はじめに
ボードルアは、企業の情報システムの土台を受け持つ会社です。社員が毎日使う社内ネットワーク、サーバー、外のクラウドとのつなぎ目、不正な侵入を止める仕組み、オフィスの無線LANを扱います。設計から組み立て、動き出したあとの保守までを、技術者が客先に入って手がけます。
仕事を頼むのは、大企業の情報システム部門です。アクセスを複数のサーバーに振り分ける装置や、ネットワークを機械の中で仮想的に組む技術は、社内に詳しい人を置きにくい分野です。そういう分野ほど外に頼むことになります。特定の機器メーカーの系列ではないので、扱う機械のメーカーを選びません。
事業は一本で、セグメントも分けていません。売っているのは、ほぼ技術者の時間です。
この決算で何が起きたか
10月15日に発表された、2027年2月期の中間決算です。期間は2026年3月から8月までです。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 111億8,100万円 | 76億9,800万円 | +45.2% |
| 営業利益 | 16億3,900万円 | 14億600万円 | +16.5% |
| 経常利益 | — | — | — |
| 純利益 | 11億5,900万円 | 10億1,400万円 | +14.3% |
IFRSの決算には経常利益の段がありません。近いのは税引前利益で、16億2,100万円、16.0%増でした。純利益は親会社の所有者に帰属する中間利益です。
売上は前年の1.5倍近くまで伸びました。一方で、利益の伸びは2割に届いていません。
発表の2日前に、親会社ができていた
短信の最後に重要な後発事象の注記があり、業績より大きな話が載っていました。経営陣が加わる買収(MBO)の一環として、海外の組合が公開買付けを行いました。期間は8月19日から10月5日までで、成立しています。応募は1,036万株あまりでした。成立の条件だった313万株あまりを大きく超えています。
10月13日には、創業者3人からも買付けとは別に株を取得しています。これで議決権の過半を握り、その組合が親会社になりました。代表の2人は、主要株主から外れています。
上場をこの先どうするのかは、決算短信には書かれていません。表紙を見ると、補足説明資料も説明会も「無」です。今回の材料はこの短信だけです。配当予想は今期0円です。前の期は期末に7.58円を払っていました。
その他の費用が、前年の8倍近くに
損益計算書に戻ります。引っかかったのは、営業利益のすぐ上にある一行です。その他の費用が、前年の2,538万円から1億9,893万円へ増えていました。増えた額は1億7,000万円あまりです。営業利益の増加分の4分の3ほどに当たる額が、この一行で削られています。
この費用の中身は、決算短信には書かれていません。3か月ごとに分けると、利益の落ちた時期が見えてきます。
| 3月〜5月 | 6月〜8月 | 上期累計 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 54億700万円 | 約57億7,400万円 | 111億8,100万円 |
| 営業利益 | 8億4,600万円 | 約7億9,300万円 | 16億3,900万円 |
約の付いた数字は、上期累計から7月15日発表の第1四半期の数字を私が引いたものです。
6月から8月は、売上が増えたのに営業利益が減っています。公開買付けが始まった8月19日は、この3か月の終わりに入ります。費用の膨らみが後半の3か月に偏っていて、そこに買付けの準備の費用が含まれている、と私は読みました。
費用を除いても、粗利が薄くなっている
ただ、この費用だけでは利益率の落ち方を説明しきれません。そこで、その他の収益と費用を両方外して前年と並べました。売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた利益です。
| 前年上期 | 今年上期 | |
|---|---|---|
| 売上総利益率 | 約34.3% | 約32.3% |
| 販管費の売上比 | 約15.8% | 約16.2% |
| その他を除いた営業利益率 | 約18.5% | 約16.1% |
| 営業利益率 | 約18.3% | 約14.7% |
率はすべて、損益計算書の金額から私が割り算したものです。
営業利益率の落ち幅は3.6ポイントです。その他の項目を外しても2.4ポイント落ちていて、落ち幅の3分の2はこちらにあります。粗利が2ポイント薄くなり、販管費も売上より速く増えました。……一時的な費用では、3分の1しか説明できない。
粗利が薄くなった理由も、決算短信には書かれていません。前年の上期に子会社を取得していて、キャッシュ・フロー計算書に7億956万円の支出があります。利益率の違う会社が加わった影響かもしれません。ただ単一セグメントなので、短信の数字では切り分けられません。
新しい子会社が、赤字で始まっている
持分変動計算書には、もう一つ小さな動きがありました。外部の出資を受けて連結子会社が増え、非支配持分として999万円が入っています。中間利益のうち、外部株主の取り分はマイナス1,231万円でした。
親会社に帰属する利益(11億5,900万円)が、中間利益全体(11億4,700万円)より多いのはこのためです。金額は小さく、上期の利益を左右するほどではありません。
現金は、借入れも足して17億円近く増えた
現金は半年で16億9,220万円増え、60億6,369万円になりました。営業キャッシュ・フローは12億5,728万円の収入で、前年を上回っています。投資にはほとんど使っていません。そこへ13億円の長期借入れから返済と配当を差し引いた分が加わりました。借りた13億円の使い道は、決算短信には書かれていません。
会社はどう説明しているか
説明文によると、AIの活用、クラウドの広がり、セキュリティ対策の高度化でITインフラの仕事が増えています。打ち手は2つあります。大手の既存顧客との取引を深めることと、若手を社内研修で育て、技術の段階に合った案件に就けることです。
売上の伸びについては、この説明をそのまま受け取ります。理由は、一本の事業で4割5分伸び、営業キャッシュ・フローも付いてきているからです。一方で、利益率が落ちたことには、短信の説明文は一言も触れていません。そこは留保します。
下期に、前年を超える利益率が要る
通期予想は4月14日に出したまま変えていません。売上235億円、営業利益44億900万円です。
| 上期 実績 | 下期に必要な分 | 前年の下期 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 111億8,100万円 | 約123億1,900万円 | 約97億2,100万円 |
| 営業利益 | 16億3,900万円 | 約27億7,000万円 | 約19億8,500万円 |
| 営業利益率 | 約14.7% | 約22.5% | 約20.4% |
約の付いた数字は私の計算です。下期は、通期予想から上期実績を引きました。前年の下期は、予想の増減率(売上+34.9%、営業利益+30.0%)で前の期の通期を割り戻し、そこから前年の上期を引いています。
売上はおよそ半分まで来ています。営業利益は4割に届いていません。前年も利益は下期に厚く、下期の利益率は約20%でした。今年は上期の約15%から、前年の下期を上回る2割超えまで戻す前提になっています。
私はどう読んだか
考え方は2つあります。1つは、利益率が落ちたのは買収の時期に重なった一時的な費用が中心で、下期には戻るという見方です。もう1つは、粗利そのものが薄くなっていて、費用が抜けても前の水準には戻りにくいという見方です。
私は後者の見方をしています。理由は、その他の費用を除いて計算し直しても、利益率が前年より2ポイント以上低いからです。技術者の時間を売る会社の粗利は、単価と人の稼働でほぼ決まります。半年で消える種類の変化には見えません。
それでも会社は、下期に前年を超える利益率を置いたまま予想を据え置きました。親会社が替わったばかりで、この予想をどう扱うのかも、短信からは分かりません。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

その他の費用1億9,893万円の中身と、粗利が薄くなった理由は読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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