住友化学(4005)2027年3月期 中間決算分析――増益の大半は石油化学から来たと読みました

住友化学(4005)2027年3月期 中間決算分析――増益の大半は石油化学から来たと読みました 日本株

農薬から薬まで、身の回りのどこかに入っている会社

住友化学は総合化学の大手です。扱うものの幅がとても広い会社です。畑にまく農薬や、家畜のえさに混ぜるアミノ酸を作っています。半導体の工場で回路を焼き付けるときに使う薬品、テレビやスマートフォンの画面に貼るフィルム、容器や部品になる合成樹脂も手がけています。子会社の住友ファーマを通じて、米国では前立腺がんや過活動膀胱の薬も売っています。

買い手は農家、飼料メーカー、半導体メーカー、樹脂を成形する工場、そして病院です。私たちがこの社名を目にすることはあまりありません。それでも身の回りの何かには、たいてい入っています。サウジアラビアには、現地企業と組んだ石油化学の工場もあります。今回の決算は、この工場の話が中心になりました。

売上は7%増、純利益は2倍

11月2日に出た中間決算です。売上の伸びは1割に届きませんが、利益の伸び方はまるで違います。

今回前年同期増減率
売上高1兆1,727億8,700万円1兆953億9,400万円+7.1%
営業利益1,380億5,800万円1,036億8,500万円+33.2%
経常利益―――
純利益828億7,500万円396億9,900万円+108.8%

国際会計基準で決算を出しているので、経常利益の欄はありません。純利益は、親会社の所有者に帰属する中間利益です。この表だけなら、文句のつけようのない半年です。

5つの事業のうち、大きく伸びたのは石油化学だけ

短信には「コア営業利益」という数字が別に載っています。持分法による投資損益を含み、非経常的な損益を除いた、本業の稼ぎを示す数字です。事業ごとに前年と並べたところで、引っかかりました。

コア営業利益前年同期今回増減
アグロ&ライフ112億2,700万円208億200万円+96億円
ICT&モビリティ331億900万円319億700万円△12億円
アドバンストメディカル△13億8,000万円△37億1,700万円△23億円
エッセンシャル&グリーン△186億1,000万円621億3,900万円+807億円
住友ファーマ973億2,000万円435億6,000万円△538億円
合計1,087億1,600万円1,445億3,100万円+358億円

合成樹脂や工業薬品を扱うエッセンシャル&グリーンマテリアルズ、つまり石油化学の事業が、807億円改善しています。全体の増加は358億円です。ほかの事業の減少をこの1つが埋めて、なお余った形です。

半導体材料を含むICTは12億円減でした。短信の4ページ目によると、半導体材料そのものは需要が増えて増収増益です。減ったのは、前年同期に入っていた、大型液晶向け偏光フィルムの構造改革に伴う譲渡益がなくなったからです。住友ファーマの減少も、前年に事業譲渡に関連する利益495億4,400万円が入っていた反動だと、セグメント情報の注記にあります。

807億円の改善は、サウジの合弁と在庫から

では石油化学は何で良くなったのか。4ページ目の説明は2つです。持分法適用会社のペトロ・ラービグ社の業績が、中東情勢を受けて改善したこと。そして合成樹脂などで市況が上がり、在庫評価との差益が出たことです。

損益計算書にも同じ動きが出ています。持分法による投資損益は、前年の273億3,900万円の損失から、366億9,500万円の利益に変わりました。巻末の概要には、ナフサ価格が1キロリットル6万4,800円から10万7,500円へ上がったとあります。

安いときに仕入れた原料が、値上がりした製品として売れれば、その差が利益になります。原料価格が下を向けば、逆向きに働きます。ここまでは短信の数字と説明です。今回の改善は自分の商売で積み上げた分ではなく、中東情勢と原料価格の動きに乗った分だ、と私は読みました。

純利益が倍になったのは、取り分の差もある

純利益の伸びは、営業利益の伸びよりはるかに大きくなっています。差が開いた理由は、利益の分け方にありました。

前年同期今回
中間利益909億2,900万円1,056億5,100万円
うち非支配持分512億3,000万円227億7,600万円
うち親会社の所有者396億9,900万円828億7,500万円

住友化学は住友ファーマの株を一部しか持っていません。ファーマの利益のうち、ほかの株主の分は非支配持分として外へ出ます。前年はファーマに譲渡益が入り、その多くが外へ出ていました。今年はファーマの利益が減ったぶん、外へ出る額も減ったのだと考えています。

原料高で、在庫と支払いが同じだけ膨らんだ

キャッシュ・フロー計算書も確かめました。棚卸資産の増加で782億7,200万円の現金が出ましたが、営業債務も803億9,800万円増えて、ほぼ相殺しています。原料が高くなって、在庫も仕入先への支払いも同じように大きくなった形です。

営業キャッシュ・フローは665億5,300万円の入り、投資キャッシュ・フローは848億5,400万円の出で、営業の入りでは賄えていません。それでも現金がほとんど減らなかった理由は、住友ファーマの公募増資で、ほかの株主から968億7,500万円の払い込みがあったからです。有利子負債は前の期末から641億円減りました。

上方修正の理由は半導体から始まるが、金額は石油化学

会社は通期予想を引き上げました。5ページ目に修正の理由として挙がっているのは、半導体プロセス材料の出荷増、石油化学の順調な進捗、住友ファーマの米国での好調です。この順に並んでいます。6ページ目の事業別の予想で比べると、比重はかなり違って見えます。

コア営業利益の予想前回今回増減
アグロ&ライフ650億円650億円―
ICT&モビリティ550億円600億円+50億円
アドバンストメディカル30億円30億円―
エッセンシャル&グリーン200億円750億円+550億円
住友ファーマ940億円1,080億円+140億円
その他・全社費用等△220億円△410億円△190億円
合計2,150億円2,700億円+550億円

全体の引き上げ額550億円は、石油化学の引き上げ額と同じです。ICTとファーマの増加分は、その他・全社費用等の悪化190億円で消えています。全社費用等が悪くなる理由は、決算短信には書かれていません。

説明に誤りはありません。半導体材料は伸びています。ただ、修正の金額でいえば石油化学1つの話なので、理由の並び順はそのまま受け取らないことにしました。

純利益は、すでに通期予想の9割を超えた

中間実績通期予想進捗率
売上高1兆1,727億8,700万円2兆4,900億円約47%
コア営業利益1,445億3,100万円2,700億円約54%
営業利益1,380億5,800万円2,150億円約64%
純利益828億7,500万円900億円約92%

約の付いた進捗率は、中間の実績を通期予想で割った私の計算です。

通期予想の900億円から、中間の828億7,500万円を引きます。残る下期の純利益は71億2,500万円です。前年は通期が609億4,700万円、中間が396億9,900万円でした。差し引いた前年の下期は212億4,800万円です。下期は前年の3分の1ほどしか見込んでいないことになります。

一方、コア営業利益は通期予想が2,700億円、中間の実績が1,445億3,100万円です。引き算すると、下期は1,254億6,900万円になります。前年の下期の996億6,000万円より多くなります。……本業の稼ぎは前年より増えるのに、純利益は3分の1。これは変だ。

石油化学は、通期予想750億円に対して、中間で621億3,900万円まで来ています。下期に残るのは129億円弱です。概要の表では下期のナフサ価格を1キロリットル9万円としているので、在庫の差益が細ることを会社も見込んでいるのかもしれません。

上期の利益の大半は、繰り返す種類のものではない

私は、今回の増益の大半を、中東情勢と原料価格が生んだ一時的なものだという見方をしています。理由は、807億円改善した石油化学の説明が、どちらも会社の外で起きたことだからです。会社自身も、下期の石油化学にはわずかしか見込んでいません。

半導体材料と米国の医薬は、譲渡益の反動を除けば伸びています。有利子負債は減り、年間配当は17円に増やす予想です。悪い決算ではありません。ただ、上期の利益の大半を生んだ事業が下期も同じだけ稼ぐとは、私は考えていません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.sumitomo-chem.co.jp/ir/library/financial_results/files/docs/ye2027_2ndqtr.pdf

下期のコア営業利益は前年より増える見込みなのに、純利益が71億円まで細る理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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