はじめに
茨城県を地盤に、建物の中の設備をつくる会社です。空調、給排水、電気といった設備を、設計から施工まで引き受けています。どれも完成した建物では、壁や天井の裏に隠れてしまう部分です。発注するのは、商業施設や事業所を建てる民間の会社が中心です。
建てて終わりの商売ではありません。古くなった設備の入れ替え(リニューアル)や、ビルの点検・保守も手がけています。設備は建物より先に寿命が来るので、一度手がけた建物とは長い付き合いになります。ほかに、小さいながら太陽光発電の売電も続けています。子会社を持たないため、短信も単体の数字だけです。
利益が3割近く増えた1年
10月9日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 今回 | 前の期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 101億2,900万円 | 91億3,500万円 | +10.9% |
| 営業利益 | 14億3,700万円 | 11億2,600万円 | +27.5% |
| 経常利益 | 15億400万円 | 11億6,000万円 | +29.6% |
| 純利益 | 10億7,000万円 | 7億9,600万円 | +34.4% |
売上の伸びより、利益の伸びのほうがずっと大きい1年でした。表紙の売上高営業利益率も、12.3%から14.2%へ上がっています。
減った売上と、増えた受注が同じ工事に並んでいた
短信の16ページ目に、工事の種類ごとの受注・売上・年度末の手持ち(繰越工事高)の表があります。引っかかったのはここです。
| 売上高 | 前の期 | 今回 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 建築設備工事 | 39億2,975万円 | 61億1,817万円 | +55.7% |
| リニューアル工事 | 46億7,873万円 | 34億8,558万円 | △25.5% |
建築設備工事の売上が5割以上増え、リニューアル工事は4分の1ほど減っています。前の期はリニューアルが売上の半分を占めていましたが、今期は3分の1ほどです。
同じ表の受注と手持ちの欄を見ると、リニューアルの話は逆向きになります。
| リニューアル工事 | 前の期 | 今回 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 受注工事高 | 32億6,669万円 | 38億9,726万円 | +19.3% |
| 繰越工事高 | 16億5,100万円 | 20億6,267万円 | +24.9% |
受注が2割近く増え、年度末の手持ちも4分の1ほど積み上がっています。……売上だけが減っている。取った仕事のうち、今期の売上になった分が少なかった、という並び方です。ここまでは短信の表の数字です。
増益を支えたのは工事の採算
設備事業のセグメント利益は、15億3,874万円から19億3,218万円へ増えています。売上の伸びの倍以上の率です。
営業外では受取配当金が1,376万円から4,003万円へ増えました。ただ、営業利益と経常利益の差はもともと小さく、利益の伸びのほとんどは本業の工事から来ています。
営業キャッシュ・フローが減ったのは、税金の支払いでした
13ページ目のキャッシュ・フロー計算書では、営業キャッシュ・フローが11億9,835万円から10億3,889万円に減っています。利益が3割増えた年としては、最初は逆の向きに見えました。
| 前の期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 小計 | 14億7,554万円 | 14億8,146万円 |
| 法人税等の支払額 | △2億8,543万円 | △4億8,059万円 |
| 営業キャッシュ・フロー | 11億9,835万円 | 10億3,889万円 |
小計はほぼ同じです。差の大半は法人税の支払いで、前の期に利益が増えたぶん、今期に払う税金が2億円近く増えています。
完成工事未収入金は8億6,383万円から11億3,727万円へ膨らみました。ただ、こちらが払う側の工事代金の未払いも増えていて、出入りはおおむね打ち消し合っています。売上が1割増えた年に未回収の代金が増えるのは、珍しいことではありません。現金同等物は年度末で63億2,400万円あります。
会社はどう説明しているか
会社は増益の理由を「完成工事高が増加し工事利益率が上昇したことから」と書いています。受注時の採算の強化、原価管理と施工管理の徹底、経費の削減を続けてきた、とも説明しています。設備事業の利益の伸び方は、この説明と食い違いません。
ただ、建築設備とリニューアルの売上がなぜここまで入れ替わったのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
来期は、売上を増やして減益の予想
2026年8月期はもう終わった期なので、進み具合を測る段階ではありません。代わりに、会社が出した2027年8月期の予想を、今期の結果と並べます。
| 2026年8月期 実績 | 2027年8月期 会社予想 | |
|---|---|---|
| 受注高 | 110億6,400万円 | 90億円 |
| 売上高 | 101億2,900万円 | 105億円 |
| 営業利益 | 14億3,700万円 | 12億円 |
| 純利益 | 10億7,000万円 | 8億5,000万円 |
売上は少し増やし、利益は2割近く減らす見込みです。予想の営業利益を予想売上で割ると、私の計算で約11.4%になります。今期の14.2%どころか、前の期の12.3%も下回る前提です。
受注高も90億円と、今期より2割ほど少なく見込んでいます。それでも年度末の手持ちが98億9,959万円あるので、来期の売上105億円の大半は、すでに取ってある仕事でまかなえます。
見通しの節に並んでいるのは、建設資材の価格や人手不足といった業界全体の話です。来期の利益率をどう見積もったのかは、短信には書かれていません。
配当は110円から155円に増やしました。来期は140円の予想です。11月20日付で社長が交代することも、短信の最後に載っています。
私はどう考えたか
今期の増益は、建築設備の大きな工事が売上になった年に、採算の良さが重なった結果だと考えています。リニューアルの減収は、仕事が細ったのではなく、売上になる時期が来期以降へ送られた分だと見ています。理由は、リニューアルの受注と年度末の手持ちが、どちらも前の期より増えているからです。
そうなると、来期の減益予想が腑に落ちません。手持ちが増え、リニューアルの売上も戻ってくるはずの年に、会社は利益率を前の期より低く見積もっています。採算の悪い工事を抱えているのか、単に慎重なのか。心配性なので、私は前者の見方をしています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.eazima.co.jp/wp-content/themes/twentyten-child/pdf/financial/tan2604.pdf
来期の営業利益を今期より2億円以上少なく置いた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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