和田興産(8931)2027年2月期 中間決算分析――売上横ばいの中身が気になる

和田興産(8931)2027年2月期 中間決算分析――売上横ばいの中身が気になる 決算を読む

はじめに

神戸に本社を置くマンションの作り手です。「ワコーレ」という名前で、阪神間から姫路のあたりに分譲マンションを建てて売っています。大手不動産会社の系列には入っていません。

買い手は、ほとんどが近くで暮らす人たちです。駅から歩ける土地を仕入れ、数十戸の規模で建て、一戸ずつ実際に住む人へ引き渡す。投資家向けに一棟まとめて売るのが本筋の商売ではありません。

それと併せて、自社で賃貸マンションを持ち、人に貸して家賃を受け取る商売もしています。売る物件と、持ち続ける物件の両方を抱えた会社です。

この商いには、決算を読むときに厄介な性質があります。マンションは建物が完成して鍵を渡した時点で、はじめて売上になります。工期と引き渡しの時期しだいで、半年ごとの数字が大きく振れます。

同じ売上高で、利益だけが落ちた

10月2日に出た中間決算です。期間は2026年3月から8月までの半年です。

項目今回前年同期増減率
売上高221億8,200万円221億8,200万円-0.0%
営業利益20億4,900万円27億5,800万円-25.7%
経常利益14億2,500万円23億500万円-38.2%
純利益9億6,200万円16億4,700万円-41.6%

売上高が前年と同じ額です。損益計算書の細かい桁まで下りると、221億8,299万円から221億8,261万円へ動いています。差は38万円だけです。半年で38万円の差は偶然でしょう。売上が動かずに利益が4割落ちた、という形だけが残りました。

売れた物が、前の年と入れ替わっていた

事業売上(今回)売上(前年同期)利益(今回)利益(前年同期)
分譲マンション販売162億6,645万円183億7,037万円14億8,239万円25億416万円
戸建て住宅販売7億8,830万円5億8,036万円8,000万円△1,909万円
その他不動産販売33億2,173万円15億4,570万円5億5,135万円2億6,537万円
不動産賃貸収入16億7,940万円16億7,940万円4億4,551万円5億7,431万円
その他1億2,670万円3,380万円4,479万円1,353万円

※不動産賃貸収入の前年同期は16億5,275万円です。セグメント情報の表から拾いました。

本業の分譲マンションが21億392万円減り、その他不動産販売が17億7,603万円増えています(私の引き算です)。残りの差は、戸建て住宅とその他の増えた分で埋まっています。これで売上がほぼ同じ額に収まりました。

その他不動産販売の中身は、短信の説明文に書いてあります。賃貸マンション等12物件の販売。販売実績の一覧では「賃貸マンション・宅地等の販売 207戸」とあります。つまり、自分が貸し出していたマンションを、棟ごと売ったということです。

分譲のほうは引渡戸数277戸で、会社の書き方では前年同期比85.0%。売上は1割強減り、セグメント利益は6割弱まで落ちました。

賃料は増えたのに、賃貸の利益は減っている

不動産賃貸収入は16億7,940万円。前年同期比101.6%で、わずかに増えています。ところが同じ事業のセグメント利益は、5億7,431万円から4億4,551万円へ。1億2,880万円、2割以上の減少です。

貸す物件を12棟手放しているのに家賃の合計が増えたのは、新しい物件を取得しているからです。短信の説明文に「新規に物件を取得する」と書かれています。減価償却費も3億9,632万円から4億7,238万円へ増えました。

入れ替えた物件の採算が前より薄い、と私は受け取りました。ただ、賃貸の利益が落ちた理由そのものは、決算短信には書かれていません。

建築中の物件が58億円増え、利息が先に出ている

いちばん引っかかったのは、ここです。

キャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動による現金は39億6,278万円の流出でした。前年同期は15億4,619万円の流出です。2.5倍ほどに広がっています。

原因は在庫です。仕掛販売用不動産が547億9,108万円から606億5,528万円へ動きました。半年で58億6,420万円の増加です。建築中のマンションのことです。この穴は長期の借り入れで埋めています。借り入れ158億5,280万円に対し、返済は92億2,005万円。

そして支払利息が4億5,818万円から6億4,050万円へ上がりました。増えた額は1億8,232万円です。資金調達費用も2,858万円から8,549万円へ。営業利益の落ち込みは7億860万円ですが、経常利益では8億8,013万円です。差の1億7,000万円あまりが、営業外で広がった分です。

……いや、これは当たり前の話だ。建てている間は利息だけが出て、引き渡すまで売上にはならない。

もう一つ、特別損失に減損損失が3億149万円ついています。前年同期はゼロでした。何に対する減損なのかは、決算短信には書かれていません。

会社の説明

利益がなぜ落ちたのか、科目ごとの説明は決算短信にありません。事業ごとの状況を述べているだけです。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあります。科目ごとの内訳はそちらにあるはずですが、私はまだ読んでいません。

懸念としては2つ挙げています。建築コストの高止まりが販売価格に影響すること。金利の上昇が資金調達の費用と、住む人の購入意欲に影響すること。

この2つは、そのまま上期の数字に出ていると考えています。売上総利益は49億2,252万円から41億6,202万円へ下がりました。減った額は7億6,050万円です。売上が同じで粗利が減ったのだから、原価が上がったということです。ここまでは損益計算書の数字です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

予想は据え置きでした。短信には「2026年7月10日付の第1四半期決算短信の通りに推移するものと予測」とあります。

項目上期の実績通期予想残り6か月に要る額
売上高221億8,200万円460億円238億1,800万円
営業利益20億4,900万円43億円22億5,100万円
経常利益14億2,500万円30億円15億7,500万円
純利益9億6,200万円21億円11億3,800万円

右端は、通期予想から上期の実績を引いたものです。進み具合は売上48.2%です。営業利益は47.7%、経常利益は47.5%でした。半年なので目安は半分で、ほぼ沿っています。

下期に要る売上238億1,800万円は、前年の同じ時期より2割ほど多い額です。裏付けはあります。契約済未引渡残高が829戸・478億5,327万円で、前年同期の1.2倍ほどです。契約を取り終えて、まだ鍵を渡していない分です。

ただ、下期に要る営業利益22億5,100万円を、要る売上238億1,800万円で割ってみます。出てくる利益率は9.4%で、上期の9.2%と変わりません(これは私の割り算です)。前年同期は12.4%でした。下期も利益の薄さが続くという置き方です。

配当の予想は年67円で、前期の72円から下げています。

私はどう読んだか

この半年は仕込みの期だと考えています。理由は、増えた58億円が建築中のマンションであり、契約済で未引渡の分が478億円まで積み上がっているからです。消えた売上ではなく、立つ時期が後ろにずれているだけです。

ただ、心配性なので先に下を見ます。在庫を借り入れで回している間、利息は毎月出ていきます。すでに1億8,232万円増えました。478億円が引き渡しに変わるまで、この負担は続きます。

それと、横ばいの売上を作ったのは自社の賃貸物件12棟の売却でした。貸していた物件を手放せば、その期の売上は立ちますが、翌期からの家賃は入りません。賃貸のセグメント利益が2割減ったのは、その入口だと受け取っています。

上がるかは知りません。下期は引渡戸数を見ます。

出典:決算短信(会社発表)

和田興産株式会社 - 決算短信
神戸市でマンション分譲実績連続1位を続ける、ワコーレの和田興産株式会社。神戸・阪神間(尼崎市・西宮市・伊丹市・宝塚市・芦屋市)・明石市の新築分譲マンション・一戸建て住宅情報をお届けいたします。

下期に要る経常利益は、前年より減る見込みです。なのに純利益だけは、前年より1割以上多く見込まれています。この理由が、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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