グローバルダイニング(7625)2026年12月期 中間決算分析――下期減益の予想が腑に落ちない

グローバルダイニング(7625)2026年12月期 中間決算分析――下期減益の予想が腑に落ちない 決算を読む

東京を中心に、「ラ・ボエム」というイタリアンや、「権八」という和食の店を構えている外食の会社です。家族で気軽に入る日常の店ではなく、夜に人と会うために使う店です。都内に集め、アメリカにも出しています。栃木県の那須には、去年、宿泊もできる複合施設を開きました。

私がここの短信を開くのは初めてです。表紙の数字は、外食としてはかなり派手でした。派手な数字を見ると、私は先に「なぜか」を探しに行きます。理由は、以前、表紙が完璧な会社で営業キャッシュ・フローがマイナスだったのを見たからです。それ以来、表紙だけで話すのをやめました。納得した部分と、腑に落ちない部分を、順に書きます。

この決算で何が起きたか

7月31日に出た中間決算です。表紙の4行は、どれも大きく増えています。

項目今回前年同期増減率
売上高71億900万円64億200万円+11.1%
営業利益6億2,000万円1億8,700万円+231.1%
経常利益6億4,900万円1億1,500万円+459.9%
純利益5億1,000万円1,000万円

売上が1割ほど増えて、営業利益は2.3倍です。経常利益と純利益の伸び率には前年の低さも混じっていて、それはあとで書きます。

店を動かす費用が、売上ほど増えていません

今回いちばん引っかかった数字です。売上が7億774万円増えたのに、売上原価は1億8,497万円しか増えていません。

外食の会社の売上原価には、食材だけでなく、店の人件費や家賃など、店を動かす費用が入っていることが多いものです。この会社がどこまでを原価に入れているかは、短信には書かれていません。それでも、原価の行がほとんど動かないまま売上が伸びた、という形は変わりません。

前年同期今回増えた額
売上高64億206万円71億981万円約7億774万円
売上原価55億9,551万円57億8,049万円約1億8,497万円
売上総利益8億654万円13億2,931万円約5億2,276万円
販売費及び一般管理費6億1,930万円7億927万円約8,997万円

約の付いた列は、損益計算書の今回から前年同期を私が引いたものです。

売上総利益を売上で割ると、前年が約12.6%、今回が約18.7%になります。私の割り算です。同じ店、同じ人数で客が前より多く来れば、増えた分の売上はほとんどそのまま残ります。それが数字になったのだと受け取りました。

会社側は「既存店売上高は前年同期比で11.2%増加した」と書いています。全体の伸びが11.1%ですから、新しい店ではなく、今ある店に前より多くの客が来たということです。1月に愛知の2店舗を「収益改善が見込めないため」閉めたとあり、店の数はむしろ減っています。

業態売上高前年同期比
ラ・ボエム17億4,800万円+13.8%
権八17億5,700万円+3.7%
その他13億5,700万円+28.9%
モンスーンカフェ9億9,300万円−1.3%
ディナーレストラン9億9,200万円+13.6%
ゼスト2億6,000万円+10.1%

伸びを引っ張ったのはラ・ボエムで、モンスーンカフェだけが減っています。「その他」が3割近く増えていますが、中身は短信には書かれていません。去年開いた那須の施設の売上がここに入っているのかもしれません。

経常利益の5倍には、為替の向きが変わった分が混じっています

経常利益の伸び率は、営業外で膨らんでいます。前年の上期は為替差損が5,670万円、今年の上期は為替差益が2,488万円です。損が消えた分と益が出た分を合わせると8,158万円で、そのぶん前年より経常利益が押し上げられています。アメリカに子会社があり、為替の動きがそのまま損益に出る形です。

純利益の「前年比4,634%増」も、前年の純利益が1,079万円しか残らなかったことの裏返しです。前年は税引前利益1億1,273万円に対して、法人税等が1億195万円でした。ほとんど税金で消えています。今年は2割ほどです。

なぜ前年だけ税金が重かったのかは、短信には書かれていません。アメリカの子会社が赤字で、日本側の黒字と相殺できなかったのかもしれない、と私は考えています。

現金は7億8,380万円増えたのに、5億円を新しく借りています

キャッシュ・フロー計算書で、もう一つ引っかかったことがあります。増えた現金と借入の関係です。

営業活動によるキャッシュ・フローは7億3,771万円のプラスでした。法人税を2億4,295万円払ったあとの数字です。前年の上期は2,708万円しか払っていませんから、税金だけで2億円以上多く出ています。それでも前年の5億5,348万円より増えています。利益が現金でも入ってきたことは、ここで確かめられました。

投資は静かでした。有形固定資産の取得は1億310万円で、前年上期の8億2,899万円の8分の1ほどです。那須の施設を作る時期が終わっています。

その上で、財務活動の欄に「長期借入れによる収入 5億円」があります。返済が2億5,818万円、配当が5,186万円でした。差し引きは1億3,457万円のプラスです。営業で7億入り、投資で1億しか使わないなら、借りなくても現金は増えていたはずです。

……いや、借りる理由が短信のどこにもない。使い道も、短信には書かれていません。現金は期末で16億7,303万円になりました。手元に厚く持っておきたい、というだけかもしれません。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目では、「人材が育ち組織全体が活性化したラ・ボエム」と、「インバウンド・住宅立地ともに堅調な権八」が牽引した、とあります。売上原価の動きとも合っていて、ここはそのまま受け取っています。

一方で、アメリカの子会社については、社長と財務責任者がアメリカ側の同じ役職を兼ねる体制にして、「通期黒字化の実現に向けて邁進する」とあります。黒字化を目指すと書くということは、いまは黒字ではないということです。いくら赤字なのかは、単一セグメントなので短信には出てきません。

那須の施設も「長期目線で事業の立ち上げと収益化を目指す」とあり、まだ稼いでいない場所だと考えました。派手な上期の後ろに、稼いでいない場所が2つあります。そういう説明だと受け取っています。

下期は、前年より売上も利益も少ないという置き方です

通期予想は2月に出したものから変わっていません。上期の営業利益は6億2,000万円で、通期予想は9億4,800万円です。割ると65%になります。

据え置いたまま引き算をすると、残り6か月に会社側が見込んでいる数字が出ます。前年の下期と並べました。

前年の下期今年の下期の置き方
売上高約72億6,100万円69億2,300万円
営業利益約5億円3億2,800万円

約の付いた数字は、通期予想を表紙の増減率(売上+2.7%、営業利益+37.9%)で割り戻して前年の通期を出し、そこから前年の上期を引いたものです。右の列は、通期予想から今回の上期を引いた額です。

前年の下期に5億円あった営業利益を、会社側は今年は3億2,800万円としています。3割以上減る計算です。売上も、前年の下期より5%ほど少ない額です。上期に既存店が1割伸びたあとで、下期は前年より売上が減ると言っていることになります。

なぜそう置いたのかは、短信には書かれていません。2月の見方のままなのか、下期に悪い材料を見込んでいるのか。私は後者を先に疑っています。理由は、既存店が1割伸びた上期を自分で数えたあとで、下期の売上を前年より少なく置いたままにするのは、ただの据え置きにしては不自然だからです。8月7日に説明会を開くと書かれています。理由があるならそちらでしょうが、私はまだ読んでいません。

私はどう読んだか

上期の利益は本物だと考えています。理由は、売上原価がほとんど動かないまま売上が伸びたという、店の中の話から出ているからです。現金も、税金を払ったあとで7億入っています。

腑に落ちないのは下期の置き方のほうです。予想が古いだけなら、それで済みます。ただ、私は心配性なので、先に悪いほうを考えます。上期の伸びに続かないものが混じっていて、それを会社側が知っているのかもしれない。それが何かは分かりませんでした。上がるかは知りません。8月7日の資料を読む、と手帳に書いておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260730503316.pdf

アメリカの子会社がいくら赤字なのか、そして新しく借りた5億円の使い道は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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