日本ハム(2282)2027年3月期 中間決算分析――現金が減った理由は在庫と読みました

日本ハム(2282)2027年3月期 中間決算分析――現金が減った理由は在庫と読みました 日本株

肉とハムと、野球の会社

日本ハムは、牛や豚、鶏の肉を国内外から仕入れて、スーパーや外食店、食品工場に卸している会社です。一部は自前の農場で育てています。食肉の取り扱いは、国内で最大です。

ハムやソーセージ、加工食品も作っています。スーパーの冷蔵ケースで、名前を見かけない日はないと思います。

それとは別に、プロ野球の球団と、北海道にある球場まわりの施設を運営しています。今期から、球団と球場は独立した区分として数字が出るようになりました。

肉の商売は、仕入れた値段と売る値段の差で稼ぎます。家畜やエサの値段が動けば、利益はすぐに揺れます。

増収減益の中間決算

11月2日に発表された、2027年3月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高7,693億5,800万円7,225億9,900万円+6.5%
営業利益(事業利益)288億600万円363億4,100万円△20.7%
経常利益———
純利益173億9,400万円231億8,800万円△25.0%

日本ハムは国際会計基準で決算を出しています。営業利益の代わりに、会社独自の「事業利益」を載せています。経常利益の欄は、この短信にはありません。純利益は、親会社の所有者に帰属する中間利益です。

売上は増え、利益は2割から4分の1ほど減りました。

売上が伸びた半年に、営業キャッシュ・フローがマイナス

添付資料の10ページ、キャッシュ・フロー計算書で引っかかりました。前年同期は424億6,300万円のプラスだった営業キャッシュ・フローが、今回は97億6,200万円のマイナスです。

増収で、営業キャッシュ・フローがマイナス。私が短信を最後までめくるようになった、2023年の夜と同じ形です。……またこれか。

営業キャッシュ・フローの主な項目前年同期今回
税引前中間利益382億7,300万円308億3,200万円
棚卸資産の増減△25億9,200万円△307億6,300万円
その他の負債の増減△66億1,600万円△130億3,900万円
法人所得税の支払額△47億1,500万円△171億700万円
営業キャッシュ・フロー424億6,300万円△97億6,200万円

税引前の利益は、前年同期の382億7,300万円から今回の308億3,200万円へ減りました。差は約74億円です。営業キャッシュ・フローのほうは、424億6,300万円のプラスから97億6,200万円のマイナスへ動いています。振れ幅は500億円を超えます。差の大半は、利益の外の3つの行から来ています。

税金と前受収益は、時期のずれ

法人所得税の支払額171億700万円は、損益計算書の今回の法人所得税費用105億6,400万円より多くなっています。貸借対照表では、未払法人所得税が期首の155億1,400万円から76億6,300万円へ減っています。前の期の分として残っていた税金を、この半年で払ったと私は受け取りました。

その他の負債の減少には、会社の説明があります。球場の事業でシーズンが進み、前受収益を取り崩したと書いています。前受収益は、先に受け取ったお金のうち、まだ売上にしていない分です。取り崩した分の現金は、すでに入っています。

在庫が2割増えた

いちばん大きいのは、棚卸資産の増加307億6,300万円です。貸借対照表では、期首の1,535億400万円から1,839億4,200万円へ増えています。

会社は短信5ページ目で、主に食肉在庫の単価上昇と数量増加によるものだと書いています。食肉事業の説明には、豪州の生体価格の高騰や飼料価格も出てきます。仕入れ値が高くなれば、同じ量でも在庫の金額は膨らみます。

単価と数量がそれぞれいくら効いたのかは、決算短信には書かれていません。

足りない現金は、短期借入金で

営業と投資で出ていった現金を、財務で埋めています。

財務キャッシュ・フローの主な項目前年同期今回
短期借入金の増減△77億3,200万円674億1,100万円
自己株式の取得のための支出△200億300万円△300億200万円
現金配当△134億5,900万円△151億9,600万円

前年同期は短期借入金を減らしていましたが、今回は大きく増やしています。同じ半年に、自己株式の取得に300億200万円を払っています。会社は、当面の資金需要に備えて調達したと説明しています。

手元の現金は686億7,900万円から538億5,200万円になりました。親会社所有者帰属持分比率は、53.8%から50.5%に低下しています。

球場の利益が、ハム・ソーセージの7倍

セグメント情報でも引っかかりました。こちらは、利益がどこに偏っているかの話です。

売上高事業利益事業利益の前年同期比
加工事業本部2,703億8,600万円13億4,200万円△40.1%
食肉事業本部5,518億8,600万円202億7,000万円△26.8%
スポーツ・エンターテイメント事業部251億6,700万円96億2,300万円+14.6%

球団と球場の事業利益は96億2,300万円、加工事業は13億4,200万円です。球場のほうが7倍あります。売上は加工事業の10分の1にも届いていません。

3つの区分の事業利益を足すと312億3,500万円です。球場の96億2,300万円をこれで割ると約3割になります。前年同期は83億9,500万円を383億4,400万円で割って、約2割でした。

肉とハムの会社の利益の3割を、野球の球場が出しています。球場が伸びたうえに、肉とハムが細ったからです。区分は今期から組み替えられていて、前年の数字も新しい区分に直してあります。

会社の説明は、区分の数字と合っている

会社の説明は短信4ページ目にあります。売上は、国内向けの肉の販売数量が堅調だったこと、調達価格に合わせて値段を決めたこと、海外子会社の売上が回復したことで伸びたとしています。

利益は、豪州牛肉の販売環境の悪化と、加工事業の原料価格の高騰で減ったと書いています。区分ごとの数字と食い違うところはありません。

ただ、豪州の悪化がいくらだったのかは、短信の中には見当たりません。食肉の減益のうち、豪州の分がどれだけで、エサや人件費の分がどれだけかは分けられません。

下期の事業利益は、前年より3分の1少ない見込み

通期予想は、この中間決算と同じ日に修正されています。どちらへ動かしたのかは決算短信には書かれておらず、別の「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」に回されています。そちらはまだ読めていません。

通期予想中間実績進捗率下期に必要な額
売上高1兆5,000億円7,693億5,800万円約51%約7,306億円
事業利益500億円288億600万円約58%約212億円
純利益350億円173億9,400万円約50%約176億円
下期前年の下期今期の下期
事業利益約320億円約212億円
純利益約119億円約176億円

約の付いた数字は、表紙の通期予想とその増減率から、私が割り戻したり引いたりして出したものです。

事業利益は6割近くまで来ています。前年の通期は、500億円を0.732で割り戻すと約683億円です。0.732は、増減率△26.8%を倍率に直したものです。そこから前年の中間363億4,100万円を引いて、前年の下期は約320億円になります。今期の下期は、それより3分の1ほど少ない見込みになります。

純利益は逆で、前年の下期より5割近く多い見込みです。……事業利益の外で、何か入る組み立てだ。税引前利益の予想520億円が事業利益の予想を上回っていることとも合いますが、その中身は決算短信には書かれていません。

私はどう考えたか

営業キャッシュ・フローのマイナスは、税金と前受収益の時期のずれに、在庫の積み増しが重なったものです。ここまではキャッシュ・フロー計算書の数字です。

私は、在庫の増加は売れ残りではないと考えています。仕入れ値が高くなった肉を、販売の伸びに合わせて抱えた分です。理由は、同じ半年に食肉の売上が9%近く伸び、会社も国内の販売数量が好調だと書いているからです。

それでも、下期の事業利益を3分の1少なく見込む会社の半年です。在庫を2割積み、短期借入金を増やしながら、自己株式を取得しています。心配性なので、この在庫が現金に戻ったかを、次の短信のキャッシュ・フロー計算書で確かめます。

出典

出典:決算短信(会社発表)

2025年3月期(令和7年3月期)|決算短信|日本ハム株式会社

在庫の増加のうち、単価の上昇分と数量の増加分がそれぞれいくらなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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