日本特殊陶業(5334)2027年3月期 中間決算分析――純利益は、評価益抜きで読みました

日本特殊陶業(5334)2027年3月期 中間決算分析――純利益は、評価益抜きで読みました 日本株

はじめに

日本特殊陶業は、エンジンの点火プラグと、排気ガスのセンサーを作っている会社です。プラグは、エンジンの中で火花を飛ばして燃料に火をつける小さな部品です。新車に組み込まれるほか、消耗品なので交換用としても売られています。

センサーは、排気ガスの中の酸素などを測って、エンジンの燃やし方を加減させる部品です。

もう一つの柱はセラミックスです。半導体を作る装置の中で使う部品や、医療向けの製品を手がけています。電気自動車の生産が増える一方でエンジン車の生産は弱い、と会社自身が短信に書いています。

売上と営業利益は同じ幅、純利益だけが2倍を超えた

10月30日に出た、4月から9月までの中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高4,062億2,600万円3,511億7,100万円+15.7%
営業利益817億7,300万円707億3,300万円+15.6%
経常利益———
純利益1,100億4,000万円528億8,700万円+108.1%

国際会計基準の短信なので、経常利益の欄はありません。純利益は、親会社の所有者に帰属する中間利益です。

営業利益率は前年同期と同じ20.1%で、稼ぎ方は変わっていません。それなのに、純利益だけが前年の2倍を超えました。最初に引っかかったのはここです。

税引前利益の4割は、投資有価証券の評価益

営業利益から下へたどると、金融収益が前年同期の68億4,000万円から617億8,700万円に増えています。このうち590億2,700万円が投資有価証券評価益で、保有分を公正価値で測り直した結果だ、と会社は書いています。

この半年の核心は、この590億2,700万円です。税引前中間利益1,381億800万円の4割を超えます。売っていない有価証券の評価が上がった分なので、現金は入ってきていません。

キャッシュ・フロー計算書では、この評価益が「有価証券評価損益」として590億2,400万円差し引かれています。そのうえで営業キャッシュ・フローは695億3,700万円と、前年同期の577億1,200万円から増えています。本業で稼いだ現金は、きちんと伸びています。

何の有価証券なのか、短信に名前が出てこない

どの投資先の何という有価証券なのかは、決算短信には書かれていません。説明は、その有価証券の「公正価値を構成する一部要素の市場価格」が第2四半期の間に動いた、というところまでです。

一部要素の市場価格。……何の要素なのか、肝心のところを言っていない。

貸借対照表では、非流動資産の「その他の金融資産」が、3月末の815億5,200万円から1,276億9,600万円へ増えています。評価益の置き場所はここかもしれません。表紙には機関投資家向けの説明会を開いたとありますが、その中身を私は読んでいません。

エンジン車が減った半年に、プラグは2割近く増えた

売上売上の増減率営業利益前年同期の営業利益営業利益率(前年同期から今回へ)
プラグ2,229億9,200万円+17.8%———
センサ997億2,000万円+4.0%———
自動車関連(計)3,227億1,300万円+13.2%768億9,400万円706億5,400万円約24.8%から約23.8%へ
コンポーネント・ソリューション759億9,100万円+23.7%58億8,300万円△5億3,700万円—

プラグとセンサの営業利益は、短信では分けて出ていません。約の付いた利益率は、営業利益を売上で割った私の割り算です。

エンジン車の生産は前年より減った、と会社は書いています。中国の新車向けは減産の影響を受けたものの、北米の好調な需要が補い、交換用も安定して伸びた、という説明です。

為替も効いています。短信の後ろに付いている決算概要には、上期の平均レートが載っています。ドルは前年同期の146円から159円になりました。ユーロは168円から184円です。円安の影響額は、短信には書かれていません。

自動車関連は、売上が1割3分増えたのに、営業利益の伸びは1割に届きません。会社が注意点に挙げている貴金属の価格の動きが、ここに出ているのかもしれません。

コンポーネント・ソリューションは、赤字から黒字に転じました。理由として挙げられているのは、まず生成AI向けデータセンター投資で半導体製造装置向けの事業が好調だったことです。昨年6月に子会社にしたNiterra Materialsの売上が加わったこと、医療の事業が固定費を削って黒字になったことも挙げられています。

Niterra Materialsのうち前年同期に入っていなかった期間の上乗せがいくらなのかは、短信には書かれていません。

営業利益には、事業譲渡の損失も入っている

営業利益の中にも、一度きりの項目があります。その他費用104億5,700万円のうち98億800万円は、一部子会社の事業譲渡損失です。一方で、その他収益も前年同期の12億円から74億9,200万円へ増えています。こちらの中身は、短信には書かれていません。

98億800万円の損失と74億9,200万円の収益は、差し引くとおおむね打ち消し合っています。営業利益の1割5分増は、この出入りでかさ上げされたものではない、と私は受け取りました。

会社は、評価益を予想から外したと書いている

会社は、貴金属の価格、中東情勢、中国の輸出規制などを注意すべき点に挙げています。それでも円安もあって堅調だった、という説明です。8月に公表したWells社の自動車部品事業からの撤退にかかる損失なども織り込んだうえで、4月の予想を上回る見込みだとしています。先ほどの98億800万円がこの件と同じものかどうかは、短信の中では結びつけて書かれていません。

評価益については、今後の四半期で変わるので確からしい前提を置けず、予想には含めない、と書いています。この扱いは、そのまま受け取ります。

営業利益と税引前利益の予想が、同じ1,600億円

上期の実績通期予想進捗率
売上高4,062億2,600万円8,100億円約50%
営業利益817億7,300万円1,600億円約51%
税引前利益1,381億800万円1,600億円約86%
純利益1,100億4,000万円1,250億円約88%

進捗率は、上期の実績を通期予想で割ったものです。

営業利益と税引前利益の予想が同じ額なのは、金融収益と金融費用を差し引きゼロと見て、上期の評価益も入れていないからです。純利益の進捗率は9割近くになりますが、評価益を含む実績と含まない予想を比べた数字なので、意味がありません。比べるなら売上と営業利益で、どちらもほぼ半分です。

下期に必要な営業利益は、782億2,700万円です。通期予想の1,600億円から、上期の817億7,300万円を引いた額です。前年の下期は674億2,500万円でした。通期実績の1,381億5,800万円から、上期の707億3,300万円を引いた額です。それより1割6分ほど多い計画です。下期の想定レートはドル150円、ユーロ180円で、上期の実績より円高を前提にしています。

私はどう読んだか

この半年は、純利益が2倍になった半年ではありません。私は、本業の利益が1割5分増えた半年だという見方をしています。理由は、増えた純利益の大きな部分が、売っていない有価証券の評価益だからです。その中身は短信に書かれておらず、会社自身も予想から外しています。

心配性なので、気になるほうも書いておきます。自動車関連は売上ほど利益が伸びておらず、その売上には円安の分が入っています。下期は円高を前提にしているので、プラグの伸びがどこまで続くかで、計画の重さが変わります。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 - IRライブラリ | 日本特殊陶業
日本特殊陶業の「決算短信」についてご紹介します。日本特殊陶業は、経営方針、決算情報、株式情報などのIR情報を公開しています。

590億2,700万円の評価益が、どの投資先の何という有価証券から出たものなのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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