日本国土開発(1887)2027年5月期 第1四半期決算分析――土木の受注の遅れが気になる

日本国土開発(1887)2027年5月期 第1四半期決算分析――土木の受注の遅れが気になる 日本株

はじめに

日本国土開発は、建物と土木の両方を請け負う建設会社です。もともとは、重機で大量の土を動かす工事を得意にしてきました。山を削って宅地や工業団地の土地を作る仕事や、道路や堤防の土台を作る仕事です。発注するのは国や自治体で、工場や住宅地を開発する民間の会社も施主になります。

いまの売上の中心は建物のほうです。マンション、オフィス、倉庫などを、不動産会社や事業会社から請け負って建てています。太陽光発電所を持って電気を売る事業と、不動産の開発も手がけています。

ゼネコンの売上は、その期に工事がどれだけ進んだかで決まります。そのため、来年以降を考えるときは、受注の表と、手元に残っている工事の表を見ることになります。

粗利は増えたのに、営業利益は前年並みでした

2026年10月15日に出た、第1四半期(6月から8月)の決算です。

今回前年同期増減率
売上高320億5,600万円345億1,500万円△7.1%
営業利益19億4,200万円19億4,700万円△0.2%
経常利益19億5,400万円19億7,100万円△0.8%
純利益15億8,700万円13億200万円+21.9%

売上は1割近く減り、営業利益と経常利益は横ばいです。純利益だけが2割増えています。この形を見て、損益計算書の下のほうに何かあると考えました。

純利益の増加は、本業の外から来ています

まず本業の部分です。売上が減ったのに、粗利は増えています。

今回前年同期
完成工事総利益36億6,600万円32億8,000万円
売上総利益合計44億1,200万円40億8,300万円
販売費及び一般管理費24億6,900万円21億3,600万円

増えた粗利を、増えた販管費がほぼそのまま打ち消しています。営業利益が横ばいになった理由はこれです。販管費が何で増えたのかは、決算短信には書かれていません。

純利益を押し上げたのは、営業利益より下の項目です。特別利益に、固定資産の売却益1億4,300万円が入っています。補助金収入4億6,900万円も特別利益に入っていますが、同じ額の固定資産圧縮損が特別損失に計上されていて、差し引きはゼロです。

もう一つは税金です。法人税等の合計が、前年の6億5,800万円から5億600万円に減りました。この売却益と、税金が前年より減った分を足すと、純利益の増え方とほぼ同じになります。ここまでは損益計算書の数字です。

建物の受注は3倍、土木の受注は4割減

この決算でいちばん気になったのは、補足情報の受注の表です。単体の数字ですが、事業によって差がかなりあります。

受注高(単体)今回前年同期増減率
建築・国内民間260億3,000万円84億5,500万円+207.9%
建築・海外△1億7,100万円72億7,800万円△102.4%
土木・合計26億6,200万円43億9,800万円△39.5%
受注高・合計294億8,800万円226億5,200万円+30.2%

全体の受注は3割増えています。ただ、増えたのは建築の国内民間で、前年の3倍になりました。建築の海外はマイナスで載っています。契約の減額か取り消しがあったはずですが、それが何なのかは決算短信には書かれていません。

土木の受注は4割減りました。会社は今期の土木の受注予想を400億円としていて、前期の実績から倍以上に増やす計画です。第1四半期の26億6,200万円は、その1割にも届いていません。……いや、最初の3か月だけで通期と比べるのは、少し酷か。

手元に残っている工事も、土木だけが減っています。土木の繰越高は601億7,400万円です。前年同期は720億7,300万円だったので、16.5%減りました。土木事業のセグメント利益も、前年の8,000万円から2,500万円になっています。

キャッシュ・フロー計算書は、この四半期は作られていません

いつもは添付資料をめくってキャッシュ・フロー計算書を確かめますが、この短信には「作成しておりません」とあります。第1四半期は省略が認められているので、珍しいことではありません。

代わりに貸借対照表を見ました。工事代金の未収分(受取手形・完成工事未収入金等)は、5月末の564億9,600万円から471億5,600万円へ減りました。現金預金は199億1,900万円から223億1,700万円に増えています。期末にたまっていた代金が回収された動きです。気になるところはありません。

会社はどう説明しているか

建築事業の利益が増えた理由について、会社は「複数現場での採算改善」と書いています。土木事業は、連結子会社の収益が伸び悩む一方で、親会社の採算は改善したという説明です。粗利の数字とは食い違いません。ただ、どの現場で何が改善したのかまでは短信に書かれていないので、この説明はそのまま受け取るしかありません。

注記には、2024年9月26日に広島市西区の下水道工事で起きた道路陥没事故の件が、今回も載っています。業績への影響は「現時点では合理的に見積もることは困難」のままです。共同企業体の一員として受けた工事で、土木の数字に関わる話です。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は7月に出したものから変えていません。

通期予想進捗率残り9か月に必要な額残り9か月の前年比
売上高1,370億円約23.4%約1,049億4,400万円約+4.2%
営業利益63億円約30.8%約43億5,800万円約△16.3%
経常利益57億円約34.3%約37億4,600万円約△18.5%
純利益40億円約39.7%約24億1,300万円約△41.8%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を引いて私が出したものです。

売上は4分の1に少し届かない進み具合で、利益は3割を超えています。残り9か月の営業利益は、前年の同じ時期より16%ほど少なくてよい計算です。売上は残りの期間で4%増やす予定なのに、利益は減らす。この予想は控えめに見積もられていると考えています。

私はどう読んだか

私は、建築の採算改善は本物で、通期予想は慎重に置かれている、という見方をしています。理由は、増えた粗利が建物の工事代金の中から出ているからです。資産の売却益や税金の減少とは性質が違い、受注も同じ建築で大きく増えています。

一方で、純利益の2割増は、今後も続くものとしては受け取っていません。気になっているのは土木のほうです。受注が少なく、手元の工事も減り、事故の影響もまだ見積もれていません。会社が利益予想を据え置いた理由が、この3つのどれかにあるのかどうかは分かりません。心配性なので、次の四半期は土木の受注の表から開くつもりです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 日本国土開発
日本国土開発株式会社

建築の海外受注がマイナスになった理由と、販管費が増えた中身は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました