吉野家ホールディングス(9861)2027年2月期 中間決算分析――牛丼の稼ぐ力は本物と読みました

吉野家ホールディングス(9861)2027年2月期 中間決算分析――牛丼の稼ぐ力は本物と読みました 決算を読む

はじめに

吉野家ホールディングスは、牛丼の吉野家と、うどんのはなまるを国内で営んでいる会社です。海外にも牛丼の店を出していて、最近はラーメンをもう一つの柱に育てると決め、店や工場を集めています。

牛丼の店は、昼休みに一人で入って、短い時間で食べて出る場所です。持ち帰りの弁当を買って、家族の夕食にする人もいます。決算期の昼は、私もよく世話になっています。

この会社の数字は、そういう毎日の一食の積み重ねです。今回は、その一食あたりの稼ぎが変わったかどうかを確かめに行きました。

この決算で何が起きたか

10月8日に出た中間決算(2026年3月から8月まで)です。

今回前年同期増減率
売上高1,214億9,400万円1,104億4,600万円+10.0%
営業利益57億8,200万円44億3,800万円+30.3%
経常利益62億2,200万円48億200万円+29.6%
純利益38億1,000万円26億4,400万円+44.1%

売上は1割増えました。営業利益は3割増えています。どこでこの差が生まれたのかは、この表には出てきません。

増えた利益は、ほぼ全部が牛丼の店から来ています

短信の13ページ目に、事業ごとの表があります。

事業売上 今回売上 前年同期利益 今回利益 前年同期
吉野家812億4,800万円739億1,100万円54億9,200万円37億600万円
はなまる180億2,600万円168億300万円17億600万円16億7,500万円
海外160億4,900万円138億4,500万円10億6,300万円8億7,000万円

全社の営業利益は、前年同期の44億3,800万円から57億8,200万円になりました。増えた額は13億4,400万円です。吉野家の事業だけで見ると、利益は37億600万円から54億9,200万円になりました。こちらは17億8,600万円の増加です。ひとつの事業が、全社の増益を上回っています。

全社の増益が吉野家の増益より小さいのは、各事業に配っていない本社側の費用が増えたからです。22億5,700万円から27億500万円へ増えました。その他の事業も利益を減らしています。

引っかかったのは、はなまるのほうです。店を10店出して売上は7%増えたのに、利益はほぼ前年と同じです。はなまるの利益が伸びなかった理由は、決算短信には書かれていません。

営業キャッシュ・フローの伸びには、前年の在庫が効いています

キャッシュ・フロー計算書を開くと、営業活動で得た現金が倍近くに増えていました。

前年同期今回
税金等調整前中間純利益45億3,200万円62億7,400万円
棚卸資産の増減△29億8,200万円2億5,300万円
仕入債務の増減1億5,200万円15億6,000万円
未払債務の増減18億1,500万円△2億2,300万円
営業キャッシュ・フロー52億9,000万円98億5,300万円

増えた額は45億6,300万円です。そのうち利益の増加、つまり税金等調整前中間純利益の差で説明できるのは17億円ほどです。いちばん大きいのは在庫の行で、前年の△29億8,200万円が今年は2億5,300万円になりました。前年のマイナスと今年のプラスを足し合わせると、差は32億円を超えます。

前年の上期は、在庫に約30億円の現金を寝かせていたことになります。今年はほとんど動いていません。比べる相手の前年が、現金の面では弱い半年でした。……前の年は、何をそんなに仕入れたんだろう。

前年に在庫が膨らんだ理由は、今回の決算短信には書かれていません。それでも今年の数字だけを見ても、利益を大きく上回る現金が入っています。利益に現金の裏付けがあることは、疑っていません。

借りたお金で自社株を買い、その株で米国のラーメン店を買っています

財務の欄では、短期の借入れが30億円増えました。同じ半年に、自社の株を25億100万円で672,700株買っています。自己資本比率は54.5%から51.8%に下がりました。

この組み合わせだけなら、借りて株主に返したように見えます。14ページ目の注記で、つながりが分かりました。

7月10日の同じ取締役会で、米国のラーメン会社 Kizuki International の持分70%を取ることも決めています。シアトルを中心に17店舗を持つ会社です。9月1日に払った対価は次のとおりです。

対価金額
現金22億7,200万円
自社株 380,500株14億7,200万円
合計37億4,400万円

買った672,700株のうち380,500株、つまり半分を超える株が買収の支払いに回っています。現金払いも、中間期末の翌日でした。借入れは、この支払いに備えたものだと私は考えています。短信にそう書いてあるわけではありません。

ほかに、2029年12月期の業績しだいで最大3,000万米ドルを追加で払う約束があります。のれんの額も、まだ決まっていません。

純利益の伸びは、特別損益の差です

純利益は44%増で、経常利益の30%増より大きく伸びました。特別利益には受取補償金3億6,700万円と固定資産売却益2億2,700万円が並びます。ただ、減損損失4億1,600万円などの特別損失で、ほぼ相殺されます。

前年の特別損益は差し引き2億7,000万円の損で、今年は5,200万円の益でした。これは私が足し引きした数字です。この差と、法人税等調整額の△4億3,400万円が、純利益を経常利益より伸ばしています。稼ぐ力は、経常利益の伸びで測るのが正直です。

会社はどう説明しているか

会社は、吉野家の既存店の売上が6.2%増えた理由を、客数と客単価の両方の伸びと書いています。鉄板で出す定食や、牛丼と油そばのセット、トッピングの拡充を挙げています。注文用のタブレットは1,192店舗に入りました。

3月1日には、地域ごとに分かれていた吉野家の会社6社を本体に吸収し、意思決定を一つにしています。

事業ごとの表を見る限り、説明は数字と合っています。ただ、合併の効果をいくらと見ているかは、決算短信には書かれていません。値上げの効き目と合併の効き目は、この短信からは切り分けられません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想上期まで残り半年に必要残り半年の前年比
売上高2,480億円1,214億9,400万円約1,265億600万円約+9.8%
営業利益100億円57億8,200万円約42億1,800万円約+15.5%
経常利益104億円62億2,200万円約41億7,800万円約+4.3%
純利益60億円38億1,000万円約21億9,000万円約+8.3%

約の付いた数字は、通期予想から上期の実績を引いて私が出したものです。

営業利益は6割近くまで来ています。上期に3割伸ばした会社が、残り半年は15%ほどの伸びで届く予想です。

一つ腑に落ちないのは、残り半年の経常利益が営業利益より小さいことです。上期は経常利益のほうが4億4,000万円大きかったので、向きが逆になります。Kizuki の取得に伴う費用が概算3億1,700万円とあり、これが関係するのかもしれません。

予想は今回修正されています。ただ、上と下のどちらに直したのかは別のお知らせに書かれていて、私はそちらをまだ開いていません。

私はどう読んだか

牛丼の店の稼ぐ力は上がった、と私は読みました。理由は、増益のほとんどが吉野家の事業の営業利益から生まれていて、営業外や特別利益ではないからです。メニューと店の運び方を変えて、客数と単価が一緒に伸びています。

心配性なので、下の材料も残しておきます。営業キャッシュ・フローの伸びの多くは前年の在庫の反動です。借入れを増やして米国の会社を買い、その金額がこれから動く約束も付いています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 | IRライブラリ | 株主・投資家情報 | 株式会社吉野家ホールディングス

前年の上期に在庫がなぜ約30億円も膨らんだのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました