北海道の、ふだんの買い物を受け持つスーパー
イオン北海道は、北海道の中だけで店を出している小売の会社です。店の大きさはいろいろです。郊外の大きな総合スーパーがあり、住宅地には食品スーパーがあります。まとめ買い向けのディスカウントストア「ザ・ビッグ」や、札幌の街なかにある小型店「まいばすけっと」も運営しています。
売っているものの大半は食品です。仕事帰りに寄って、今夜のおかずと明日の牛乳を買う。週末に車で行って、子どもの服と洗剤をまとめて買う。そういう、特別ではない買い物の受け皿になっている会社です。
派手な数字が出る商売ではありません。値上げが続けば客は節約しますし、夏が涼しければ半袖が売れ残ります。家計の事情と天気が、そのまま決算に出てきます。
売上は過去最高、利益は大きく減りました
10月13日に出た中間決算で、3月から8月までの半年分です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,882億6,300万円 | 1,859億4,700万円 | +1.2% |
| 営業利益 | 15億1,700万円 | 24億6,300万円 | △38.4% |
| 経常利益 | 13億円 | 22億8,100万円 | △43.0% |
| 純利益 | 8,500万円 | 11億9,100万円 | △92.8% |
売上は、会社の説明文にあるとおり過去最高を更新しました。一方で、営業利益は4割近く減っています。純利益は、前年の1割にも届いていません。
営業キャッシュ・フローが、収入から支出に変わりました
最初に引っかかったのは、添付資料8ページのキャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローが、12億4,800万円のマイナスでした。前年の同じ半年は、155億3,400万円のプラスです。
スーパーは代金をその場で受け取るので、売掛金が膨らむことはまずありません。実際、売上債権はわずかに減っています。では、何が現金を減らしたのか。動きの大きい科目を前年と並べます。
| 営業キャッシュ・フローの内訳 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 仕入債務の増減 | 40億1,600万円 | △20億9,300万円 |
| 預り金の増減 | 62億6,600万円 | △14億1,400万円 |
| その他(未払消費税の減少等) | 26億2,900万円 | △16億6,200万円 |
| 法人税等の支払額 | △4億8,800万円 | △17億7,700万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 155億3,400万円 | △12億4,800万円 |
出どころは、すべて短信のキャッシュ・フロー計算書です。
上の3行は、どれも支払いを待ってもらっているお金の増減です。前年の3行を足すと、130億円近くが手元に残っていたことになります。……今年が悪いというより、前年が膨らんでいたのか。
今年は反対に支払いが進みました。そのうえ、法人税の支払いが前年の3倍を超えています。貸借対照表を見ても、未払法人税等は半年で22億500万円から3億2,600万円まで減りました。
ここまでは計算書と貸借対照表の数字です。営業キャッシュ・フローのマイナスの大半は、支払いの時期と税金で説明が付く、と私は読みました。商品が売れずに現金が入らなかった形ではありません。
出ていった現金は、短期の借入金で補っています
それでも、半年で現金が出ていったこと自体は事実です。どこへ出ていき、何で埋めたのかを並べます。
| 半年の現金の出入り | 金額 |
|---|---|
| 営業活動 | △12億4,800万円 |
| 投資活動 | △38億4,400万円 |
| 長期借入金の返済 | △54億円 |
| 配当金の支払額 | △22億2,300万円 |
| リース債務の返済 | △500万円 |
| 短期借入金の純増 | 114億円 |
| 現金及び現金同等物の増減 | △13億2,200万円 |
長い借金を返し、短い借金に置き換えた形です。短期借入金の残高は、2月末の187億円から8月末には292億円まで増えました。支払利息は3億2,700万円で、前年の2億4,000万円から増えています。
良い材料もあります。有形固定資産の取得は37億4,000万円で、前年の103億9,300万円から大きく減りました。補足資料によれば、この半年は開店も閉店もありません。自己資本比率は37.9%あり、借入の置き換えだけで土台が揺らぐ水準ではありません。
売上が増えたのに、粗利は増えていません
利益が減った理由は、損益計算書の上のほうにあります。売上高は23億円ほど増えました。それなのに、売上総利益は459億6,300万円から459億1,100万円へ、わずかに減っています。売れた分よりも、原価のほうが多く増えたことになります。
テナントからの家賃などの営業収入を足すと、営業総利益は1億9,200万円の増加です。その一方で、販売費及び一般管理費が11億3,800万円増えました。差し引きで、営業利益は9億4,600万円減っています。
| 販管費の主な項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 従業員給料及び賞与 | 204億4,200万円 | 210億9,400万円 |
| 減価償却費 | 37億7,600万円 | 40億9,600万円 |
| 賃借料 | 63億2,900万円 | 61億1,900万円 |
| 水道光熱費 | 35億6,700万円 | 32億6,400万円 |
| 広告宣伝費 | 20億8,800万円 | 19億4,900万円 |
光熱費と広告費は削れています。それでも、人件費と償却費の伸びがそれを上回りました。補足資料の数字では、従業員は316人減っています。人が減って給料の総額が増えたので、1人あたりの賃金が上がったのだと考えています。
会社は自分で「計画未達」と書いています
短信4ページ目の説明文で、会社は減益の理由を「売上高の計画未達や価格競争力確保に伴う荒利率低下」と書いています。販管費は「計画を下回る水準に抑制しました」ともあります。
上の数字と食い違うところはありません。粗利率を下げてでも、値段を守ったという説明です。トップバリュの食品価格を8月まで据え置いたことも書かれています。安さを前に出した「トップバリュベストプライス」は、既存店で7%伸びたそうです。客は来ていて、そのぶん粗利が薄くなりました。この説明は、そのまま受け取れます。
衣料は、北海道の涼しい夏で夏物が振るわず、前年を下回りました。9億1,900万円の減損損失は「計画内」とされています。
気になるのは1点です。会社は自ら「計画未達」と書きながら、同じ節の最後では通期予想を「変更はありません」としています。上期の未達を下期のどこで取り返すのかは、短信にも補足資料にも書かれていませんでした。
下期に、前年より2割多く稼ぐ置き方です
| 営業利益 | 上期 | 下期 | 通期 |
|---|---|---|---|
| 前年 | 24億6,300万円 | 約58億7,000万円 | 約83億3,300万円 |
| 今年 | 15億1,700万円(実績) | 約71億8,300万円 | 87億円(会社予想) |
約の付いた数字は、私が出したものです。通期予想87億円を増減率+4.4%で割り戻して前年の通期を求め、そこから上期を引いています。
半年たっても、通期予想の2割に届いていません。ただ、この会社はもともと下期に稼ぐ形です。前年も、上期の営業利益は通期の3割ほどで、残りの7割を下期で稼いでいます。
それでも今年の下期は、前年の下期より13億円ほど、率にして2割ほど多く稼ぐ必要があります。上期には、前年より9億円少なかった分があります。それを取り戻したうえで、さらに上乗せする計算です。下期の材料として短信に挙がっているのは、11月に予定している旭川西のグランドオープンと、約88万人まで増えたアプリの会員です。
私はどう読んだか
現金の減り方は、前年に膨らんだ分の反動と税金の支払いで、大半が説明できると考えています。こちらは、あまり心配していません。
心配なのは利益のほうです。私は、下期の上積みは重い、という見方をしています。理由は、上期に利益を削った原因が、値段を守るために粗利率を下げたことだからです。節約志向が続くかぎり、下期だけ値段を緩めるのは難しいはずです。光熱費や広告費を、上期と同じだけさらに削る余地があるのかも分かりません。
旭川西の改装は材料ですが、1つの館で13億円が埋まるとは思えません。会社が何を見込んで予想を据え置いたのか、私には分かりませんでした。上がるかは知りません。
出典
出典:決算短信(会社発表)
https://www.aeon-hokkaido.jp/control-panel/wp-content/uploads/2026/07/chukan_tanshin_2027.pdf
下期の営業利益を前年より2割多く見込む根拠は、短信と補足資料からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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