はじめに
野菜と花の種を作って売っている会社です。店に並ぶトマトやキャベツ、ブロッコリーの多くは、農家が種苗会社から種を買うところから始まります。この会社はその種を国内の農家に売るほか、北米、中南米、ヨーロッパ、アジアの生産者にも売っています。稼ぎの中心は海外です。
種は品種ごとに、味、形、病気への強さ、収穫の時期が違います。農家は自分の畑と出荷先に合う品種を選び、シーズンごとに買い直します。新しい品種が当たると、その種は何年も売れ続けます。
ほかにも、家庭菜園向けの種を通信販売やホームセンターで売る小売があります。肥料や土、畑を覆うシートといった資材も扱います。公園やマンションの植栽工事と、その手入れも引き受けています。
売上は増えて、利益は4分の1減った
10月6日に出た、6月から8月までの第1四半期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 246億7,000万円 | 230億500万円 | +7.2% |
| 営業利益 | 33億8,700万円 | 44億6,200万円 | △24.1% |
| 経常利益 | 36億7,100万円 | 48億6,600万円 | △24.6% |
| 純利益 | 22億3,900万円 | 36億3,700万円 | △38.4% |
純利益の落ち方が大きいのは、前年同期に受取和解金5億5,000万円が特別利益として入っていたからです。今期はこれがありません。
増えた売上より、為替の上乗せのほうが大きい
短信の添付資料2ページに、為替の影響が書いてあります。円安によって、売上高にプラス17億7,600万円。米ドルの換算レートは、前年の144円82銭から162円45銭になっています。
売上の増加は16億6,400万円です。ここから為替の17億7,600万円を引くと、1億1,200万円のマイナスになります。為替を除くと、売上は前年同期をわずかに下回っていたことになります。これは私の引き算です。
……増えた分が、まるごと為替だった。
会社自身も、海外卸売事業は「現地通貨ベースでは前年同期比で減収」と書いています。北中米はスイカとトマト、南米はカボチャやブロッコリーが減りました。伸びたのはヨーロッパ・中東・アフリカのトマトなどです。
海外の利益が14億円減り、国内の増益では埋まらない
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 国内卸売 | 22億9,800万円 | 24億5,300万円 |
| 海外卸売 | 52億3,400万円 | 38億1,300万円 |
| 小売 | △2億1,000万円 | △1億5,300万円 |
| その他 | 2,000万円 | 6,400万円 |
出どころは短信のセグメント情報の注記です。
引っかかったのは海外卸売です。利益が14億2,000万円減っています。国内卸売はトマトの新品種や、見直されたキャベツが伸びて1億5,500万円の増益でした。それでも海外の減り方の1割ほどにしかなりません。
海外の減益について、会社は「売上総利益率の低下に加え、人件費を中心とした販売費及び一般管理費の増加」と説明しています。損益計算書の全社の数字にも、同じ形が出ています。
売上総利益は160億4,500万円から165億6,700万円になりました。増えたのは5億2,200万円だけです。販売費及び一般管理費は115億8,300万円から131億8,000万円になりました。こちらは15億9,700万円の増加です。粗利の増えた額のおよそ3倍、経費が増えています。
円安は売上を大きくしますが、海外子会社の人件費も同じレートで円に直されます。経費の増え方の一部は、売上と同じく為替で膨らんで見えている分だと私は考えました。内訳は短信には書かれていません。
キャッシュ・フロー計算書が無いので、期首と8月末を並べた
この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません。添付資料11ページの注記に「作成しておりません」とあります。第1四半期では珍しくない扱いです。いつもは営業キャッシュ・フローまで行くのですが、今回は貸借対照表の期首と8月末を並べました。
| 5月末 | 8月末 | |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 301億6,000万円 | 290億800万円 |
| 商品及び製品 | 555億4,500万円 | 590億6,800万円 |
| 仕掛品 | 68億4,500万円 | 47億8,200万円 |
| 支払手形及び買掛金 | 79億2,700万円 | 40億100万円 |
| 短期借入金 | 40億3,000万円 | 81億8,900万円 |
仕掛品が減って、商品及び製品が増えています。育てていた種が、売れる形の製品に移った動きに見えます。2つを足すと14億6,000万円の増加で、海外分の換算差も含んだ額です。
もう一つの動きは支払いの側です。買掛金がほぼ半分になり、短期借入金がほぼ倍になりました。仕入先への支払いを、借り入れで手当てした形です。それでも現金の減り方は小さく、自己資本比率は82.1%あります。ここは心配する場面ではないと考えています。
会社はどう説明しているか
短信の説明は筋が通っています。売上は円安、営業利益は粗利率の低下と人件費、経常利益はそこに為替差損の増加、純利益は和解金の反動。損益計算書の数字とも合っていて、このまま受け取ります。
一つ留保があります。粗利率がなぜ下がったのかは、決算短信には書かれていません。品目の組み合わせが変わったのか、値段なのか、原価なのか。表紙には決算補足説明資料を作ったとあるので、理由はそちらにあるのかもしれません。私はまだ開いていません。
アジア・太平洋のネギとニンジンについては「販売時期の変更など」で低調だった、と会社は書いています。売れる時期がずれただけなら、その分は後ろの四半期に出てくるはずです。
後半の半年に、前年より2割多い利益を置いている
通期予想は7月に出したまま、変えていません。営業利益135億円に対して、第1四半期で4分の1まで来ています。数字の上では、ほぼ予定どおりの進み方です。
気になったのは予想の形です。上期の営業利益予想は60億円で、表紙の増減率は△12.8%。これは前年より12.8%少ない額という意味です。ですから前年の上期は、60億円を0.872で割れば求まります。およそ68億8,100万円です。前年の第1四半期44億6,200万円を引くと、前年の9月から11月はおよそ24億1,900万円です。
| 営業利益 | 6〜8月 | 9〜11月 | 上期 | 12〜5月 | 通期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 44億6,200万円 | 約24億1,900万円 | 約68億8,100万円 | 約62億4,100万円 | 131億2,200万円 |
| 今年 | 33億8,700万円 | 約26億1,300万円 | 60億円 | 約75億円 | 135億円 |
約の付いた数字は、上期予想の増減率と通期・上期の予想から、私が割り戻したり引いたりしたものです。
9月から11月は前年をやや上回る程度で、12月から5月の半年を前年より2割多く置いています。予想の重心は後半です。後半に何が伸びるのかは、短信には書かれていません。
私はどう読んだか
受け取り方は2つあります。上期は最初から減益の予想だったので、第1四半期の落ち込みは想定のうちだという見方。もう一つは、粗利率の低下が続けば後半の2割増が重くなるという見方です。
私は後者の見方をしています。この四半期は「為替に支えられた、中身は横ばいから少し後退の3か月」でした。理由は、為替の上乗せが売上の増加額を上回っているうえに、海外は現地通貨で減収だと会社自身が書いているからです。
そのうえで、後半の2割増は、まだ裏付けを見つけられていない予想として扱います。心配性なので、下振れのほうから見ます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

海外卸売の粗利率が下がった理由が、品目の組み合わせなのか値段なのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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