古くなった工場を、壊す側の会社です
ベステラは、製鉄所や発電所、石油化学の設備を解体する仕事をしている会社です。自分たちで重機を振り回すというより、どう壊すかを設計し、独自の工法を当て、工事全体を管理する側です。注文するのは、古い高炉やボイラーを止めることにした製鉄会社や電力会社です。跡地を次に使うために、設備を片付ける必要があるからです。
作る仕事の反対側にある商売なので、景気が良いから増えるという種類のものではありません。産業の側で設備を減らす決断があって、はじめて仕事になります。会社側は短信の中で、電源構成の見直しで発電設備の刷新が進み、解体の案件が増える見込みだと書いています。その視点で、中間決算を読みました。
本業は伸びて、純利益だけが半分以下に
2026年9月9日に出た中間決算です。売上、営業利益、経常利益は伸び、純利益だけが前年の半分以下になりました。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 58億9,500万円 | 51億円 | +15.6% |
| 営業利益 | 5億7,400万円 | 2億2,600万円 | +154.1% |
| 経常利益 | 6億900万円 | 2億1,500万円 | +183.2% |
| 純利益 | 9,900万円 | 2億2,000万円 | △55.1% |
営業利益が2.5倍になったのに、純利益は1億円に届いていません。この落差が何なのかを、損益計算書の下のほうまで追いました。
特別損益の下で、税金が3億円を持っていきました
短信の4ページ目に、会社側の説明があります。政策保有株の売却益3億1,389万円を特別利益に、投資有価証券の評価損4億9,999万円を特別損失に計上した、というものです。ここまでは1ページ目の増減率からも察しがつく話でした。
引っかかったのは、そのあとです。経常利益6億900万円に特別損益を足し引きすると、税引前の中間純利益は4億2,302万円になります。そこから法人税等が3億2,392万円引かれて、残りが9,910万円です。3億2,392万円を4億2,302万円で割ります。およそ77%が税金で消えた計算になります。前年の同じ割り算は、1億1,526万円を3億3,589万円で割ります。答えはおよそ34%でした。
……いや、これは変だ。税率が倍になるはずがない。
評価損の4億9,999万円を税引前利益に足し戻すと、9億2,301万円です。3億2,392万円をこれで割ると、およそ35%で前年と並びます。ここまでは損益計算書の数字を私が並べ直したものです。評価損は税金の計算では費用に数えられておらず、税金は評価損を引く前の利益にかかっている、と私は読みました。
つまり純利益を削ったのは、評価損そのものと、その評価損が税金を減らしてくれないこと、の2つです。何の株を評価損にしたのかは、決算短信には書かれていません。5億円にわずかに届かない金額なのも、気になるところです。
下期は、経常利益より純利益が大きい置き方です
前の節の税金の話は、通期予想の置き方にもつながります。会社側は同じ日に純利益の通期予想を7億円から5億3,000万円へ下げました。売上高130億円と営業利益10億円は動いていません。経常利益10億2,000万円も同じです。
通期予想から上期の実績を引いた、下期に必要な額を並べます。
| 項目 | 下期に必要な額 | 前年の下期との比較 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約71億500万円 | +17.6% |
| 営業利益 | 約4億2,600万円 | △17.3% |
| 経常利益 | 約4億1,100万円 | △25.1% |
| 純利益 | 約4億3,100万円 | △15.9% |
約の付いた数字は、通期予想から中間期の実績を私が引いたものです。
経常利益4億1,100万円に対して、純利益が4億3,100万円です。税金を払えば純利益は経常利益より小さくなるのが普通ですから、下期に特別利益か税金の戻りのどちらかを見込んでいる置き方です。それが何なのかは、決算短信には書かれていません。1ページ目に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
下期の営業利益を前年より2割近く低くしているのも、気になります。上期は大型工事が計画を上回って進んだ、とありますから、その分が前倒しで出た、と会社側は考えているのかもしれません。
現金76億円のうち、60億円は借りてきたものです
貸借対照表に目を移すと、現金が半年で14億3,438万円から76億5,010万円へ増えています。営業活動で稼いだからではありません。営業キャッシュ・フローは4億7,336万円の流出で、前年同期は11億9,517万円の流入でした。売上債権が6億4,187万円増え、未払金を3億2,449万円払ったことが主な要因です。
増えた現金の出どころは、長期借入れの60億円です。5ページ目に、工事の大型化に伴う運転資金を安定的に確保するため、と理由があります。政策保有株を売って13億2,547万円の現金も入っていますが、それでも足りないと判断したことになります。自己資本比率は64.8%から38.3%へ下がりました。
解体工事は、終わるまで代金が入らないのに、人と機材の費用は先に出ていきます。工事が大きくなるほど、その立て替えも大きくなります。借りた60億円がそのまま預金に積んであるのは、まだその立て替えが本格的に始まっていないからだ、と受け取りました。支払利息は前年の1,163万円から1,679万円へ増えています。
受注は5割増え、事故の影響は予想の外です
会社側は増収増益の理由を、前の期から続いていた大型工事が計画を上回って進んだこと、採算を重視して工事を選んで受注したこと、の2つで説明しています。販管費がほぼ横ばいのまま営業利益率が4.4%から9.7%へ上がったことと合っていて、ここはそのまま受け取っています。
16ページ目の受注の表も、その説明を裏付けています。上期の受注工事高は61億9,896万円で前年の同じ時期から5割近く増え、次の期へ持ち越す工事は88億5,146万円です。今期の売上予想130億円の7割近い仕事が、すでに手元にあることになります。
ただ、留保が1つあります。2026年4月7日、川崎市の解体工事現場で設備の一部が落下し、4名の方が亡くなる事故がありました。13ページ目の追加情報に、財政状態と経営成績に影響する可能性はあるが金額は現時点で不明、とあります。6ページ目には、この事故の影響は通期予想に含めていない、とあります。予想の外側に、大きさの分からないものが1つ置かれたままです。
通期予想に対して、どこまで来ているか
売上高は130億円の予想に対して45.3%まで来ています。営業利益は10億円に対して57.4%です。半年の目安を5割とすれば、利益は先行し、売上はやや遅れている形です。純利益だけは18.7%です。下げたあとの5億3,000万円に対しても、下期に4億3,100万円が要ります。
配当は中間15円、期末25円で据え置きです。年40円になります。予想配当性向は66.9%と高めですが、これは純利益の側が評価損で縮んだ結果で、配当を増やしたわけではありません。
私はどう読んだか
本業が伸びているのか、純利益の減りを心配すべきなのか。私は前者だと考えています。理由は、営業利益の増え方が売上原価と販管費の側から出ていて、受注も繰越も積み上がっているからです。評価損は保有株の話で、解体の仕事とは別のところで起きています。
それでも、頭に残っているのは2つです。下期に純利益が経常利益を上回る理由と、予想の外にある事故の影響です。どちらも短信だけでは大きさが分かりません。上がるかは知りません。私が待っているのは、借りた60億円が工事に使われ始める時期のほうです。
出典:決算短信(会社発表)

今回わからなかったこと:下期の純利益が経常利益を上回る置き方の中身――どんな特別利益か税金の戻りを見込んでいるのか――は読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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