レンチと、鉄板を吊るための金具を作る会社です
スーパーツールは、作業工具を作っている会社です。昔からの柱は、整備工場や工場の保全担当が使うレンチです。機械に固く嵌まった歯車や軸受けを引き抜く、プーラという工具もこの会社の製品です。
もう一つの柱が吊りクランプです。クレーンで鉄板や鋼材を持ち上げるとき、端をくわえて離さないための金具で、造船所や鉄工所で使われています。工場の中で持ち運べるアルミ製の門型クレーンにも力を入れています。クランプの点検記録を付けるアプリも用意していて、道具を売って終わりにしない方向へ進めているようです。
ほかに、太陽光発電所の工事をする子会社があります。こちらは撤退が決まっていて、引き受け済みの工事を片付けている途中です。
売上は増えて、最終損益は赤字になりました
10月20日に出た中間決算です。この会社の決算は3月15日締めなので、今回の対象は3月16日から9月15日までの半年になります。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 29億6,800万円 | 27億5,600万円 | +7.7% |
| 営業利益 | 1億3,300万円 | 2億400万円 | △34.4% |
| 経常利益 | 1億4,300万円 | 2億1,400万円 | △33.2% |
| 純利益 | △1,600万円 | 1億4,800万円 | ― |
売上は1割近く伸び、営業利益は3割以上減っています。最終損益は1,600万円の赤字です。
赤字の中身は、古い建物の取り壊しでした
最終赤字の理由は、短信の4ページ目に会社自身が書いています。新工場を建てるために既存の施設を取り壊し、その費用を特別損失にした、という説明です。損益計算書には、固定資産除却損が1億4,695万円載っています。前年の同じ時期はゼロでした。
経常利益は1億4,300万円の黒字です。そこから1億4,695万円の除却損を引くと、税引前では赤字に転じます。赤字そのものは、工場の建て替えに伴う一回きりのものと受け取っています。
ただ、一つ引っかかりました。10ページ目のキャッシュ・フロー計算書の投資の欄に、「有形固定資産の除却による支出」が1億204万円あります。帳簿の上で建物を消しただけではなく、取り壊しの代金として現金を払っているわけです。一回きりではあっても、軽い出費ではありません。
金属製品は1割売れて、利益は減っています
本当に気になったのは、赤字より手前の段階です。12ページ目の事業ごとの表を前年と並べました。
| 売上高 前年同期 | 売上高 今回 | 利益 前年同期 | 利益 今回 | |
|---|---|---|---|---|
| 金属製品 | 22億9,855万円 | 25億2,832万円 | 3億5,072万円 | 2億9,600万円 |
| 環境関連(太陽光) | 4億5,778万円 | 4億3,972万円 | 6,276万円 | 4,882万円 |
工具とクランプの金属製品は、売上が1割増えたのに、利益は15%ほど減りました。会社全体の損益計算書にも同じ形が出ています。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上原価 | 19億2,674万円 | 21億8,785万円 |
| 売上総利益 | 8億2,959万円 | 7億8,019万円 |
| 売上総利益率 | 約30.1% | 約26.3% |
約の付いた率は、売上総利益を売上高で割った私の計算です。
売上は2億円あまり増えて、粗利は5,000万円近く減っています。販売費と一般管理費の増加は2,000万円ほどです。粗利の減りは5,000万円、経費の増えは2,000万円です。この2つを足すと、営業利益の減り7,000万円になります。その大半は粗利の段階で起きている、ということです。ここまでは損益計算書の数字です。
なぜ粗利が薄くなったのかは、決算短信には書かれていません。短信は、冒頭の景気の説明で原材料やエネルギーの値段が高い水準にあると触れています。ただ、それが自社の原価をどれだけ重くしたかまでは、短信には書かれていません。表紙には、補足説明資料も説明会も「無」とあります。
現金が増えたのは、在庫が減ったからです
キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書と逆の向きに動いています。営業活動のキャッシュ・フローは3億8,932万円の収入で、前年の2億5,709万円より増えました。前年と並べると、効いているのは2つの科目です。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 棚卸資産の増減 | △3億817万円 | 5億2,706万円 |
| 前受金の増減 | 1億6,754万円 | △2億7,004万円 |
符号はキャッシュ・フロー計算書のままで、プラスが現金の増える側です。
前年は在庫を積み増し、前受金を受け取っていました。今年はその逆です。貸借対照表でも、仕掛品が15億4,249万円から11億9,059万円へ減りました。前受金は2億9,156万円から2,151万円になっています。……前受金が、ほとんど残っていない。
仕掛品と前受金がそろって減ったのは、太陽光の工事が引き渡しまで進んだからだと私は読みました。代金を先に受け取り、作りかけの分を抱え、完成して売上に変わる。撤退中の事業が、ちょうどその最後の段階に来ています。
ただ、短信はこの2つの科目の動きを太陽光の工事と結び付けて説明していません。結び付けたのは私です。
会社の説明は、よく売れた話が中心です
4ページ目にある金属製品の説明には、明るい言葉が並んでいます。国内の作業工具は堅調で、吊りクランプは前年を上回ったそうです。韓国では造船向けのクランプが新製品で大きく伸び、中華圏も欧州・米州も順調だったと書かれています。
売れたことは、事業ごとの表の売上と合っています。そこはそのまま受け取ります。一方で、韓国の不動産や建設の落ち込みは続いていて、回復の時期は見えない、と会社自身が書いています。
短信の説明は売上の話で終わっていて、利益が減った理由には触れていません。手がかりになりそうなのは、価格改定の2行です。海外の一部地域向けは2026年6月、国内の製品は10月に値段を改めたとあります。国内の改定は、この半年が終わったあとです。原価が先に重くなり、値段の改定があとから追いかけている段階だと私は読みました。
下期に、上期の倍の営業利益を見込んでいます
| 上期 実績 | 下期に必要な額 | 通期予想 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 29億6,800万円 | 25億3,200万円 | 55億円 |
| 営業利益 | 1億3,300万円 | 2億5,700万円 | 3億9,000万円 |
| 純利益 | △1,600万円 | 1億8,600万円 | 1億7,000万円 |
下期に必要な額は、通期予想から上期の実績を引いた私の引き算です。
売上は通期予想の半分を超えましたが、営業利益は3分の1ほどにとどまっています。予想は4月に出したものから変わっていません。
前年の下期と並べると、この計画の大胆さが分かります。表紙には、通期予想の3億9,000万円は前期より35.5%多いとあります。そこから逆算すると、前期の通期の営業利益はおよそ2億8,800万円です。前年の上期の2億400万円を引くと、前年の下期はおよそ8,400万円になります。下期の売上は前年より5%ほど少なく見込まれています。売上を減らしながら、営業利益を8,400万円から2億5,700万円へ増やす計画です。前年の下期と比べて、約3倍です。
足元の勢いも確かめました。7月16日に出た第1四半期の短信では、営業利益は7,000万円でした。上期の1億3,300万円から、この7,000万円を引きます。すると、6月半ばから9月半ばの3か月は6,300万円です。下期の2億5,700万円を半分にすると、目標は3か月あたり1億2,800万円ほどになります。
売上が減るのは、太陽光の工事が終わっていくからだと考えれば説明が付きます。利益が3倍になる理由は、短信には書かれていません。
私はどう読んだか
赤字は工場の建て替えによるもので、現金の増え方は太陽光の工事の片付けによるもの。どちらも、この半年に限った話だと考えています。
重く受け取っているのは、そのどちらでもなく金属製品の粗利です。会社がこれから残していく事業で、売上が1割伸びたのに利益が減っています。
下期の計画は、値上げが原価の重さを取り返すことを前提にしているはずです。私は、この下期の計画を厳しめに見ています。値上げで原価の重さを取り返せているかを、この短信の数字からはまだ確かめられません。理由は、海外で値上げをしたあとの3か月でも、営業利益が第1四半期を下回っているからです。
心配性なので、第3四半期の短信では、売上原価の行から先に開きます。
出典:決算短信(会社発表)

金属製品で売上が増えたのに利益が減った理由が、原材料なのか、製品の組み合わせなのか、値段なのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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