1,700万円です。ここから上期の34億9,300万円を差し引くと、下期は28億2,400万円になります。前年は、通期が59億9,300万円、上期が27億9,700万円でした。前年の下期は31億9,600万円ですから、今期の下期はこれを下回る見込みです。
年間配当の予想は135円で、前期の145円より少なくなります。期末配当が95円から85円になるためです。過去最高益の年に配当が減る理由は、決算短信には書かれていません。
上期の増益には、下期の注文が先に入っていると考えています
受け取り方は2つあります。会社の下期予想が控えめで、上期の勢いがそのまま続くという見方。もう一つは、上期に下期の需要が入り込んでいて、下期は実際に落ちるという見方です。
私は後者の見方をしています。理由は、増益のほぼ全部が前倒しの出た事業から生まれていて、会社自身もその事業の下期を前年より低く見込んでいるからです。売掛金と原材料が膨らんだことも、需要が普段より前に寄った半年だったことと矛盾しません。
それでも、価格改定の効果は下期にも残ります。通期の予想は、前期を上回る利益のままです。心配性なので、次の四半期は売掛金が元の水準に戻るかを先に確かめます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.mirai.co.jp/ir/news/file/20261023150827.pdf
上期の増収のうち、前倒しの調達と代替需要の金額がいくらだったのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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