HOYA(7741)2027年3月期 中間決算分析・続報――7〜9月の伸びは本物と読みました

HOYA(7741)2027年3月期 中間決算分析・続報――7〜9月の伸びは本物と読みました 日本株

眼鏡店の奥と、半導体工場の奥

HOYAは、眼鏡のレンズの会社として知られています。眼鏡店で「薄いレンズにしますか」と聞かれたとき、その奥にいることの多い会社です。コンタクトレンズ、病院の内視鏡、白内障の手術で目に入れるレンズも作っています。子どもの近視が進むのを抑える眼鏡レンズも、ここの商品です。

残りの半分は、私たちが手に取ることのない部材です。半導体の回路を焼き付ける原版の、そのまた土台になるガラス板。データセンターのハードディスクに入るガラスの円盤。カメラの交換レンズ向けのガラスを扱う区分は、今回から「光学ソリューション」という名前に変わりました。理由は、映像以外の用途が増えたからだと短信にあります。

9月に、7月31日に出た第1四半期の決算を読みました。前の記事では、説明会で話された米国関税の還付が、短信の説明文に出てこないことに引っかかりました。還付の額は分からないまま、7〜9月は反動で伸びが止まるという会社の見込みを紹介して終えています。

上期は売上1割増、営業利益は3割増

10月30日に出た、4月から9月までの中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高5,158億9,500万円4,548億9,900万円+13.4%
営業利益1,734億3,100万円1,317億4,400万円+31.6%
経常利益———
純利益1,365億円1,072億6,800万円+27.3%

国際会計基準なので、経常利益の欄はありません。前年の営業利益は、新しい会計基準に合わせて組み替えた数字です。

一度きりの分を外しても、7〜9月は4〜6月より稼いでいました

まず答え合わせです。

4〜6月7〜9月
売上高2,557億4,200万円2,601億5,300万円
営業利益826億2,600万円908億500万円
通常の営業活動からの利益823億6,700万円約893億5,400万円
7月時点の会社の見込み(営業利益)—約823億7,400万円

約の付いた数字は、上期の実績や7月に出ていた上期予想から、4〜6月を引いた私の引き算です。

「通常の営業活動からの利益」は、営業利益から為替の損益や減損、一度きりの損益を外した、会社独自の物差しです。893億5,400万円から823億6,700万円を引きます。差はおよそ70億円です。この物差しで比べても、7〜9月は4〜6月を上回っています。

前の記事では、7〜9月の営業利益は4〜6月とほぼ同じ見込みだと書きました。その見込みは外れました。上期の営業利益は、予想の1,650億円を84億円あまり上回っています。

売上は逆です。上期の売上予想は5,210億円で、実績は5,158億9,500万円でした。予想には50億円ほど届いていません。……売上は足りないのに、利益は多い。

ライフケアは、売上が減って利益が増えた3か月

ここからは、前年同期ではなく、すぐ前の4〜6月と比べます。

7〜9月ライフケア情報・通信
売上約1,533億6,600万円約1,067億8,700万円
4〜6月の売上1,547億8,800万円1,009億5,400万円
事業の利益約325億8,500万円約588億3,600万円
4〜6月の事業の利益299億8,400万円556億1,500万円

約の付いた数字は、短信のセグメント情報(添付資料20ページ)の上期から、4〜6月を差し引いたものです。

情報・通信は売上も利益も増えました。引っかかったのはライフケアです。売上は4〜6月より14億円ほど少ないのに、事業の利益は26億円増えています。

短信の説明文によると、内視鏡は構造改革を進めているものの、米国での販売が停滞して減収でした。損益計算書には、もう一つ目に付く数字がありました。7〜9月の人件費は568億4,100万円で、前年同期の580億5,800万円を下回っています。売上が1割増えた3か月で、です。

人件費がどの事業で減ったのかは、決算短信には書かれていません。ここまでは書類の数字です。売上が細っても利益が残る形に、ライフケアを組み替えている途中だ、と私は読みました。

営業利益の3割増には、一度きりの利益が入っています

表紙の3割増と、物差しの2割6分増の差は、一度きりの損益の入れ替わりで説明が付きます。

前年同期今回
減損損失△20億8,900万円—
その他の非経常的損益△14億3,100万円30億2,200万円
為替差損益(営業区分)△11億4,800万円△13億1,200万円

出典は短信のセグメント情報(添付資料19〜20ページ)。

前年は一度きりの損失が営業利益を押し下げ、今年は一度きりの利益が押し上げています。30億2,200万円のうち、ライフケアの分は17億8,200万円です。情報・通信の分は14億2,100万円です。第1四半期の時点でライフケアのこの欄は100万円でしたから、大半が7〜9月に出たことになります。

損益計算書でも、その他の営業収益が前年同期の10億9,400万円から35億5,000万円に増えています。中身は決算短信には書かれていません。前の記事で気にした関税の還付がこの欄に移ったのかも分からず、今回の短信にも「関税」の字はありません。表紙には説明会の資料を同じ日に公開したとありますが、私はまだ読んでいません。

会社は「両事業とも好調」と書いています

短信の説明はこうです。マスクブランクスはEUV向け先端品の開発で需要が増え、単価の高い品の比率も上がったとあります。FPD用フォトマスクは、中国工場の立ち上がりで主要顧客向けが伸びたそうです。ハードディスク用ガラスはデータセンター向けの需要増です。情報・通信の利益が4〜6月より増えた数字と合っていて、ここはそのまま受け取ります。

留保は2つあります。1つは、上の30億円に、決算短信の説明文が一言も触れていないこと。もう1つは為替です。眼鏡レンズの増収には「為替の影響もあり」と書かれています。一方、7〜9月の包括利益の計算書では、海外子会社を円に直した差額が237億5,400万円のマイナスでした。9月末の円が、6月末より強かったということです。

通期は、売上だけが出てきました

この会社は、通期予想を第3四半期の決算で出すことにしています。今回は前期との差が開示基準に達しそうだとして、売上だけを先に出しました。利益の予想は示していません。

売上高上期下期通期
前期4,548億9,900万円約4,924億円約9,473億円
今期5,158億9,500万円(実績)約5,271億円(残り)1兆430億円(予想)

前期の数字は、通期予想を表紙の増減率+10.1%(1.101倍)で割り戻し、上期を引いたもの。今期の下期は、通期予想から上期実績を引いた残りです。

上期の実績は、通期予想のほぼ半分まで来ています。下期の伸びは、約5,271億円を約4,924億円で割って求めます。答えは7%ほどです。上期に1割3分伸びた売上が、下期は半分ほどの伸びに鈍ると見込んでいることになります。

私はどう読んだか

私は、7〜9月の伸びは一度きりの利益を除いても本物だという見方をしています。理由は、30億円を外した物差しでも、4〜6月を70億円ほど上回っているからです。還付の反動で利益が横ばいになる、という見込みは外れました。

心配なのは下期の売上です。ライフケアの売上はすでに4〜6月を下回り、円も6月末より強くなりました。利益の予想が出ていないので、売上の鈍りを利益率で吸収できる前提なのかは分かりません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7741/tdnet/2901247/00.pdf

その他の非経常的損益30億2,200万円の中身と、関税の還付がどの欄に入ったのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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