北の達人コーポレーション(2930)2027年2月期 中間決算分析――現金の行き先が分かりません

北の達人コーポレーション(2930)2027年2月期 中間決算分析――現金の行き先が分かりません 日本株

はじめに

北の達人コーポレーションは、肌や体の小さな悩みに向けた化粧品や健康食品を、自社の通販サイトで売っている会社です。看板は、目元に貼って使うヒアルロン酸の化粧品と、お通じを整えるオリゴ糖です。主な客は40代以降で、1か月で使い切る量を定期便で届ける形が中心です。

広告を見て初めて注文した人が、何か月か続けて受け取ってくれる。そこでようやく広告代が回収できる、という商売です。子会社では、ヘアアイロンやドライヤー、カラーコンタクトレンズをネットのモールで売っています。

売上は3割増え、利益は3割減りました

2026年10月15日に出た中間決算です。期間は3月から8月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高70億8,600万円52億4,500万円+35.1%
営業利益3億5,000万円5億500万円△30.7%
経常利益3億7,000万円5億1,800万円△28.6%
純利益2億3,000万円3億5,400万円△34.9%

増収減益です。伸びた売上のうち5億9,155万円は、2025年12月に子会社にしたカラーコンタクトの販売会社の分で、前年同期には無かったものです。ただ、親会社だけで見ても売上は26.5%増えています。買収だけで伸びたわけではありません。

半年で12億円減った現金

この短信には、キャッシュ・フロー計算書が載っていません。添付資料の目次にあるのは、中間連結貸借対照表と損益計算書と注記までです。現金の動きは、貸借対照表の前期末と今回を並べて、差から追うしかありません。

現金及び預金は、2月末から8月末の半年で12億4,740万円減りました。そのあいだに営業利益は3億5,000万円出ています。

2026年2月末2026年8月末
現金及び預金57億182万円44億5,442万円
商品及び製品10億7,179万円15億6,876万円
売掛金及び契約資産6億9,283万円8億6,447万円
流動資産の「その他」3億4,043万円8億7,890万円
買掛金3億6,789万円2億3,360万円
株主優待引当金1億1,869万円847万円

出どころは短信の中間連結貸借対照表です。

在庫の増え方には説明が付きます。第1四半期に注文へ生産が追いつかず、約2億8,600万円の受注残を抱えたと短信の説明文に書いてあります。8月末には約3,100万円まで減り、9月に解消したそうです。品切れを繰り返さないよう、作り置きを厚くしたのだと私は受け取りました。

売掛金が増えて買掛金が減ったのは、売上の伸びと支払いの時期で説明の付く範囲です。株主優待引当金がほぼ空になったのは、前期分の優待を半年のうちに送り終えたからだと考えています。

……では、残りは何だ。

流動資産の「その他」が2.6倍に

流動資産の「その他」という行が、3億4,043万円から8億7,890万円へ増えています。増えた額は5億3,846万円で、これは私の引き算です。在庫の増加より大きな額です。

短信の財政状態の説明文は、資産が動いた主な要因として棚卸資産と現金及び預金だけを挙げていて、この行には触れていません。決算補足説明資料も、私が目を通した範囲では、この行の中身を説明していませんでした。

この会社は広告を先に払い、あとで回収する商売です。前払いの費用がここに積み上がる形はありえます。ただ、短信にそう書いてあるわけではないので、推測のまま止めておきます。

6月から8月だけで切ると、黒字に戻っています

半年の合計では見えない動きがあります。3か月ごとに切り分けると、流れが変わっています。

第1四半期の営業利益は1億200万円の赤字でした。半年の3億5,000万円は、この赤字を差し引いたあとの数字です。そこへ赤字の1億200万円を足し戻すと、6月から8月の3か月は4億5,200万円の黒字です。

ただし、この4億5,200万円には、第1四半期に出荷できずに持ち越した注文の利益が入っています。会社は説明会資料で、その分を除いた「実力値」も出していて、6月から8月の営業利益を3億5,000万円としています。これは説明会資料の数字で、会計上の数字ではありません。

会社の説明は「広告の先払い」

減益の理由は、短信の説明文にはっきり書いてあります。新しい客を集める広告を先に増やしたから、という説明です。自社サイトで初めて注文した人の数は、6月から8月の3か月で前年同期より4割以上増えたそうです。説明会資料には、親会社の新規獲得費が前年同期より8億1,100万円増えたとあります。

広告を増やせば利益は削られます。そこで会社は「広告投資バランス」という自前の物差しを示し、払いすぎは起きていないと書いています。実際にかかった広告代が、1人の客に使ってよい上限を超えていないかを測る指標です。

この説明は、数字とかみ合っています。それでも一つだけ留保を付けます。親会社の売上は、自ら出していた予想を1億1,019万円下回りました。短信が挙げる理由は3つです。初回の購入単価が想定より低かったこと、受注残の解消が遅れたこと、定期の売上が想定を一部下回ったことです。

引っかかったのは3つめです。広告の先払いが報われるかどうかは、そのあと続けて注文してくれるかで決まります。その「あと」の部分が、見込みに届かなかったことになります。

通期予想まで、下期に7億円が要ります

通期予想は4月14日に出したまま、変えていません。

通期予想上期実績残り6か月に要る額
売上高159億6,200万円70億8,600万円88億7,600万円
営業利益10億5,900万円3億5,000万円7億900万円

右の列は、通期予想から上期実績を引いたものです。

半年で、売上は半分近く、営業利益は3分の1まで来ています。下期の営業利益7億900万円を3か月ずつにならすと、1四半期あたり約3億5,500万円。6月から8月の実力値とほぼ同じ水準で、それを2回続ければ届く、というのが私の割り算です。

9月にわきが対策の商品、10月に白髪用のカラーシャンプーと新ブランドを出しています。どれも6月から8月の数字には入っていない商品です。

私の受け取り方

減益は広告の先払いによるもので、商売の形が崩れたわけではない。私はこちらの見方をしています。理由は、6月から8月だけで黒字に戻り、持ち越し分を除いても1四半期3億5,000万円の利益が出ているからです。

一方で、現金が半年で12億円減ったことは覚えておきます。表の「商品及び製品」の増え方で説明が付くのは、そのうち3分の1ほどです。それより大きい5億円強は「その他」という一行に入っていて、中身が分かりません。

定期の売上が見込みを下回った件も残ります。一時的なずれなのか、続けて注文する人の割合が落ちたのか。それは12月から2月までの数字で確かめます。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.kitanotatsujin.com/wp/wp-content/uploads/2026/10/tanshin261015.pdf

流動資産の「その他」が半年で5億3,846万円増えた中身は、短信からも、私が読んだ範囲の説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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