東名(4439)2026年8月期 通期決算分析――売掛金の膨らみ方が気になりました

東名(4439)2026年8月期 通期決算分析――売掛金の膨らみ方が気になりました 日本株

はじめに

東名は、中小企業や個人事業主の事務所に、毎月払いのサービスを売っている会社です。柱は回線と電気です。

回線は、大手通信会社の光回線を借りて自社の名前を付け、事務所のインターネットとして提供しています。電気は、事務所の電力契約を自社に切り替えてもらい、毎月の電気代を受け取る商売です。ほかに、ビジネスホンや複合機、社外からの侵入を防ぐ機器の販売と、保険の取次ぎもしています。

売り先は、町の小さな会社や個人事業主です。声をかける手段は、代理店、自社の電話営業、ネット広告の三つです。契約が積み上がるほど、毎月の収入が厚くなる形をしています。

増収増益で、純利益だけが前期並みでした

2026年10月15日に出た、2026年8月期の通期決算です。

今回前期増減率
売上高325億7,900万円290億7,000万円+12.1%
営業利益35億6,900万円32億9,200万円+8.4%
経常利益36億600万円33億8,300万円+6.6%
純利益24億7,000万円24億3,200万円+1.5%

売上は1割強、営業利益は1割近く伸びました。下の段へ行くほど伸びが細り、純利益はほぼ横ばいです。その理由は後半で書きます。

増益なのに、本業で現金が出ていっています

1ページ目だけなら、きれいな増収増益です。キャッシュ・フロー計算書まで進んで、手が止まりました。営業キャッシュ・フローが8億1,908万円のマイナスです。前期は24億1,780万円のプラスでした。

利益は出ているのに、本業で現金が入ってきていません。私が決算を最後まで読むようになったきっかけの夜と、同じ形をしています。

営業キャッシュ・フローの主な項目前期今期
税金等調整前当期純利益33億8,677万円35億2,301万円
売上債権の増減△4億6,160万円△17億5,383万円
その他の流動資産の増減△2億340万円△6億9,179万円
その他△1億2,020万円△5億8,703万円
法人税等の支払額△7億3,927万円△11億1,454万円
営業キャッシュ・フロー24億1,780万円△8億1,908万円

いちばん大きいのは売上債権、つまり売掛金の積み上がりです。法人税の支払いが増えたのは、前期に大きく伸びた利益の分を今期に払ったため、と私は受け取りました。

売掛金は、売上の倍を超える速さで増えました

期末の残高2025年8月末2026年8月末
現金及び預金78億8,426万円53億3,939万円
売掛金57億1,488万円74億6,872万円
前払費用5億4,057万円10億5,367万円
長期前払費用3億9,609万円9億7,991万円

売掛金は1年で3割ほど増えました。売上の伸びは12.1%でしたから、その倍を超えます。3割は、2026年8月末の残高を前年の残高で割った私の数字です。……売上より、売掛金のほうが速い。

どの事業で膨らんだのかは、セグメントごとの資産の表に手がかりがありました。電気の事業の資産は、34億2,315万円から59億1,647万円へ増えています。差は24億9,332万円で、キャッシュ・フロー計算書にある売掛金の増加分、17億5,383万円をすっぽり含む大きさです。回線とその他の事業の資産は、ほとんど動いていません。

説明文にも、もう一つ手がかりがあります。日本卸電力取引所の取引価格が、上期は前期よりやや低く、下期は前期を上回る高い水準だったと書かれています。決算日は8月末で、冷房で電気をいちばん使う月です。請求額が膨らみやすい時期に、決算日が来ていることになります。

前払費用は、別の行に出し直すほど大きくなりました

キャッシュ・フロー計算書の「その他の流動資産の増減」と「その他」も、前期より大きく出ています。貸借対照表でこれに当たりそうなのが、前払費用と長期前払費用です。どちらも1年で2倍を超えました。

引っかかったのは注記です。前期までこの2つは「その他」の中に入っていました。今期からは、金額的重要性が増したため別の行に出した、と短信に書かれています。まとめて書くには大きすぎる額になった、ということです。

何を前払いしているのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれません。私はまだ開いていません。

純利益が伸びなかったのは、自社株の費用と減損のためでした

経常利益から下の伸びが細った理由は、損益計算書の下のほうにあります。

1つは、自己株式の取得費用3,362万円と処分費用2,500万円です。大株主の株を会社が信託を通じて買い取り、市場で売り切った、と注記にあります。流通する株を増やすための手続きで、信託は第3四半期までに売り切っています。

もう1つは、特別損失の減損8,299万円です。うち6,166万円はオフィス機器などの事業で、その事業ののれんの残りはこれで無くなりました。どちらも、本業の稼ぎとは別の場所で出た費用です。

会社の説明は、伸びた理由に厚く、現金の話に薄い

事業売上高前期比セグメント利益前期比
オフィス光119132億2,359万円+5.1%16億9,282万円△2.2%
オフィスでんき119164億8,422万円+24.9%25億6,945万円+16.4%
オフィスソリューション28億7,131万円△12.9%5億1,044万円+30.1%

短信の説明文は、伸びた理由については丁寧です。代理店を増やし、電話営業とネット広告で顧客との接点を広げた、とあります。その結果、回線と電気の契約が積み上がったという説明です。電気は目標の7万1,000契約に届き、解約率も前期を大きく下回りました。

回線は14万8,000契約の目標に届かず、広告費がかさんで利益を落としています。届かなかったことを隠さずに出している点は、信用していいと思います。

キャッシュ・フローについては、売上債権が増えたからマイナスになった、とだけ説明しています。なぜそこまで増えたのかは、短信には書かれていません。伸びた理由はそのまま受け取り、現金の話には留保を付けます。

来期の予想は、中期計画の目標そのままです

今期 実績来期 会社予想増減率
売上高325億7,900万円402億3,600万円+23.5%
営業利益35億6,900万円46億3,300万円+29.8%
経常利益36億600万円46億7,800万円+29.7%
純利益24億7,000万円32億5,800万円+31.9%

今回は通期の決算なので、進み具合の話はありません。代わりに、来期の予想が出ています。

説明文には、中期経営計画の最終年度の目標が書かれています。売上高402億円、営業利益46.3億円です。この予想は、それと重なります。計画の数字を、そのまま来期の予想に置いた形です。

届かせるには、1年で売上を76億5,700万円積み増す必要があります。今期の上積みは35億900万円でしたから、その倍以上です。どちらも、表の売上高どうしを引いた私の数字です。説明文には、電話営業の人員を増やすとあります。

私はどう読んだか

売掛金の膨らみは、夏の電気代と下期の高い電力価格が決算日に重なった一時のものか。それとも回収が遅れ始めたものか。このどちらかだと思います。

私は前者だと考えています。理由は、増えた資産が電気の事業にほぼ集まり、回線やその他の事業では動いていないからです。回収が全体で遅れているなら、回線の側にも出るはずです。

前払費用は別の話で、中身が分からないまま残っています。心配性なので、売上を2割以上増やす計画の裏で、先に払った費用が積み上がっていないかが気になります。……計画と予想が同じ数字、というのも少し引っかかる。

上がるかは知りません。次の第1四半期の短信で、売掛金が減っているかを確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

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前払費用と長期前払費用が1年で2倍を超えた、その中身は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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