服の値札の、ずっと手前にいる会社です
タキヒヨーは、名古屋に本社を置く繊維の商社です。生地を仕入れ、中国などの工場で服に仕立てて、衣料品の量販店に納めています。強いのは婦人服の生地です。郊外の衣料品チェーンに並ぶブラウスやカットソーの、作る段取りと運ぶ段取りを引き受けている会社だと考えると分かりやすいと思います。
ゴルフウェアの売り場も自前で持っていますが、中心は卸です。海の向こうで縫った服を日本へ運んで納める商売なので、服が売れたかどうかだけでなく、船の遅れや為替がそのまま利益に出てきます。今回の決算は、その運ぶ側の話が多い半年でした。
売上は前年並み、営業利益は3分の1減りました
2026年10月9日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分にあたります。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 316億8,200万円 | 317億9,900万円 | △0.4% |
| 営業利益 | 7億4,800万円 | 11億1,700万円 | △33.0% |
| 経常利益 | 7億7,600万円 | 11億4,100万円 | △32.0% |
| 純利益 | 10億100万円 | 9億2,900万円 | +7.8% |
売上はほとんど動いていないのに、本業の利益が3割減っています。そして最後の純利益だけが増えている。この逆向きの動きが、最初に引っかかったところです。
減った営業利益の3分の2は、販管費の増加でした
損益計算書を印刷して、赤ペンで営業利益の減り方を2つに割ってみました。売上総利益(粗利)が減った分と、販売費及び一般管理費(販管費)が増えた分です。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上原価 | 249億1,200万円 | 249億1,700万円 |
| 売上総利益 | 68億8,700万円 | 67億6,500万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 57億7,000万円 | 60億1,600万円 |
粗利は、前年同期が68億8,700万円、今回が67億6,500万円です。差し引くと1億2,200万円の減少です。販管費は57億7,000万円から60億1,600万円になりました。増えた額は2億4,600万円です。2つを足すと3億6,900万円で、営業利益が減った額とちょうど合います。そのうち2億4,600万円、つまり3分の2が販管費の側です。
会社の説明文を先に目にしていたので、原価の側が主役だと思っていました。……販管費のほうが倍も大きい。
粗利の減り方は、売上原価がほぼ前年と同じ額のまま、売上だけが少し減ったという形です。粗利率は21.7%から21.4%に下がりました。0.3ポイントほどの低下です。これは私の割り算です。円安や代替輸送の痛みは確かに出ていますが、金額で見ると半年で1億円あまりにとどまります。
販管費の中身は、この決算短信では内訳が出ていません。ただ会社の説明文には、国内の物流経費と、従業員の処遇改善に伴う人件費の増加が挙がっています。増えた2億4,600万円の多くはここだと考えています。
土地が減って現金が増え、借入も増えています
貸借対照表には、損益計算書とは別の動きがありました。
| 2月末 | 8月末 | |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 52億5,400万円 | 66億8,000万円 |
| 受取手形及び売掛金 | 118億6,800万円 | 103億2,000万円 |
| 土地 | 166億7,100万円 | 155億9,700万円 |
| 支払手形及び買掛金 | 73億2,100万円 | 56億8,100万円 |
| 短期借入金 | 20億円 | 35億円 |
| 長期借入金 | 19億円 | 12億5,000万円 |
土地は半年で10億7,400万円減り、特別利益には固定資産売却益が4億円載っています。純利益が増えた理由はこの売却益で、短信の説明文もそう書いています。どこの土地を誰に売ったのかは、決算短信には書かれていません。
引っかかったのは、土地を売って現金が14億円あまり増えたのに、短期借入金も15億円増えていることです。秋冬物の仕入れに備えた季節の借入なのか、ほかに理由があるのか。普段なら添付資料をキャッシュ・フロー計算書までめくって確かめるのですが、この中間決算短信にはその表が載っていません。目次も、貸借対照表と損益計算書と注記で終わっています。
なお、この短信には事業ごとの売上や利益の表もありません。どの売り場、どの取引先で利益が削れたのかは、ここからは分かりません。
会社はどう説明しているか
短信の説明文は、売上が伸びなかった理由に消費の停滞を挙げています。もう一つは、6月以降の気温の上がり方が鈍く、夏物の立ち上がりが遅れたことです。利益については、円安と原材料の値上がりを挙げています。加えて、自然災害で船便が遅れるのを避けるためにフェリーや航空便を使い、調達コストが上がったと書いています。そこへ国内の物流経費と人件費の増加が重なった、という説明です。
説明そのものは、損益計算書の数字と食い違っていません。そのまま受け取ります。気になるのは順番のほうです。説明は運ぶ費用の話から入りますが、金額で大きいのは販管費の側でした。
表紙には、決算補足説明資料も説明会も「無」とあります。この半年について会社が自分の言葉で書いたものは、私の手元ではこの短信がすべてです。通期予想は「2026年4月13日公表時から変更しておりません」の一文だけで、据え置いた理由は決算短信には書かれていません。
通期予想まで、下期に残っている額
| 上期の実績 | 通期予想 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 316億8,200万円 | 648億円 |
| 営業利益 | 7億4,800万円 | 19億5,000万円 |
| 純利益 | 10億100万円 | 16億2,000万円 |
売上は半分近くまで来ていて、ほぼ予定どおりです。純利益は売却益があったぶん、もう6割を超えています。
重いのは営業利益です。19億5,000万円から7億4,800万円を引きます。残る12億200万円が、下期に要る額です。前年と並べると、この重さがはっきりします。通期予想の19億5,000万円は、前年より+0.4%の数字です。ここから前年の通期を割り戻し、前年の上期11億1,700万円を引くと、前年の下期はおよそ8億2,500万円になります。これは私の引き算です。
前年は、上期のほうが下期より稼いでいた年でした。今年は逆に、上期の1.6倍ほどを下期で出す予想になっています。前年の下期と比べても、半分近く多い額です。
私はどう読んだか
見方は2つあると思います。上期の痛みは代替輸送や夏物の出遅れといった一時的なもので、秋冬で戻るというもの。もう一つは、増えた経費は下期も残るというものです。
私は後者だと考えています。理由は、減益の3分の2が販管費の増加だからです。そのうち人件費の増加は処遇改善によるもので、半年で元に戻る性質のものではありません。下期は代替輸送の費用が落ち着いたとしても、それで埋まるのは粗利の側の1億円あまりです。
一方で、自己資本比率は66.3%あり、財務が傷んでいる話ではありません。今回の純利益は土地の売却に支えられていて、その土地はもう貸借対照表から減っています。上がるかは知りません。下期に12億円を本業で出せるかどうかを、次の決算で確かめます。
出典:決算短信(会社発表)
売った土地がどこの何で、売った代金と増えた短期借入金がどこへ回ったのかは、この短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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