アルミを、原料の近くから箔まで扱う会社
アルミニウムを、原料に近いところから最後の製品まで、一通り扱う会社です。ボーキサイトから取り出すアルミナと、そこから作る化学品。地金の調達と販売。地金を延ばした板や、押し出して断面の形をつくった形材。さらにそれを組み立てた製品や、食品の包装や電子部品に使う薄い箔、塗料に混ぜるアルミの粉まで手がけています。
国内に最後まで残っていた製錬工場は、以前に閉じています。ですから地金そのものは外から調達する立場です。材料の値段で稼ぐ部門と、その値段に振り回される部門を、同じ会社の中に抱えていることになります。今回の決算では、この二つの顔がはっきり分かれました。
利益は前年同期の倍になりました
2026年11月2日に出た中間決算で、4月から9月までの半年分です。
| 今回(中間期) | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,378億500万円 | 2,786億7,300万円 | +21.2% |
| 営業利益 | 213億7,500万円 | 116億4,900万円 | +83.5% |
| 経常利益 | 201億5,900万円 | 97億4,100万円 | +107.0% |
| 純利益 | 115億3,100万円 | 54億7,100万円 | +110.8% |
売上は2割増えました。経常利益と純利益は2倍を超えています。表だけなら文句のつけようがありません。
利益が倍になった半年に、在庫が188億円増えている
いつものように短信を印刷し、赤ペンを持ってキャッシュ・フロー計算書(短信の9ページ目)まで進んだところで、手が止まりました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 100億100万円 | 203億5,300万円 |
| 棚卸資産の増減額 | △40億5,500万円 | △188億2,200万円 |
| 営業キャッシュ・フロー | 230億8,400万円 | 154億600万円 |
税引前の利益は倍になりました。それなのに、営業キャッシュ・フローは前年同期の3分の2まで減っています。……利益と現金が、逆を向いている。
利益と現金の向きを分けたのは、主に棚卸資産です。今回は188億2,200万円が在庫に回りました。前年同期の4倍を超える額です。この半年の税引前の利益とあまり変わらない金額が、倉庫と工場の中にとどまっています。
貸借対照表で在庫を3つに分けると、増え方は1か所に偏っていません。
| 2026年3月末 | 2026年9月末 | |
|---|---|---|
| 商品及び製品 | 497億9,800万円 | 561億4,300万円 |
| 仕掛品 | 246億7,800万円 | 309億6,600万円 |
| 原材料及び貯蔵品 | 357億4,100万円 | 415億3,800万円 |
製品も、作りかけの仕掛品も、これから使う原材料も、そろって増えています。
借入れも増えました。短期借入金は、半年で547億6,900万円から639億2,200万円になっています。ただ、手元の現金及び預金も331億4,000万円から467億9,100万円へ増えているので、在庫のために借りるしかなかった、とまでは言えません。
地金の部門は倍、組み立てる部門は赤字に
事業ごとの利益を並べると、在庫とは別の偏りが出てきます。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| アルミナ・化成品、地金 | 66億9,500万円 | 139億5,600万円 |
| 板、押出製品 | 14億1,700万円 | 41億2,100万円 |
| 加工製品、関連事業 | 13億5,600万円 | △4億2,200万円 |
| 箔、粉末製品 | 37億4,000万円 | 53億5,100万円 |
4つのうち3つが増益で、地金の部門は倍を超えました。残る加工製品、関連事業は、黒字から4億2,200万円の損失に変わっています。外部への売上は増えているのに、利益だけが消えた形です。
なお今期から、電子材料部門の一部が「板、押出製品」から「アルミナ・化成品、地金」へ移りました。前年同期の数字は新しい区分で作り直されているので、この表はそのまま比べられます。
ここまでは短信に書いてある数字です。地金に近い部門ほど利益が伸び、地金を仕入れて組み立てる部門は赤字でした。地金の価格が高い水準にあり、それを加工品の値段にまだ移し切れていないのかもしれない、と私は考えました。
業績の理由は、別の資料に回されています
経営成績の説明は、短信の4ページ目に一行しかありません。同じ日に公表した「2026年度中間期決算・通期業績予想」を見てほしい、という案内です。増益の理由も、在庫が増えた理由も、加工の部門が赤字になった理由も、決算短信には書かれていません。表紙には補足説明資料も作ったとありますが、私はそちらをまだ開いていません。
会社が短信の中で自分の言葉を使っているのは、終わりの注記です。持分法の対象だった韓国の三亜アルミニウムの株の一部を約45億円で売却し、第3四半期に約34億円の売却益を特別利益に計上する予定だとしています。理由は、グループ全体で資本の配り方を考え、持つ意味を検討した結果だと書いています。
同じ日に、上限15億円・60万株の自己株式の取得も決めました。自己株式の取得を含めた総還元性向40%程度を目安にする、とあります。中間配当も前年の25円から50円に増やしています。株主への還元は理由まで書かれていて丁寧ですが、業績のほうは、別の資料を開くまで受け取り方を保留します。
下期の純利益は、前年の下期より減る見込み
| 通期予想 | 中間期まで | 進捗率 | 残り半年に必要な額 | 前年の下期比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,000億円 | 3,378億500万円 | 約48% | 約3,621億9,500万円 | 約+18% |
| 営業利益 | 370億円 | 213億7,500万円 | 約58% | 約156億2,500万円 | 約+12% |
| 経常利益 | 350億円 | 201億5,900万円 | 約58% | 約148億4,100万円 | 約+7% |
| 純利益 | 200億円 | 115億3,100万円 | 約58% | 約84億6,900万円 | 約△16% |
約の付いた数字は私の計算です。残り半年の額は、通期予想から中間期の実績を引いて出しました。前年の下期は、表紙の増減率から前年の通期を割り戻し、そこから前年同期を引いています。
営業利益は、すでに通期予想の6割近くまで来ています。残り半年は、前年の下期より1割ほど多ければ届きます。引っかかったのは純利益の行で、下期は前年の下期より減ると見込んでいる計算になります。
ここに、さっきの売却益が関わってきます。約34億円の特別利益は第3四半期、つまりこの下期に入ります。それが通期予想の200億円に含まれているかどうかは、短信からは分かりませんでした。含まれているなら、本業の下期はさらに弱く見込んでいることになります。表紙には予想の修正が「有」とありますが、修正前の数字は短信に載っていません。
在庫の増え方は、売れ残りより価格の形
在庫の増え方には、売れ残りなのか、価格の分なのか、二通りの受け取り方があります。私は後者の見方をしています。理由は、製品だけでなく原材料と仕掛品までそろって増えていて、しかも地金に近い部門ほど利益が伸びているからです。売れ残りなら、まず製品の棚からふくらむはずです。
心配性なので、裏側も書いておきます。価格で在庫の金額がふくらんだのなら、その価格が下を向いたときは、同じ在庫が重しに変わります。この先の地金の値段がどちらへ向かうかは、私には分かりません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.nikkeikinholdings.co.jp/news/news/common/pdf/p2026110201hd.pdf
加工製品、関連事業が赤字になった理由と、約34億円の売却益が通期予想に含まれているかどうかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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