燦ホールディングス(9628)2026年8月期 通期決算分析――純利益の6割は一時の益と読みました

燦ホールディングス(9628)2026年8月期 通期決算分析――純利益の6割は一時の益と読みました 日本株

はじめに

燦ホールディングスは、葬儀を専門にする会社をいくつも束ねている持株会社です。中心は首都圏と近畿圏で葬儀を請け負う公益社で、ほかにも地域ごとの葬儀社が傘下に入っています。家族を亡くした人が故人を病院から引き取り、通夜と告別式の段取りを決め、会館を借りて見送る。その一連を引き受けるのが本業です。

最近は、家族だけで見送る家族葬や、火葬だけで済ませる直葬を選ぶ人が増えています。傘下には家族葬の会社も入っています。今回はさらに、葬儀のほか墓石や婚礼、互助会も手がける一社を株式交換で迎えました。互助会は、将来の葬儀や婚礼に備えて、会員が毎月お金を積み立てる仕組みです。

17か月かけて、営業利益が前の12か月に届かなかった

2026年10月15日に出た、2026年8月期の決算です。決算期を3月から8月に移したため、この期は2025年4月から2026年8月までの17か月あります。そのため、短信は増減率を載せていません。

今回(17か月)前期(12か月)増減率
売上高(営業収益)577億3,600万円319億8,400万円記載なし
営業利益39億5,400万円45億2,100万円記載なし
経常利益37億3,400万円43億6,300万円記載なし
純利益45億6,200万円47億2,100万円記載なし

期間が5か月長いのに、営業利益と経常利益は前期を下回りました。純利益だけが、ほぼ前期と並んでいます。

古くからの葬儀会社3つが、前の12か月に届いていない

後ろの表までめくって、最初に引っかかったのはセグメント情報でした。傘下の葬儀会社ごとの利益です。

今回(17か月)前期(12か月)
公益社グループ28億2,600万円30億9,100万円
葬仙グループ1億9,900万円2億400万円
タルイグループ4億5,600万円5億1,200万円
きずなグループ△8,600万円3億6,600万円
こころネットグループ2億6,500万円—

短信のセグメント情報の数字です。この会社のセグメント利益は経常利益を基準にしています。こころネットは2026年4月からの5か月分です。

公益社、葬仙、タルイの3つは、前期より5か月長いのに、利益が前期の12か月を下回っています。……5か月多くて、届いていない。

理由は短信の3ページ目に書いてあります。事業をしている地域で亡くなる人が減り、件数が落ちたこと。公益社とタルイでは直葬が増えて、1件あたりの金額が下がったこと。そこに、会館の出店と人の採用の費用が重なっています。

単価の下がり方は、説明会資料の数字で分かります。公益社の1件あたりの単価は、2026年4月から8月の5か月が104万7,000円で、前年の同じ5か月は114万3,000円でした。1割近く下がっています。

きずなグループは家族葬の会社で、のれん償却10億7,100万円を負って8,600万円の赤字です。のれん償却は、買ったときに払った上乗せ分を、毎年少しずつ費用にしているものです。

純利益を支えたのは、こころネットを迎えた差額28億1,000万円

純利益45億6,200万円のうち、28億1,000万円は特別利益の「負ののれん発生益」です。2026年2月にこころネットを株式交換で子会社にしたとき、一度だけ出た利益です。純利益の6割強がこれにあたります。28億1,000万円を45億6,200万円で割った、私の計算です。

中身は、短信の最後にある企業結合の注記でたどれます。

金額
受け入れた資産172億6,700万円
引き受けた負債102億8,200万円
差し引き(受け入れた純資産)約69億8,500万円
支払った対価(自社株)41億7,500万円
負ののれん発生益28億1,000万円

約の付いた数字は、資産から負債を私が引いたものです。

こころネットの純資産を、それより安い自社株で手に入れた差が、利益として載ったことになります。

負債の側にも、引っかかる科目がありました。固定負債に、前の期には無かった「前払式特定取引前受金」85億9,600万円が載っています。互助会の会員から預かっているお金で、将来の葬儀や婚礼というかたちで返していく約束です。引き受けた負債の大半が、これでした。

現金は68億円減り、前期の売却益の税金を払った

キャッシュ・フロー計算書まで進みました。営業活動で入ったお金は、17か月で44億6,200万円です。前期の12か月より少なくなっています。

目立つのは法人税等の支払額34億9,200万円です。前期末の未払法人税等22億6,800万円が、この期末には3億9,200万円まで減っています。前期に土地や建物を売って34億400万円の売却益を出しており、その税金をこの期に払った、と私は読みました。

会館などへの支出には、50億8,900万円を使っています。借入金の返済が37億3,000万円です。配当には11億1,200万円を払いました。こころネットが加わって、現金は35億8,900万円増えました。それでも全体では68億800万円減っています。期末の残高は94億2,100万円です。

会社は、亡くなる人の減少と葬儀の簡素化を挙げている

短信の2ページ目で、会社は理由を自分の言葉で書いています。2025年7月から2026年6月に亡くなった人は約155万人で、前の1年より約5.8%減ったこと。家族葬や一日葬が増えて単価が下がっていること。会館の出店や、インターネットの葬儀紹介会社が増えて、小さな葬儀の取り合いが激しくなっていること。

亡くなる人の数は外の事情なので、そのまま受け取ります。留保を付けたいのは、単価と競争の話です。短信の「今後の見通し」の節にも、葬儀の小規模化と簡素化は続くと書かれています。一度きりの事情として書かれてはいません。

来期の予想は、12か月で前期を下回る置き方

この決算は期の締めくくりなので、予想への進み具合を測る段階ではありません。表紙の予想は、2026年9月からの12か月、2027年8月期のものです。12か月同士で並べられるのは、2025年3月期です。

2027年8月期 予想(12か月)2025年3月期 実績(12か月)
売上高(営業収益)491億円319億8,400万円
営業利益34億3,000万円45億2,100万円
経常利益32億8,000万円43億6,300万円
純利益16億5,000万円47億2,100万円

売上は1.5倍に増える予想です。ところが営業利益は34億3,000万円で、45億2,100万円を下回る見込みです。差は10億9,100万円あります。2025年3月期は、きずなグループが6か月分しか入っていなかったので、中身は同じではありません。

会社は説明会資料で、直近12か月の営業利益を26億6,600万円と組み直し、そこから増益になる計画だとしています。純利益が大きく減るのは、負ののれんのような一度きりの益が来期は無いためだと受け取りました。配当は年41円で、累進配当の方針を続けています。

私はどう読んだか

見方は2つあると思います。統合で大きくなる途中の一時的な谷なのか。それとも、もともとの葬儀の稼ぐ力が落ちているのか。

私は後者の見方をしています。理由は、のれんも統合費用も負っていない公益社・葬仙・タルイの3つで、17か月の利益が前の12か月に届いていないからです。会社は件数を買って増やす道を選んでいますが、1件あたりの稼ぎは別の話です。心配性なので、来期も単価の推移から確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信・決算説明会|燦ホールディングス株式会社
決算短信を掲載しています。燦ホールディングスグループ各社の決算内容をまとめて開示しています。投資を行う際の判断資料として有価証券報告書よりも一足早い決算短信をご覧ください。株主・投資家の皆様やお取引先に向けての燦ホールディングス情報ページ。

こころネットの互助会で預かっている85億9,600万円が、これから何年かけて、どれだけの葬儀や婚礼に変わっていくのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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